日記🚪

☀6月11日(木)☁

朝5時、インターホンが鳴った。

こんな時間に誰だろうと思い、ドアスコープから見てみるが、誰も見当たらない。

気味が悪いなぁと思いながら部屋に戻ろうと背を向けると、再び


ぴにゃらぽにょ〜〜んにょ


と、やはりインターホンが鳴った。

正体がわからないのも怖いのでいっそ外を確認してみることに。

念の為、玄関に置いてある鳴子のこけしを後ろ手に持っておく。
武器として。
心の中で職人に謝りながら、強くこけしを握りしめ、覚悟を決める。


そーっとドアを開け、
一見誰もいないように見えたが、
視線を足元に落とすと、
そこには小さなお豆腐が立っていた。



おとうふジュニアだ。



「おとうふジュニア?」と聞くと、

コロコロとした声で「そうだよ!」

と答えてくれる。
とても可愛い。
こんなに可愛いのに、自力でインターホンを押せるだけの異常なジャンプ力があるなんて。
それでも可愛い。


「木綿?絹?」と聞くと、

数秒間黙りこくったあと、きまりが悪そうに

「木綿……です」と答えた。


コンプレックスなのだろうか。
個人的には別に木綿が嫌いとかそういうわけではないが。
一体誰が彼に複雑な悲しみを抱かせたのか。
今にも泣きそうな顔をしている。
かわいそう。


気まずさから互いにしばらく沈黙が続いたが、ついにおとうふジュニアが本題を切り出した。

「あの…飼う?」


申し訳ないが、家では飼ってあげられないんだ。
私は、その小さな白い命にチューブの生姜を乗せてやり、朝のまちへと送り出した。


最後までこけしは握りしめたままだった。

お笑い軍資金にさせていただきます。