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"巷に雨の降るごとく わが心にも涙降る" - 宮本浩次『縦横無尽』と雨
かつてわたしは、野音2020の私的鑑賞記の結びとして次のように書いたことがある。
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「悲しみの果て」はEPIC時代とはまるで正反対な曲のように言われるが、本当はその延長線上にある曲なのかもしれない。この時期に多く歌われた「いつもの部屋」、世をはかなんで働く人を眺め何もしないでいた部屋、若くして亡くなってしまった親友の部屋、わたしだって一応日常生活を送ってはいたものの、心にはい
光あれ - 「縦横無尽」に宿る神
「浮世小路のblues」聴きました。
とっても日本歌謡ロックな激渋曲だけど、歌詞に「神様の思し召し」「光あれ」と入っているのが私には非常に印象的。
アルバム「縦横無尽」そのものが「光の世界」に始まり、最終曲2曲は愛が全面に出た曲。
「光あれ」と言って天と地を分け、光と闇を分け、世界を創造し転がり続ける宮本浩次という歌の神の、壮大な愛の贈り物なのではないかと私は思っている。
闇の中にひとすじの
悲しみの果て - エレファントカシマシ 野音2020とEPIC時代を聴く
(2021年3月に書いた文章の再録です)
宮本浩次が歌う曲ばかり聴いて過ごしている。一度聴いたら内耳に痕跡が残り、いつまでも鳴り止まぬ音楽が心をとらえてはなさない。しかも聴く側の心情や耳のコンディションによってその都度驚くほど異なる様相をもって音楽が迫ってくるから、聴く度に新しい発見がある。いかに豊かな響きが内包された声であるかを実感させられる。それはもちろんもって生まれた天性の声帯と耳の素晴ら
宮本浩次の音楽を解剖する - カバーアルバム「ROMANCE」より
(2020年12月に書いた文章の再録です)
0/ 前書きにかえて:
私の育った家では、歌謡曲が一切禁止されていた。歌番組は見せてもらえないし、小学校でお友達から聞きかじった曲をピアノでポロンポロンと弾いてみようものなら、母が台所から飛んできて「そんな曲は変な癖がつくから弾いたらだめ。お稽古の曲を練習しなさい」と烈火のごとく怒った。そうして私の音楽はほとんど全てクラシック音楽で形成された。
そん