ベツレヘムの星を探して
12月16日
西へ向かう
静岡の西部にはお師匠を始め、時々お世話になっている人たちがいる。
年末ということもあって、彼らに会いに行く旅に出ることにした。
遠州には何度か行っているので、大体の地理は方向音痴の自分でもなんとなくわかる。
真冬の早朝の気温に耐えられる気がしなかったので、今回は太陽が空気を温め始めた頃に家を出て、沼津までは高速道路を使うことにした。
由比の海辺に出て駿河湾に囲まれると静岡に来た実感が湧く。おきまりの場所。
国道1号をしばらく走り、海沿いを走りたい気分なので清水からは国道150号へ。
この日はとても風が強く、気をぬくと風に煽られてふらついてしまうので走るのにも大分気を使った。
ガソリンスタンドのお姉さん曰く、ここ数日風の強い日が続いているらしい。冬の遠州は西風が吹くものだが、それにしても強風だという話だった。
ずっと国道を進んでいたつもりだったのだが、大井川の河口でなぜか道を逸れてしまった。ここらは工業地帯になっている。
さあさあ冬の日は短い、先へ進まなければ。
それでも遠州の海はつい寄り道をしてしまう。
白砂が強風で舞い上がり視界が霞む。ゴーグルとマスクをしていないとまともに歩けないくらいだ。
このあたりは砂が白く、波は翡翠色なのが美しくてとても好きなのだ。
日が沈むだろうという頃に浜名湖の辺りまで来られた。(掛川から高速道路に乗ってしまった。思ったよりも浜松は遠いね。)
お師匠オススメのカフェに行くという目標をこなして掛川まで戻る。
掛川で良くしてもらっている服屋さんへ寄って年末のご挨拶。
どうやらオフ車を最近買ったらしく、春になったらミニトレと山行きましょう!と言ってもらえたのでミニトレでの静岡遠征が決定しました。頑張るぞ〜
(神奈川から静岡入るまでの山越えが地味にパワー不足で大変なんだよなあ)
この日はこれで終了。もちろん掛川ビールを飲みます。
雨雲とフェリー
翌日はお師匠と合流。
この日は昼から雨の予報で、出発の時も雲が空を覆っていた。
その分昨日のような強風はなくて走りやすい。
色々と相談をさせてもらっているバイク屋さんに顔を出す。
ここでも瓶ビールを渡して年末のご挨拶。彼は甘いものが好きだから何か甘味も持って来ればよかったな、でもそれはまた今度。
今回の遠征の目的は挨拶回りの他に、駿河湾フェリーに乗るというのもある。
バイク屋さんとのおしゃべりに夢中になってしまったがフェリーの時間が迫ってきたため、フェリー乗り場のある清水港を目指して再び走り始める。雨が身体を濡らすが雨具のお陰でそれほど寒さは感じない。
フェリー乗り場に着く頃には雨は小雨になっていた。
風が無いおかげでこの日は運行!この日の前後はどちらも強風で全便欠航だったため運が良かった。
清水の街とお師匠に別れを告げて駿河湾へ。
駿河湾フェリーの航路は県道223号線、県道フェリーなのだ。道は陸だけではない。
お腹が空いたので何か食べることにした。そういえば朝に道の駅掛川でパンを食べたきり何も食べていないんだった。
船外のデッキで売っているたこ焼きを注文すると、保温が追いつかないから半額でいいとのこと。この寒さで屋外だと保温が追いつかないのはしょうがないと思うが、売り子さんの申し出に甘えることにした。
土肥港に着くと雨がしっかり降っていた。湾を渡るだけでこんなにも天気が変わるのか…
宿までは5分程度の道のりだったので、ささっと走りきる。
雨で冷えた体を温泉で温め、宿の近くの中華屋さんで夜ごはんを食べ、部屋で晩酌、寝る前にまた温泉。温泉はいいね。
港町へと
夜更けから風がごうごうと吹きすさぶ。民宿はギシギシ揺れ、外のSRが心配になる。
浅い眠りを漂いながら朝を待った。
雨は止んだが翌朝も強風は続いていた。
今日は伊豆半島を横断し、海沿いを通り神奈川へ帰る予定だ。(冬の箱根峠は越えたくない!)
伊豆の山中で草原を探したりもしようかなと初めは考えていたけれど、風が強すぎてそれどころではない。
標高の高い山で吹かれ続けるのはなかなかの恐怖だった。風の強さと冷たさが心身を疲弊させるので、早く山を越えたい一心で走り続けた。
やっとの思いで東伊豆へ出て安堵する。
海の向こう側には初島が見える。
安心したらお腹も空いたのでお昼ごはん。せっかく静岡にきたのに魚介を全く食べていなかったことに気がついたので、ここで魚介タスクを回収。
鯛のごま茶ずけ丼、美味しかった!
この後はひたすらに国道135号を上る。熱海で花火大会がある日だったようで、所々の渋滞が体力を削る。日差しの暖かさは救いだった。
小田原でまた休憩。空は紅く暮れ旅の終わりが見えてきた。
今夜のごはんはクラムチャウダーだ。なんたってしつこいくらいにリクエストを続けていたからね。
また単気筒の脈拍を刻みながら、緩い渋滞の中に身を委ねながらゆっくりと川崎の港街へと向かった。