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そうだ、ユアスタに行こう2〜劇場復活のお知らせ〜

5月12日の広島戦についてのnoteです。
今回は珍しく試合内容についても書いてみようと思います。ただあまり戦術的なことには触れてはいません。
この日ユアスタで感じた空気感というか、選手が見せてくれた頑張りに感謝の記録です。

憲太郎に届け

試合の前に少しだけ触れます。
この日、試合前から空気は違いました。
先日のルヴァンカップで関憲太郎選手が大怪我。木曜時点ではクラブから容態はまだ発表されていませんでした。

そんな中、コールリーダーが自身のインスタでの呼びかけ。
ゲーフラ、ボードで気持ちを伝えようと。

それから試合までは、
ボードの作り方を広めてくれる人がいて、
ネットプリントを共有してくれる人もいて、
ゲーフラの作り方を聞けば先人達が教えてくれ、
その日試合来れない人も拡散という手段をとり、
各々ができることを探した時間でした。

試合前日にはコアがゲーフラ作る会の告知。
布だけ持ってきたらすぐできるよ、と。
こう、参加しやすい呼びかけはいいですよね。
当日も朝から頑張ってくれてて頭下がります。

沢山の人がなにかしら持ち込んで掲げられた沢山のボードとゲーフラ。

サポは勝利を届けたいと一つの方向を向いていたけど、バックに頭を下げるキーパーコーチの姿が印象的で、選手やスタッフ陣はそれ以上の気持ちだったのでしょう。

試合の前に


結論から言うと、今回の試合は交代策も含め我慢できなかった広島と我慢した仙台という構図だったと思います。
特に後半に広島が(なぜか)攻めて来たことが大きく、仙台がそこをつけたのは明らかでしょう。

少し疑問が生まれました。
なぜ広島は攻めて来たか?
前半の仙台はどうだったか?

印象としてはじれったい前半だったのではないでしょうか。決定機は少なかったですし。

けどやはり試合はどこかで繋がっていると感じたシーンはいくつかありました。同時に選手のそれぞれの良さを感じるシーンが。


では、その前半から振り返ってみます。

前半
攻めあぐねた中で打ち続けたジャブ


(1)仙台の守備

失点は勿体なかったですね。いいボールが来たとはいえ中では準備してて欲しかったのが本音。

早い時間に失点し広島のサイドがあまり前に出てこなくなったこともありましたが、その後守備は比較的安定していました。

でも常田はほんと成長していますね。
持ち前のフィードだけでなく、ビルドアップの起点として滑らかにボールを動かす姿や、なにより最終ラインで砦として控える姿が日に日に逞しくなっていく。
言葉にはしにくいけど現地で見た時の大きさ。皮膚の外に自信のオーラをまとって一回り大きく感じます。
すでに我慢して使って育てるべきという対象ではなく頼れる存在ですね。

そして正也も試合を通じて体を張ってました。
ボールが出るとともに足音が聞こえてくるような出足の速さで自分のテリトリーに侵入した獲物を狩っていく。
正也というと昨年のベガパラでのインタビューを覚えています。
何より欲しいのは「出場機会」と。
長い間準備を続けていたハンターにとっては今はきっと狩りが楽しくて仕方ないのかなと胸が熱くなります。


守備については、センターバックの2人だけでなく、その前も整理されて機能していました。
解説の平瀬氏からは取りどころが曖昧と言われていたけど、、、自分はできてたと思いますね。

仙台が取った策は以下。
・前から行く
・サイドで獲りきる
(→サイドを経由しないボールを蹴らせる)

この日の仙台は前から積極的にプレスをかけていました。またサイド攻撃が主体の広島相手ということもあってか、あえてサイドに入ってきた時に奪い切るが意識されていたと思います。

あわよくば、でハーフウェイラインから敵陣側の3〜5本目の芝目あたりで狙いながら、そこで取れない場合は自陣側の自陣では3〜4本目あたりを死守。
敵陣では、仮にあそこで横にいなされたり、戻されて長いボールを蹴られる分には致命傷にはならないと判断したのでしょう。実際、長いボールに対しては常田と正也の対応がよかった。
自陣ではサイドバックとサイドハーフ2枚で挟むのを徹底してましたね。

危ういシーンがなかったわけではないですね。
上記の取りどころを飛ばされて裏に抜かれてしまった場合です。15分、20分、25分、29分にはかなり深い位置まで入られました。
(ただこれがこの試合に限ってはいい意味で後半に響いてきたかもしれません。)

一方、攻撃では引いた広島相手に決定機を作れていませんでした。


(2)仙台の攻撃「停滞の理由」

守備の奮闘と共にボールは保持できていました。ただ多くのパスは守備陣のところで流れていた。これはパススタッツにも現れていましたね。

パス本数
1.椎橋(44) 2.常田(42) 3.松下(36)
5.正也(29) 7.蜂須賀(28) 8.永戸(26)

理由は二つ
・広島が完全に引いた
・前線が孤立していた

ありがちと言えばありがちですね。
解説の平瀬氏からは「動きが足りない」と評されていました。たしかに最終ラインに張り付いていることが多くあった。
もう少し言うと「隣にはいるけど連携してない」といった感じでしょうか。

2トップの利点にスペースとマークのずれを作りやすいことがありますが、この日は個々で動いてましたね。パスも「結果そうなった」ものを含めて5本、意図的なものは1本だったことにも現れてるし、ボールの出とともに交差するシーンは少なかった。

「チーム全体が出しどころを探しているまま時間が過ぎていく前半」だったのかなと思います。


ただ、単なるボール回しだけではなくて少ないながらも後半に効いてくるチャレンジがあったので振り返ります。

(3-1)縦へのテンポ

椎橋が入るとやはり縦の圧力は強まりますね。
この試合はミスも目立ちましたが、常に前向いて隙間を狙い、スイッチを入れようとした結果。
それから蜂須賀はやはりさすが。最初に中を選択肢にして低いクロスあてるシーンが何度もありました。

(3-2)ペナ角を取ろうとする動き

これは広島の守りが固くて未遂に終わることが多かったけど狙ってる動きはありましたね。
10分の蜂須賀の高い位置で奪ってからのジャメとの絡みは理想的だったし、15分のハモンや、こぼれをカットして預けた後の永戸の狙う動きなどはよかった。

(3-3)ペナルティエリアを囲む援軍

石原は豊富な運動量でトランジション繰り返してよく顔を出しますね。開幕時点では正直ここまでとは思ってなかった。今の仙台の大きな武器になりました。

そして、永戸です。彼には今までと違う良さも見えてきてます。それは「中で点に絡める進化」を遂げようとしていることです。ガンバ戦での同点弾もそこから呼び込めたのもあそこに顔だした積極性から。
永戸は縦への突破という意味では苦しんでいたように見えました。そして縦を封じられた時が課題でもありました。
ここへ来て預けてペナルティエリアに侵入する動きが多くなって来たのは成長を感じます。


一つ一つは「狙い」のレベルでしかなかったかもしれません。それでもどこかで繋がればという期待を持ちながら試合は後半に。

後半
変えた広島、我慢した仙台。


後半に入り変化が生まれます。
仙台は「焦れずに戦え、勇気を持ってスライドしろ」との監督コメント。
対する広島は一気に攻勢に出てきました。

攻撃に出た広島

これは理由も何もシンプルに2点目が欲しかったんでしょうね。
そう思わせるくらいには前半の仙台の攻撃が嫌だったんでしょう。もしかしたら前半に仙台が守備で見せた脆さは攻略できる(守りきるより楽)と思わせたのかもしれません。

仙台は対応には苦慮していたし、かなり決定的なシーンも作られました。ただ最後は真ん中の3人が踏ん張ってくれてました。

繋がり始めた仙台の攻撃

トップの役割は整理されてたように思えます。
ジャメは真ん中に構えろとなり、衛星のように回るハモンとの分担がはっきりした。
ハモンがサイドに流れてのジャメへのパスというプレーも出始めます。

加えて仙台はさらに前にかける人数を増やしていました。2トップに加えてバイタル付近で3人目、4人目の選手が絡む機会が増えました。それもサイドハーフとサイドバックが入れ替わりながら。

それに伴いペナ角も狙えるようになった。特に蜂須賀と吉尾は、佐々木のいなくなった右サイドから、再三の侵入を試み始めるようになっていました。

松下と椎橋は、前半以上に縦へのタクトを振るい、奪ってからのスピードが増してきた。

前半の停滞の要因が整理され、単独で効いていた攻撃が徐々に絡みだしてきます。

変化と我慢を加速させた選手交代

流れ加速したのが選手交代。
ここにも我慢が象徴されてました。

誤算だったのは佐々木の交代でしょうか。まずここで後ろでボール持てなくなった。野津田やパトリック投入前にだいぶオープンな打ち合いになっていたので、一番影響が大きかったのはこの佐々木の離脱の気がします。

野津田投入は運動量を中盤にもたらしたかったのでしょう。ただどちらかというと野津田が奮闘し後ろまで戻るため、より仙台のディフェンス陣が高いポジションを取れるようになったのはあるでしょう(パトリックの投入はあまり大勢に影響はなかったかなと思います)

逆に仙台は引っ張りました。

最初のカードは71分。
リードされている試合では遅すぎる時間です。
焦れずにという言葉を監督自身が実践するかのように。
ジャメに替えて切ったカードは長沢。タイプこそ違えど「同じことをやれ」とのメッセージ。
これでより縦への意識は増しましたね。

そして、次のカードは兵藤。
結果的にはこの交代がドンピシャでした。
蜂須賀と吉尾が圧力をかけていた場所。あと少しで崩せそうだった場所。兵藤が狙っていたのはまさにここでした。

兵藤からハモンへの折り返し、ハモンの右足。
そして歓喜に沸くユアスタ。

広島が交代策でずれを広げてい中、仙台は我慢してチームの共通認識を高めていった。その結果の同点弾だったのかなと思います。

ただ、この日一番の盛り上がりはここではなかった。

劇場復活を告げるハイタッチの鐘

始まったのはC'mon。
もう一点。
それに呼応してくれるかのように前への気持ちを見せてくれる選手達。

87分
川辺に対して体を投げ打ってブロックした松下。
カードになったもののマイボールへの執念を見せる正也。

88分
ダンからの「もう一点」というメッセージを感じるロングスロー。
ボールを受けるのは「元気な自分が走る」と言わんばかりの兵藤。
疲れているはずの蜂須賀が追い抜く動きを。

89分
石原の1秒も無駄にしないという気持ちが伝わるプレス。
椎橋とともにボールを奪った永戸が倒されながらも突破をはかるシーンに湧くユアスタ。

92分
常田がパトリックに体で勝ち、最後の攻撃。
裏抜けした長沢へのボールは少し伸びたものの、諦めずに狙っていたハモンのカット。
またしてもバイタルまで来ていた永戸を経由して、最後は足を攣りかけていた松下。

全員が狙っていた一点。
喜びとか涙とか色んなものがごちゃ混ぜになった歓喜に沸くユアスタ。

長々と書いてきましたが結局最後は気持ちだったと思います。現地にいて最後の方は明らかに空気が違いました。
印象的だったシーンが68〜69分の石原のプレスバック。DAZNに映ったのは止まった後ですが、実はあの直前まで誰よりも速く長い距離をバックしてたんですよね。絶対に追いつかないだろう位置から。結果、彼の元にボールが来た。

全員がそんなプレーをしてくれた末の劇場の復活だったんだと思います。

劇場のエンドロール曲


この日の広島の守りは固かったし、途中仙台側であわないシーンも、つまらないミスもあったり、サポーターにとっても我慢な展開が続きました。
でも選手達は、監督の言葉通り焦れずに戦った。
試合後の選手達は我慢して戦い抜いた顔だった。

後からシーズンを振り返った時に、きっとこの日の勝利が分岐点だったと言える試合になった気がします。
もちろんまだまだ厳しい戦いは続きます。
チームはアウェイで一つの正念場を戦い、ホームに戻ってきます。

自分達にできるのは少しでもスタジアムを埋めて後押しすること。
そして少しでも多くの人で歌いましょう。
ユアスタで、AURAを。



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