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リバーブプラグイン10種比較レビューとセンドで使うときのおすすめ設定

 どうも、ぼいどすです。今回は手持ちの中からよく使うリバーブを比較してみたいと思います。リバーブの沼具合って、「この雰囲気出すにはほぼコレしか無い」というシーンが多いのかなと思います。
 また、今回は最後の方になりますが、センドで送る際のコツ・・というほどでもないですが、ちょっとした気づきについて紹介します。
 価格については参考程度に、目安の金額としてますことをご了承ください。

IK Multimedia Sunset Sound Studio Reverb

 まずはいきなり替えのきかない強烈な個性を持ったものからです。有名スタジオの録音ブースの鳴りとプレートリバーブなど残響機材を再現するもので、IRを拡張したような(?)技術で再現してるらしいです。
 「有名スタジオの響きって必要?」と首をかかげるかもしれませんが、使ってみて納得する人も少なくないはず。唯一無二の質感は、前述の通り「替えのきかない」効果と存在感が得られます。
 ボーカルにルームの鳴りを少し足したり、ストリングスにチェンバーを・・という用途で使ってます。特にボーカル、録音状況がとくに悪いわけじゃないのに「なにか物足りない」というときは、ヘッドアンプのサチュレーションを加えたりもするのですが、部屋鳴りを少し足すことによって音の説得力を歪みとは別のアプローチで追加することができます。足すときは聴き比べしてみてほんの少しわかる程度が目安かと。
 画面中央にOPTIONという項目があり、ここからさらに雰囲気を変えたり位相を反転したりできます。このnoteにて紹介する中で唯一DRYとWETを独立して調整できるので、個人的にはとてもありがたいです。
 欠点としては負荷が重いこと。すごく重いわけじゃないですが、気軽に数を挿していきにくいです。通常価格149.99EUR(約2万円)、セール時6,000円ぐらいでしょうか。

Relab LX480 Essentials

 ガチなレコーディングスタジオの卓の上に乗ってるのをよく見かけるアレですね。実機では目に見えてる部分はリモコン部分で本体はラックマウントです。
 下位版のEssentialsですが、パラメータが少ないほうが迷わず操作しやすく、こちらで十分という意見もよく見かけますね。4つのアルゴリズムが用意されてますが、私はプレートしか使っていません。80年代に発売された機器のエミュレーションですが、古さを感じさせない透明感があります。存在感はあるのに原音を邪魔しない出音は流石としか言いようがないですね。なつかしい曲のボーカルとは相性バッチリなので、そのへんも含めて歌ってみたやってる方にもオススメです。
 負荷は若干ある方ですね。とはいえこれを沢山挿すシーンは今のところあまり無いですので問題を感じてません。通常価格99USD、セール時は3,000円前後ぐらい。

Sonnox Oxford Reverb

 個人的には、密度が濃いながらも原音の明瞭さを失わせないと感じています。かなり強めにかけても嫌なふうにならない。デフォルトでMIX量が100%固定となってます。動作も軽く、本当にいろいろなことができて・・・銘機のエミュレーションから浴室の再現までと、面白いプリセットが多く入ってます。初期反射のアーリーと長く残るテールそれぞれ独立して作ることもできるうえ、リバーブ専用機とは思えない本格的なEQまであり、緻密な音作りが可能となってます。リバーブに迷ったらまずはコレという選択も悪くないと思います。古い製品ではありますが、これと競合するのようなのは私はちょっと知らないですね。通常価格36,000円前後、セール時は1万円以下ぐらいまで落ちてきます。

iZotope Exponetial Audioシリーズ

 セール等で気軽に買える4製品をピックアップ。それぞれ各製品の特徴を公式や代理店などの情報からまとめると以下のようになります。

  • Phoenix Reverb ナチュラルな響き

  • R2 80~90年代風クラシックな響き

  • R4 クラシックな響きと現代の高機能さ R2の強化版

  • NIMBUS PhoenixVerbの強化版

 特徴としてとにかく大量のプリセットという点があります。MIXバランスはプリセットを変えても固定のうえ、上下キーでプリセットのバンク、左右でバンク内の移動することができるので、サクサク選んでいけます。動作も軽いですね。R4、Nimbusについてはワケワカランぐらいパラメータが多いので、いろいろ作り込みたい人にもうってつけです。
 ただ、Exponetial Audio製品とStudio Oneの相性が悪いのか、プラグインを呼び出しているプロジェクトを再度読み込んだとき、ありえない量のノイズを出しているのか再生時にマスターが666dbに振り切り、最悪DAWごと落ちることがあります。対策として、VST3のほうを削除か拡張子をリネームして読み込まないようにし、VST2を利用するようにしてみてますが、今のところはその不具合は発生してません。
 負荷自体はとても低く、たくさん使いやすいですが、上記の問題がある程度落ち着いているとはいえ、ちょっと様子見してます。
 セール(単体1,000~2,000円台)やバンドルで手に入れられる機会が多いと思います。金額の割にDAW標準よりもあきらかに高品位で出来ることも多いので、安くなってるときはノーブレでポチってもいいと思います。また、Phoenix ReverbあたりはPlugin Boutiqueあたりで今月のプレゼントになってたことがあったと思います。

IK Multimedia CSRシリーズ

 負荷も低く、よく使いそうなパラメータだけ前に出てるプリセットも多く、操作性も悪くないです。プリセットにはセンドとインサート用それぞれある点もいいですね。
 ただ、ちょっとキャラクターが薄いというか、存在感が物足りない感じがあって、あまり使ってないですが、Inverseだけはあまり他にないキャラクターだと思います。T-Racksのバンドルに含まれるので、これら単体を狙うよりはバンドルを購入して着いてきたタイミングお試しに使ってみるのが良いかな、と思います。

Native Instruments RC24 RC48

 KompleteでおなじみNative InstrumentsのRC24、RC48です。それぞれRC24はLexicon 224、RC48は480 が元ネタでしょうか。古い製品だけあって出音がちょっと物足りなく感じてしまいますが、決して悪いわけではありませんし、負荷も低いです。ですが、ウチでは現状これまで上げたもののほうが手が伸びやすいです。ちなみにKomplete13ではUltimateから付属します。わざわざ単体狙いはしなくてもよいかなと思います。
 余談ですが、画面のスペクトラム表示はカッコいいですね。

Native Instruments Raum

 Komplete13ではSelectから付属します。一度だけ無料で配られていたことも。ここまでの中では唯一の、自然な響きというよりは分かりやすくて効果的であり幻想的な・・・効果音を作る際にはうってつけで、場合によっては素材集から持ってくるよりも早く、もしくはさらにド派手に余韻を加えたいときに使っています。Airyアルゴリズムはシマーリバーブをヒント作られたのかな?とか勝手に思ってます。
 これもSunsetほどでないですが、重い部類に入るものの、効果音を作るときだけに使っているので個人的には問題ではないです。
 濃くて伸びるという特徴のであるのが使いやすく、例えばボーカルの「あーーーー」と伸ばしているところだけ別トラックに取り出し、かなり強めにかけたものをフェードインもしくはアウトで効果音を作ったり、バスドラとスネア同時に鳴らしたものに掛けると簡易的にEDMでよく使うような「ドーーーン!!」という音も作れます。これらはRaumでなくても作れなくもないですが、Raumが一番手軽でド派手ですね。通常価格6,600円ですが、単体で買うには少し高いかなと思います。

センドかインサートか、そしてセンドには全開で送ろう

 リバーブをの使い方として、センドで送って1台あるいは2台で済ませるか、それとも最近ではマシンパワーもあるのでインサートでパートに合ったものを随時使うかという問題(?)があります。センドで送った場合のメリットとしては(1)CPUパワーの消費を抑えられる、(2)リバーブ成分にだけ追加のエフェクト・・サチュレーションやモジュレーションがかけられる、(3)原音の音量に影響が無い、(4)同一のリバーブで統一感が出やすいかもしれない、といったところでしょうか。昔に比べCPUパワーも上がってきたとはいえ、製品によってはそれなりの負荷もあるうえ、状況によって使い分けるしか無いと思います。インサートだとどうしてもMIX量だけでバランス取ろうとしても、原音の音量に影響を与える動作のものが殆どですからね。リバーブ量を調整したらフェーダーも調整せざるを得ないこともあります。
 そしてセンドで送る際には、一番かけたいパートからはセンド量を全開にしてみましょう。そしてセンドトラックのフェーダーでリバーブの音量を必要に応じて絞ることで、リバーブプラグインの性能を使い切れるような気がするのです。厳密に検証してない(する方法が無い)ですが、リバーブプラグインにセンドで50%の音量で送るより、100%で送りフェーダーで絞ったほうが、より密度の濃い、リバーブプラグインの特徴ある音が出てくる傾向がある気がします。印象論ですが、この状態であればリバーブ成分の音量があるためか追加で掛けるエフェクトもノリが良い気がします。

最後に さらなる沼へ

 ここまでお読みいただきありがとうございます。リバーブの音作り・・プラグインそれぞれのパラメータについては、OxfordやNIMBUS、R4のように操作できる項目がたくさんあるとかえって難しいと感じます。そういう理由もあってか、LX480は細かく作れる上位版よりは下位版でも十分と呼ばれているのかなと思います。Valhalla Shimmerも持っているのですが、シマーは普通のリバーブとはまたちょっと違うと思ったのであえて入れませんでした。
 今欲しい残響系は、ValhallaのVintageとDelayが欲しいですね・・・EventideのBlackholeやTVerbとか、ここで上げてない高級品も気になってます。
 また、ディレイとリバーブの中間的なサウンドが作れるSuperMassiveについてもnote書いてますので、もしよろしければどうぞ。


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