定義される度、生まれ変わる僕ら


例えば、「リンゴ」が定義される前、世界に「リンゴ」というものは存在していなかった。
だけど、誰かがこれは「リンゴ」だと定義した瞬間、その世界には「リンゴ」が生まれる。だけどこれってちょっとおかしい。だって、「リンゴ」が定義された瞬間、そうやって定義される前の世界にも、「リンゴ」が存在してしまう。つまり、「リンゴが存在していなかった世界」と「リンゴが存在する世界」が同時に存在してしまうことになる。


・リンゴが定義される前
リンゴは世界に存在しない。


・リンゴが定義された後
リンゴが定義されたことにより、時を遡ってリンゴが存在することになる。

例えば、西暦1年にリンゴが定義されたとする。そして、西暦1年よりも前にリンゴが存在していた形跡が発見された時、西暦1年よりも前にリンゴが存在していたことになる。
だけど、西暦1年よりも前にリンゴは定義されていない=存在していない はず

この矛盾を解消するために、「リンゴが存在しなかった世界」を消し去ってしまうほかない。だって、今僕らが生きているのは、「リンゴが存在する世界」なのだから。だけど一体、「リンゴが存在しなかった世界」にいる僕らはどうなってしまうんだろう?


リンゴが存在しなかった世界は消える、だけど僕らはここにいる。じゃあ僕らは生まれ変わったんだ。そうに決まっている。そう決められてるはず。


何かが定義される度、僕らは生まれ変わる。これを定義転生と呼ぼう。


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