【新日本プロレス】1996年② BOSJ,G1。新日本の熱い夏

Uインターとの対抗戦が終わり、新たな仕掛けを打つ新日本プロレス

4.29ドームから始まった橋本政権。高田との試合でことさらその強さにスポットが当たり『強さの象徴』としての立ち位置が盤石のものとなります。
しかし同時に、膝の爆弾にも悩まされることに…

①ベストオブスーパージュニアⅢ

・金本浩二が直前で欠場。自然とファンの目は大谷晋二郎に集まる。期待に答えるように『世代闘争』『負けたくないんじゃない、負けるわけにいかないんだ』と奮闘するが、決勝トーナメント進出はライガー、サムライ、ペガサス、ブラックタイガーの現世代組である『ジュニア・フォー・ホースメン』が独占する結果に。
優勝はブラックタイガー。「雪崩式垂直落下ブレーンバスター」という超危険技が猛威を振るった。

・シリーズ中、小原、天山、西村、小島の4人で『IWGP王座挑戦者決定リーグ』を開催。一番キャリアの浅い小島が全勝で王座挑戦が決定。そして3.11広島で橋本との対戦。奮闘するも橋本の袈裟斬りチョップに圧倒され完敗。

②THE SKYDIVING-J

・『全戦ジュニアのタイトルマッチ』で行われた伝説の大会。BOSJ中にヘビー級のタイトル戦が行われるなどジュニアヘビー級軽視を危惧したライガーのプロデュースと言われており、この大会後にライガーが『こんなにたくさんのチャンピオンはいらない。このベルト全部かけて、誰が一番強いか決めようぜ!』と呼びかけ、夢の『8冠統一トーナメント』が決定。ジュニアヘビー級による攻勢が続くことに。
・各団体から選手が出場。新日本プロレスに関係する選手の戦績は以下の通り
 ・IJタッグ王座戦:○ランスストーム、安良岡裕二(ウラカンラナ)エル・サムライ、●保永昇男
 ・WWA世界ジュニアライトヘビー級王座戦:○グラン浜田(飛びつきスイングDDT→体固め)高岩竜一●
 ・UWAジュニアライトヘビー級王座線:○大谷晋二郎(チキンウイングフェイスロック)桜庭和志
 ・英連邦ジュニアヘビー級王座戦:獣神サンダーライガー(掌底→体固め)ディック東郷
 ・IWGPジュニアヘビー級王座戦:ザ・グレート・サスケ(雪崩式フランケンシュタイナー)ブラック・タイガー

③メモリアル力道山

・力道山追悼として、各団体が提供試合をする合同興行を開催。まったく話題にならない大会だったが、現場に来ていた長州がインディ団体の提供試合をみて「あんなものはプロレスじゃないよ」と苦言。これが後々とんでもないことに…


④サマーストラグル96

・夏の北海道巡業シリーズ。この年の目玉はなんといっても4.29で結成されたトリプルウォリアーズの全戦参戦。北海道の各地方を盛り上げた。
・最終戦は札幌でのIWGPヘビー級選手権。相手はなんとリック・フレアー!だけど、橋本とは手が合わず、あまり盛り上がる試合にはならず。試合後、橋本は『長州ー!!!!!』と、G1開幕戦で対戦することが決まっている長州力に魂の咆哮。

⑤G1クライマックス

【リーグ分け】
■A:橋本真也、長州力、佐々木健介、平田淳嗣、天山広吉
■B:武藤敬司、蝶野正洋、越中詩郎、山崎一夫、小島聡
※各ブロック1位が最終日に決勝戦を闘う
この時は両国国技館5連戦。これが全てチケット売り切れてたんだからとんでもないですね…。
この年のG1は、何と言っても『長州の全勝優勝』なわけですが、実際には各試合全てにドラマがあると言っても過言ではない熱さでした。

・山崎が武藤を飛びつき逆十字で破る波乱の幕開け。武藤は、山崎の負傷している指を踏みつけるなどヒールに徹した態度が仇となったか
・平田対健介のゴツゴツ対決は、平田がまさかの膝負傷でレフェリーストップ。平田は全戦欠場で夏が終わる…。
・開幕戦のメインは橋本対長州。『俺のG1は長州力』と並々ならぬ覚悟で臨んだ橋本だったが、長州が秘策の低空ドロップキックで橋本の足を破壊。そのままリキラリアット5連発で長州が勝利。橋本はこの試合で左膝前十字靭帯断裂、半月板損傷の大怪我を負う。
・リキラリアットで人形のように吹っ飛ぶ天山。一方、前日の橋本戦で長州も足を負傷しており、”あの”長州が膝にガチガチのテーピングを巻いていることが話題に。
・蝶野対越中の反体制リーダー対決は越中が制する。観客の熱狂で両国が暑苦しい空気に。
・怪我をおして出場を続ける橋本を、天山が沈める大金星。橋本は、歩くことさえままならない、痛々しい姿で退場
・武藤対越中で、衝撃の雪崩式ドラゴンスクリュー!一瞬のひらめきが光る武藤が越中から勝利
・健介の張り手で完全失神する天山。でも服部さんにも張り手を食らって強制再起動
・健介対長州は、長州の負傷箇所である足を狙わずに闘う健介に、長州がまさかのチョークスリーパーで失神KO勝利。試合後、負けた自覚のない健介が服部レフェリーに掴みかかって抗議。長州は、そんな健介にダメ押しのリキラリアット!そこから体固めの体制に入ると、試合後なのに迷わず3カウントを叩く服部さん。試合後健介は「俺がほしいのはあんたの足じゃない!あんたの”男”がほしいんだ!」と涙のマイク。この時点で全勝の長州が決勝進出確定。
・予選最終日、決勝進出に望みを残した越中を、ここまで全敗の小島が小包固めで初勝利。そして越中は脱落が決定。このとき、越中の勝利と勘違いした音響スタッフが越中の入場曲を流して、田中リングアナが訂正する珍事が起きる
・健介対橋本は、リングインもまともにできない橋本が試合前に「健介ー!!!俺に勝てるかーーー!!!」と異例のマイク。完全に強がりだが、前日あれほど長州の"男"にこだわった健介が、橋本には容赦ない足攻めを繰り返して、最後は逆一本背負いで勝利。橋本は不戦勝を除いて三戦全敗に終わる
・直接対決による勝者が決勝進出に行くこととなった蝶野対武藤は、超絶な名勝負。最後は、ムーンサルトプレスの位置取りが甘く、かなり浅く入ったことで足四の字固めに切り替えた武藤を、蝶野が変形小包固めに取って3カウント。これで決勝は蝶野対長州に。

・決勝戦は長州の足に狙いを定める蝶野が9割がた攻める一方的な展開。途中、檄を飛ばす藤波の”気付の張り手”の威力が強すぎて失神しそうになる長州だったが、最後はケンカキックのカウンターでのリキラリアットで逆転。最後はサソリ固めをがっちり決めて、G1リーグ初の全勝優勝を果たした。

こうして、大熱狂のG1クライマックスの幕を下ろしましたが、実はこの両国5連戦では、例の『8冠統一トーナメント』も同時に行われていたのです。
こちらに関してはまた次回…。



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