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ツインレイ?の記録4

発熱して以来三日連続彼から体調を気遣う連絡がきた。

1月26日
「昨日、咳き込んでいましたが体調は良くなりましたか?」

この時私は謎の低体温。咳もまだあることを報告した。

それに対してアドバイスと、私の身体を気遣う返事。

本当にこの時は、彼のレスポンスが速い。
もともとすぐに返事ができる人なのだと今さらながら気づかされるし、今やられている既読無視やスルーは、故意なのだと今さらながら気づかされる。

そしてこの日の夜も、仕事後に向こうから連絡が来た。
この小さな町でのセレモニーに参加したという一日の報告。
私の働く大学の留学生たちの英語のスピーチを聞いたという内容だった。

そしてセレモニーの後にやらされたという書初めと生け花の写真を送ってくれた。どちらも素晴らしい出来栄えで、本当に「完璧な人」なんだなと思った。

よくわからないイベントに参加させられるのは私もよくあったことで、特にお酒の席で嫌な思いをしたことが多かった。

そのことを書くと、向こうも会社の飲み会で同じく嫌な思いをしているとのこと。乾杯地獄で潰されるという体験を語ってくれた。

この頃の私は特にメスを出すこともなく、自然な感じで会話が続いている。

1月27日
この日は私から夜連絡。
前日に出した干し柿が腐っていた可能性があったからだ。
その時、コーヒーに干し柿の組み合わせがおかしかったのか、彼は食べなかったのだが、一応失礼があったことを詫びた。
それと私の風邪がうつっていないか少し心配だった。

この日彼はこの地から高速列車で3時間のところにある大都会まで出張だった。翌日戻ってくるという。

メッセージを見返して気づいたが、この頃の彼のメッセージには「笑」がある。今はない。
この時は返事も早い。その日中に必ず返事がくるし、今とちがう。
いつも23時ぐらいまで会話が弾む。

1月28日
私から回復報告。
借りていた毛布を返したいということを連絡した。
そして向こうの都合を聞いている。

それに対して30分後に返事。

出張から無事にこの町に戻ってきたという報告。
そして毛布は気にしないでほしいということ。
彼のホテルは暖房が強力なので必要がないらしい。そして、まだまだ寒い日が続くから必要な人に使ってほしいと言ってくれた。

「体調回復したからといって安心して寒い格好で寝るとまた体調を崩しますよ」

まるで私のことがよくわかっているかのような言葉だった。

「気にせず使ってくださいね」

そう言われて、まあ、これでしばらくもう会うことはないなと思った。

私は風邪が治ったし、毛布もしばらく返さなくていいし、今は冬休みで学生たちもまだ戻らないから、お願いしていた家庭教師の件もまだ先だ。

ところが、その20分後、さらに彼からメッセ―ジ。

出張先で私のためにお土産を買ってくれたという。

そこまで良くしてくれることに私は大感激で、お礼に何かしたいと思い、思いついたのがマッサージだった。

何しろ私にはマッサージのプロの師匠がいて、本格的に通いで学んだことがある。私は師匠の自慢の弟子で、店を継ぐことも勧められていたぐらいだ。

この地で疲れている彼をマッサージで癒したかった。

この申し出を彼は喜んだ。
マッサージだけでなく私の自炊も期待していると言ってくれた。
前に私がお礼に手料理を作りたいと言ったことを覚えていてくれたのだ。

私はいつがいいかを尋ねた。
私の家でもいいし、ホテルまで出張マッサージしてもいいと言った。
別に変な意味はなかった。
それこそ私の師匠はよく高級旅館に出張マッサージに行っている。

返事は今日ではなくてもいいと伝えたが、その日のうちに彼から返事がきた。

私の本気のマッサージは、相手の体によっては1、2時間かかると伝えていたので、彼は恐縮しているようだった。
風邪が治ったばかりだから、そんなに体力を使わせるわけにはいかないと、元気になってからでもいいと言ってくれた。

1月29日
翌日になって私は返事をしている。
凝り具合でマッサージに必要な時間は変わるし、とりあえず試してみないかと提案。

私の体を案じていることに対しても、彼に会ったほうが私は元気になるというふうに伝えた。私は好意を隠さない。

そしてその夜また返事。

その日は彼の会社の現地社員の送別会だったという。
その送別会で食べた不思議な料理の写真などを送ってくれた。
私はnoteでこの地についてのレポートも書いているのだが、有料記事でも買う人がいる。そのことについても言及してくれて、私のことを多才だと褒めてくれた。

そして私がこの国にくるまでビザ取得に八カ月もかかったことについても労ってくれた。疲れが溜まっていたのだろうと、お疲れさまでしたねと言ってくれた。

本当にこの時の彼はなんて優しいんだろう!
いや、もともとそういう人なのだ。
だけど、今は優しさを出さないように、突き放しがすごい。
何が悪いの? どうして私にだけ彼らしくない態度をとるの?
そう思いながら、今もモヤモヤしてこの記事を書いている。

その日は私の返事で終わっているが、日にちが変わっても会話は続き、翌日午前中彼から返事がきている。

1月30日
私がライターや校正の仕事をしていたことについても言及してくれて、文章の書き方や表現が上手だと褒めてくれている。私が発表している小説もぜひ拝見したいと言っている。凄すぎですとまで褒めている。

どうして今は全然褒めなくなってしまったんだろう。
この時の彼はこんなにも素直に私を褒めてくれるのに。

そして私の話にも共感的態度を示してくれる。
これは今や私のほうがある。
これは明らかに好意がある相手にする態度だ。
自分と同じところをみつけて喜ぶのだ。
この頃はお互いに共感的態度があった。

そして彼は毎日その日にあったことを報告してくれている。
その日食べたもの、めずらしいもの、写真を撮って送ってくれている。

その一つ一つに私はレスポンスし、向こうも私の言葉、送った写真に一つ一つ丁寧にレスを返している。

とにかく返事が早いし、同じテンポで同じ文量で会話ができている。基本的に私たちはどちらも文章が長い。

いつから、どこから、歪んで壊れてしまったのか。
どうして素直に普通にやりとりができなくなってしまったのか。
私が悪いのかなぜなのか。

この時の彼は本当に素直で私に対しても優しい態度や言葉を惜しまない。

私の部屋はシャワーだけで湯舟がないから簡易浴槽を使っているが、彼はそれを子どものプールと言いながらも、湯冷めしないか心配してくれている。
足を伸ばして入りたいという私の言葉にも共感を示してくれている。

この時私は自分が作っていたかぼちゃの煮物の写真を送っている。
それを褒めてくれた彼に私は食べに来るかと聞いている。
すると即レスで
「本当ですか? ぜひごちそうになれるならお願いしたいです。楽しみしています」
という返事。

湯冷めしないと言う私に
「立ちくらみしないように気をつけて」
という言葉。

彼は本当に心配性だと思う。
私はここまで男の人に心配されたことがない。
もともとの性格なのか何なのかわからないが、そもそもこの「心配性」というのは彼の中で大きな核になっているような気がする。
彼にとって相手を気に掛ける=心配するということなのだろうか。

そしていつかぼちゃの煮物を食べに来るかという話になり、向こうから土曜と提案してきた。この時は火曜日だ。

土曜日は私も都合がよかった。
彼はご飯を炊いて持ってきてくれるという。
初めて会った日、弱っている私に食べさせてくれた白いご飯。
日本のお米。泣きながら食べた白いご飯。
小さい頃カピカピのごはんを食べさせられていた私にとって、このごはんのおいしさはそのまま過去の私が受け取れなかった愛情だ。

どうしてこんなにこの人が持ってくるお米は特別なのか。
どうしてこんなにもおいしくて涙があんなにも出たのか。

まだこの時にはその意味がそこまではわかっていない。

ただ言えるのは、この時の彼の優しさは本当にストレートで、私の心に沁みていたということだ。

そしてこの時の私は、まだそこまでの恋愛感情を出していない。
だから彼もそこまで警戒がなかったのだろう。
私に対して優しさを向けることにためらいがない。

今まで私は色んな男を好きになり、つきあってもきたけれど、ここまで最初から意気投合して、お互いが同じぐらいの好意と熱量で、親密になれたことはない。

そんな男の人はいなかった。

私たちは何の障害もなければ、付き合っていたのかもしれない。

彼が既婚者じゃなければ……。






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