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①何個売ったら利益が出る?

「財務会計知識を高めよう!よし、簿記を勉強しよう!」と思い本を開くと全く面白くない仕訳が延々と続き興味・関心・意欲がゼロに。そんな人って多い気がします。この勉強って何の役に立つんや!と感じるような部分を全て吹っ飛ばし、「最低限」知って損はしない入り口レベルの知識を共有します。

#1 何個売ったら利益が出る? ~固定費・変動費と損益分岐点~

利益は「売上ー費用」で表されますが、その中で費用はさらに変動費固定費に分けられます。すなわち、「利益=売上ー変動費ー固定費」と表現できます。

変動費とは?

変動費とは、売上と連動して増減する費用です。売上が2倍になると変動費も2倍になります。具体的には、卸や小売業であれば商品の仕入高、製造業であれば材料費等が挙げられます。売上から変動費を差し引いた分を売上総利益あるいは粗利と呼びます。スーパーマーケットをイメージすると、農家から80円で仕入れたキャベツを100円で販売したとすると、売上は100円、変動費は80円、粗利は20円となります。

固定費とは?

固定費とは、売上と連動しない費用です。すなわち、売上が2倍に増えても基本的には変わらないものです。具体的には、人件費や家賃・水道光熱費・コピー機のリース代等が挙げられます。スーパーマーケットをイメージすると、店長の給与30万円、土地の賃料20万円を毎月払っているとすると、こうした費用はスーパーの売上が増えようと減ろうと変わらず、また仮に売上が0円だとしても発生する固定費と言えます。一般に固定費の50%程度を人件費が占め、最も大きい費用です。

損益分岐点とは?

売上によって変動する費用(変動費)と売上とは連動しない費用(固定費)がある場合に、一体何個売ったら利益が出るのか、が気になるところです。売上が0のときコストは固定費分だけかかり赤字の状態、売上が増えるにつれて粗利が増えていき少しずつ赤字が減っていくと考えると、利益が0の時は以下の式が成立します。

固定費 = 粗利

また、利益がちょうどゼロとなる点、すなわち損益分岐点を計算する式は以下となります。

損益分岐点 = 固定費 ÷ 1個あたり変動利益

先ほどのスーパーの例で、キャベツを1個販売すると売上は100円、変動費は80円、粗利は20円、固定費を50万円とすると

損益分岐点 = 50万円 ÷ 20円 = 25,000(個)

キャベツを1個売ると20円の粗利を稼ぐことが出来、その20円を25,000個分積み上げた時、固定費全てをまかなうことが出来、利益がちょうど0になり、25,001個目から利益が出るようになります。また、損益分岐となる数量を求めずにいきなり損益分岐する売上高を求めることもできます。

損益分岐売上高 = 固定費 ÷ 粗利率

粗利率は売上1円あたりの利益が何円かを表しており、売上1円が何個あったときに固定費すべてをまかなうことが出来るか、すなわち売上高がいくらの時に固定費をすべてまかない利益が0となるかを求めていることになります。スーパーの例で言うと、以下の通りです。

損益分岐売上高 = 50万円 ÷ 20% = 250万円

250万円の売上の時、粗利は250万円×20%=50万円となり、正しいことが分かります。数学が好きな方は以下のグラフで視覚的にご確認下さい。

損益分岐点

数字で語るために

今既に行っている事業、これから始めようと思っている新規事業どちらの話をする場合も、費用を大雑把に変動費と固定費とに分けて考え、損益分岐点がどの程度なのかを把握することで、利益目標が頑張れば達成できるものか、そもそも実現不可能な水準なのかを、「数字で語る」ことが出来るようになります。 


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