IPOについて①

個人的に、2社、取締役CFOとして、東証マザーズ上場の責任者を担ったことがあります。こうしたら、絶対上場できるという簡単なものがあるわけではありませんが、一応、2社の経験を踏まえ、感じていることだけ書いてみようかと思います(一回で書ききれるとも思いませんので、とりあえず①ってことで)。

個人的には、2つの側面、①市場に出すための最低限の会社としての品質保証の観点(会社に限らず、肉でも野菜でも市場に出すための品質のレベルは設定される)、②会社はIPOすると銘柄という商品となるため、商品・サービスとして魅力や今後の需給関係、ニーズ、そして、本質的な自社の商品。サービスの差別化能力(通常の競争戦略的観点)③もう一つは、金融市場の一つである株式市場の動向(株の買い手)。私はこの3つを意識しており、とりわけ、②の商品・サービス、と③の株式市場の動向、を意識していますが、意外と、①の上場企業としての品質、すなわち、開示体制、組織体制など公開準備の中心となる部分に意識が行き過ぎている場合もある気がします。一ついえることは、①で求められていることは、感覚的には7-8割は、上場しようがしまいがすべき、会社の運営の品質の問題です。この課題を克服する最大のボトルネックは実は経営者自信だったりもしますが、そうでなければ、専門家のサポートはコストをかければ得ることはできますので、あとはこの品質を維持するためにどうしても必要なコストを許容できるか、このコストを支払っても上場企業として利益を出せるのか、どうかという議論にはなると思います(最近では、赤字上場などありますが、それは別にして)。IPO経験者がいると、概ね①の論点はなくなりますが、②、③の論点は残っていることは忘れないほうがいいと思います。

②、③に関連する話ですが、日本では、IPOブームというものが来ては、去っていくという流れがありました。学校の入学基準的な考えでは、利益や成長率などの基準を満たせばいいのではと思いますが、そうも行きません。あくまで市場ですので、ブームというものが存在します。ITとか、AIとか、クラウド、とかのバズワードも、食べ物でこの食べ物が健康に効く、とか、最近これが売れている、と聞くと過剰に売れるとか、それと同じです。

これにプラスして、株式市場のトレンドがあります。景気はどうしても、いい時と、悪い時と繰り返し、これに、人口動態、技術面、政治面、環境面(災害、病気など)の複数の要素が重なります。他国とは別に、日本はバブル崩壊後、低迷していますが、その中でも、株式市場のメインプレーヤーは変わっています。また、ベンチャーのような新しいものに投資したい時期と、やっぱベンチャーのような規模の小さいところに投資するのはリスクのほうがリターンより高いと言われる時代があります。また、投資家もいくつかの企業に投資するにあたり、ベンチャーばかり、とか、特定の業種ばかりというわけにもいきません。そうすると、ベンチャーで、各業種で、投資される企業は、数社に限定れるため、上位数社しか上場できない、ということにもなります。

ベンチャーがどのタイミングでIPOをするかは、スピード勝負系のビジネス、すなわり、先行者利得があるビジネスであれば、株価が小さくても早くでるしかない、まして、その市場で最初の上場あるいは、遅くも2-3社目を目指すというのが、IT系ベンチャーではよくある話のように思います。Saas系であれば黒字転換するタイミング以降あたりとの兼ね合いもある気がします。

主幹事証券会社も、はじめてあった時の温度感から、その後、変化することはよくあります。それは、主幹事証券会社がいい悪いではなく、主幹事証券会社も究極は、市場の買い手である投資家に、その企業の株が商品として売れるか、どうかの、ある面お店のバイヤーであり、顧客である投資家のニーズはどんどん変わるので、対応も変わる、ということです。

経営者がそこまでトレンド追うことは難しいですが、同業あるいは類似性が高い会社のIPOの動向に敏感だと、結果、資金調達でのコミュニケーションもうまく行くと思います。先行事例は、市場があることの証明、と同時に、先行した競合の存在を明確にし、そこでの株価はどうしても、非上場の自社の株価に影響を与える、ことにはなりますので。




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