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Siouxsie & The Banshees : Peepshow

Through the Looking Glassの後に出されたのがこのPeepshow。今、ネットで調べてみるとあまり評価が高くないのが残念だが、個人的にはSiouxsie & The Bansheesの最高傑作ではないかと思っている。かなりポップになった音で大衆に迎合していると言わんばかりの評価が散見される。確かに初期のパンキッシュなエネルギッシュさはないが、独特のゴシック美というかダークでプリミティブな民俗音楽的な響きなど混沌とした音の渦が良質なポップ・ミュージックに昇華されたと思えるのである。

このアルバムの頃はアナログ盤とCDが混在していた時期だったと思う。アナログ盤が出されて、ほとんどタイムラグなしにCDが出たような気がする。実際、この時はCDを手に入れている。そして最近になって(ここ数年の内だったと思うが)アナログ盤LPを手に入れた。12inchのジャケットというのはやはり存在感が違う。

この後にリリースされたSuperstitionはよりポップになって聴きやすくなっている。個人的にはあまり聴かないのだが、根強い人気があるアルバムとなっているようだ。初期では最高傑作とも言われているアルバムJujuの発表頃からかスーとバッジーはCreaturesという別プロジェクトで活動している。バンシーズが聴きやすいポップな方向に向かって行くのとは対照的にCreaturesはバンシーズにあった呪術的な面と民族音楽な側面を突き詰めて行くスタンスであったようだ。Peepshowはそういったバンドの動きと当時ポップ・ミュージックにかなり浸透してきたテクノの流れも取り入れたものとなっているように思う。ColorBoxなどに見られるアナログのサンプラーをふんだんに使ったテクノポップとでも言うか、NewWaveとの流れの本流に位置する音作りではなかったのか。とにかく、変な音楽と聴きやすいポップとの間に浮く、絶妙にエモーショナルなアルバムだと思うのだ。

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