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ヨハン・パッヘルベル

 手紙からLINE。黒電話からスマホ。何が言いたいかというと時代は進歩しているということである。

 現代、出会いはアプリでできるようになった。学生時代、海賊版みたいな出会い系アプリをあるだけいれて課金の手前まで使って消すという遊びを友達としていた。だからまずそのアプリの目的である「出会う」という行為は全くなかった。

 その遊びから2年くらい経ち、もはや出会い系アプリよりもマッチングアプリの方がよく聞くまでに変化した。マッチングアプリは課金すれば多くの異性と会話できマッチングすれば会えるもので、基本的に課金は男性のみで女性は無料のパターンが多い。

 1ヶ月ほど前、酔った勢いで課金してしまった。4000円。高い。しかしこの額を月々払えば永久的に仲良くなった人と会えるようになる。しかし、とりあえず1ヶ月契約で課金し、翌月には解約する設定をした。

 課金して1-2日ほどで5~6人ほどの方と連絡を取ったが多くはアプリ上で完結してしまい、LINE交換までいったのはたった1人だった。実質その1人を4000円で買った感覚になった。

 同い年、同業者ということもあってLINEは弾んでいると思っていたし、1ヶ月の間に何回か電話もした。その子と初めて会ったのはLINE交換してすぐのことでたまたま近くまで遊びにきていたので時間を割いて会ってもらった。約40分程車でトークしてその子はもともとの予定へと行った。

 私の人生経験ではその時点でもう会うことはないだろうと思っていた。しかしその後もLINEは続きついに休みが被った日に遊びに行くことになった。

 その子は翌日が早番だというので少し早めの10時から集合した。遊ぶ約束をしたときに喫茶店巡りと古着屋に行くというおおまかな目標は立っていた。

 10時にショッピングモールで待ち合わせ、そこから歩いて決めていた1店舗目の喫茶店へと向かった。レトロな作りでいかにも「映え」が狙える場所でミックスジュースとメロンジュースを注文した。私のは後者だ。

 5分程で2つとも運ばれてきて、飲み始める時にその人の顔を始めて見た。以前の車内トークはお互いマスクを着けたままだった。

 初のマスクなしの印象をここで文字にするのはあまりにも太宰治なので省略するし、私自身人を評価できるような立場でも育ち方もしていない。

 色んな会話をしジュースを減らす。正直メロンジュースと表記するよりキュウリジュースとかいた方が的確だし、そっちの方が「映え」だ。

 1時間くらいはそこにいてキリのいいところで店を出た。

 その後商店街を練りに練り歩きさらに練り歩いたがもう喫茶店には入らなかったし古着屋は開かなかった。

 結局、15時くらいに解散した。私自身楽しい1日となったが、その子にはハマれなかった模様で、それからLINEが来る頻度が減り、いま24時間ほど来ていない。
 私は4000円で1ヶ月限定の友達ができたと捉えることにしたが、それも太宰治なのかもしれない。

チキン南蛮定食をたべます。