日記💻


☁6月14日(日)☔


友達からのラインの通知で目が覚めた。

「おはよー!あのさ、今日って何色の忍者服でやる?自由って書いてるけど一応フォーマルなやつの方がいいのかな?」


忍者服………フォーマル……………今日……………



やばい!すっかり忘れていた!
今日は忍者認定試験当日じゃないか!
忍術じゃないほうの勉強で忙しくて全く対策できていなかった。非常にまずい。


忍者認定試験、通称にんにんテストとは、
移動する術、戦う術、隠れる術の3つの観点から総合的に忍術の技能を評価する資格試験だ。
拙者は先月準1級の筆記試験を受けて合格したため、今日は実技試験を受けるのでござる。にんにん。



このご時世なので、今回はリモートでの受験となっている。


リモート……
……そうだ!
対策できていない忍術は、リモートであることをいいことに上手くごまかしてしまえばいいのでは!

試験をドタキャンしてしまうか迷ったが、リモートという状況を巧みに利用してごまかすという、舐め腐った手法で押し切ることに。
ここはいっちょ「忍法、処世の術」ということで。



まず、煙遁(煙でドロンとするやつ)の対策としてドライアイスを用意した。
画面から見えないところでドライアイスをモワモワ〜っとさせて、その間に画面からフェードアウトすればいけるんじゃないか。

それから分身の術の対策として、自分の分身に見間違うほどのそっくりな人形を用意した。
これは結構手こずった。
自分の表面に粘土をペターっと貼り付け、スポっと取ると、私の脱け殻ができる。
それに色をつけたら分身粘土マンの完成というわけだ。

手のこんだ逃げ道を作り終えたので、すっかり自信にみなぎって、めちゃくちゃフォーマルな忍者服に着替えて試験の時間を待った。



時間になり、試験官とzoomを繋いで試験が始まった。

最初のテストは"忍び足"。
これは普通にいける。静かに歩くだけ。ノー勉で余裕なんですけど。

立ち上がって何の不正もせずに画面の前で忍び足をして見せる。

だが、試験官の反応が悪い。

「ちょっと音出てない?」

詰めが甘かったのだろうか。わからない。
でも、まぁ、いいや、
忍法 処世の術!ミュート!


試験官が普通によそ見している瞬間が結構あったので、その隙をついて自分のパソコンをミュートにする。
こちらの音が全く届かなくなるので、完璧な忍び足をお送りできた。

ってことで忍び足は難なくクリア!


その後も、手裏剣やまきびし、忍者走りは正攻法で順調にクリアし、
苦手だった煙遁もドライアイス作戦で何とか切り抜けることができた。



そして最後の試練、分身の術。

ついに自信作の分身粘土マンを披露するときが来た。
そう思ってスタンバイしておいた場所を見ると、
なんと、
粘土マンがいなくなっているではないか!

一体どういうことだと狼狽えていると、

背後に気配を感じて

振り返ると

粘土マンに背後を取られていて、

と、突然、粘土マンが内側からビリビリと破かれ、中から画面の向こうにいるはずの試験官が出てきた。
「全てお見通しですよ」と高笑いしながら。

私の姑息な手段などプロ忍者の前では無駄だったのだ


ああ、忍者の道は甘くない。
悔しいやら恥ずかしいやらで、ビリビリにされた粘土マンを、泣きながらかき集めるのであった。



お笑い軍資金にさせていただきます。