【エッセイ】アマチュア役者は台詞を飛ばす夢を見るか?
夢を見る。
自分は訳もわからず、舞台袖にいる。
これからなんの演目をやるのか、自分はどんな役で、どんな段取りなのか、何一つ分かっていない。
「ほら、出番だよ」
背中を押されて舞台へ出るが、やはり何一つ台詞は出てこない。
ぞわぞわとした、冷たい感覚が背筋を走る。
台詞を覚えてこられなかった罪だ。
どうしよう、とただ焦るだけで、凍てつくような時間が舞台上で過ぎていく。
…といったところで、いつも目が覚める。
目が覚めた自分は、本番に向けてきちんと台詞を覚えていて、妙な気分にな