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びるじじこ

これから、びるじじこ制作過程のことを公開していこうと思う。
とても説明的で、つまらない試みかもしれないけれど、なかにはおもしろいものもあるかもしれなくて、誰かがそれを見出してくれるかもしれない。いや、誰にも読まれないかもしれない。まあいいや、誰にも読まれないかもしれないから自分のために書いていこう、といつもの調子が戻ってきた。

こんな感じでダラダラと、余分な説明を老廃物を出すようにアウトプットしながら、昨年『びるじじこ』を作った。こんな説明は、誌面に載せるものではない。それは目的ではない。でもぼくは説明したがってしまうので、違う紙に書き殴ることにしていた。そうしたら、これもまたびるじじこだ、これもおもしろがってくれる人がもしいれば、単なる老廃物にはならないんだ。と思った。ミミズやトビムシなどという、人間が分解者と呼ぶ生物たちがいるから、自然には本来ゴミというものがない。だからこのゴミのような文章も読み手次第ではゴミにならない。

そうして書き殴って蓄積したノートやメモをまとめて『びるじじこをめぐらす』というzineを作った。100ページ溜まるごとに新たなものを刷って、このノートスタイルのzineは計3冊になった。そこでやっと、『びるじじこ』を作るためのメモやノートであったはずが、メモやノートをとることが楽しくなってしまうという"手段の目的化"に陥っていること(まるで人間みたいだ)に気づいて、これ以後はそうしたスタイルのzine作りは辞めて『びるじじこ』制作に専念した。

けれどノートやメモ自体を辞めたわけではなく、『びるじじこ』完成までも、それから完成後も、書き続けている。それは完全に自分のためのもので、誰かに見られるというカッコつけもなくて、いい感じだ。
でもせっかくなら、独り占めしないで、周りの人にも見てもらいたいと最近思うようになった。

1月に「みちくさ」というイベントに出展したとき、"非売品のzine"と呼んで、びるじじこ編集ノートを置いていた。そうしたら、バンドで出演していた藤本壮志くんがおもしろがってくれて、音声でも配信してほしいと言ってくれた。
ぼくが「話すのは苦手だよ」というと、「ずっと沈黙になっててもそれはそれでいい」とまで言ってくれた。
(今日初めて会ってぼくの何を分かって言ってんだ!)
何にも分かってるはずはない。でもそういう、根拠がなくとも無条件に背中を押してくれる声はありがたいもので、ぼくはこれまでそういう声がたくさんあったおかげでいろいろやってみようと思えているんだと思った。

ぼくは今雑誌という形でびるじじこを表現しているけれど、別に雑誌でなくてもいいのかもしれないと思う。
もしも定食屋を開いていたら、びるじじこな料理を作ってびるじじこなひと時を作ろうとした。
もしもバンドをやっていたら、びるじじこな曲を作って、びるじじこなMCをしていた。
もしも教師をしていたら、びるじじこな授業をして、びるじじこな学級便りを発行していた。

今のぼくは配管工として働いていて、なんとか雑誌を作る時間はあるけれど、他に山ほどあるやりたいことは、する余裕もなければ力もないことがほとんどだ。
でも、これを読んで共鳴する誰かが、その人の方法でびるじじこを、もしくはまだ名前のついていない何かを表現してくれるかもしれない。
そもそもびるじじこだって、ぼくひとりの中から生まれたものではなくて、宇宙の歴史の堆積の上で、そこから養分を得たぼくがたまたま表現しているに過ぎないように感じているから。
だからノートを独りで書いていないで、公開してみたいと思った。

壮志くんのすすめてくれた音声配信はまだ具体化していないけれど、まずはnoteに書いてみる(群馬に住んでいて車移動が多いので、音声も良いなあと思う)。

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