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欧州・イスラエルスタートアップ関連ニュース

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#スタートアップ

欧州のVCは10年、15年の長期にわたって米国のVCを上回る 欧州のアクティブファンドのIRRは100%以上

欧州のベンチャーキャピタル(VC)は、長期的に北米を上回るリターンを示している。Invest EuropeとCambridge Associatesのレポートによると、欧州VCの10年純IRRは20.77%、15年では16.57%で、北米VCを上回っているが、20年では北米が優勢。投資家への資金回収は北米が早い(平均4.5年)一方、欧州は6.7年だ。特に2011年と2016年のファンドは高いパフォーマンスを記録した。老舗VCファンドの方が新参者よりも高いリターンを示している。

欧州で最も急成長している気候変動関連技術のスタートアップ企業 欧州で最も急成長している気候変動関連テクノロジー企業は、いずれもハードウェアやインフラにフォーカスした企業である

2023年の欧州では、気候変動関連技術に特化したスタートアップが急成長を遂げている。気候変動関連技術では、特にハードウェアやインフラに特化した企業への投資が目立っている。 スウェーデンのAiraは消費者向けヒートポンプを提供し、従業員数が892%増の1,200人。ドイツのCylibはリチウムイオンバッテリーのリサイクルに取り組み、251%増の68人に。イングリッド・キャパシティはエネルギー貯蔵で173%増の41人、WeevはEV充電ネットワークを運営し167%増の48人。ジミ

欧州は成長と生産性を高めるためにベンチャーキャピタルをもっと支援できる 改革により、イノベーションの原動力となるハイテクスタートアップ企業への投資を増やすことができる。

EUの生産性に伸び悩んでおり、その原因は、革新的なスタートアップが「スーパースター」企業に成長できないことや、経済と金融システムの断片化にある。特に銀行ベースの金融システムがリスクの高いスタートアップに不向きで、民間資本も米国に比べて小規模でだ。EUの生産性向上策としては、ベンチャーキャピタル市場の拡大や単一市場の完成が重要であり、特にスタートアップ企業への投資促進が鍵となる。 EUは生産性の問題を抱えている。2000年以降、労働時間当たりの実質生産高が米国並みに増加してい

ベンチャー企業の負債が記録的な1年に 最悪期は過ぎ去ろうとしている

2024年上半期、欧州のスタートアップは株式、負債、助成金で計473億ユーロを調達した。そのうち187億ユーロが負債で、年間を通じて過去最高の負債資金調達額を上回る可能性がある。特に気候変動技術やフィンテックが資金調達を牽引し、NorthvoltやSumUpなどが大規模なラウンドを実施した。また、1億ドル以上のメガラウンドが63件発生し、新たに10億ドル規模の企業が8社誕生。VCも活発で、150億ユーロ以上を新たに調達している。 最悪の時代は過ぎ去ろうとしている。Sifte

防衛技術は(ある意味)過剰評価されているこの分野では、行動よりも議論の方が多いと主張する関係者もいる。

防衛技術は、最近話題となることが多い。ウクライナ戦争を背景に、欧州で複数のVCがこの分野への投資を模索しているが、実際の資金投入は少ないと批判もある。昨年の防衛技術の資金調達は2022年を下回ったが、Helsing(ヘルシング)の大型調達が今年のデータに影響を与えると見られる。投資家の中には、実際の経験や資金投入が伴わないケースも見られる。 最近、私は防衛技術について書いたり話したりする時間が増えている。この2年間で、ウクライナ戦争が続くヨーロッパの国防を強化するために、複

EUの5カ年計画、スタートアップ企業への資金拠出増を約束 - では、その投資の行方は? 計画には、AIとバイオテクノロジーに焦点を当てた、民間および公的投資の促進が含まれている。

欧州委員長は、AIとバイオテクノロジーの分野でEUを世界のリーダーにすることを約束し、民間投資と公共投資の強化を目指すと演説で述べた。彼女はスタートアップ支援を強化し、特にAI分野でのイノベーションを推進するため「AIファクトリー」や欧州AI研究評議会を設立予定。さらに、2025年には新たなバイオテクノロジー法を導入し、急成長企業への資金調達を支援するための施策も提案している。 EUを世界のAIリーダーにすること、民間投資と公共投資を強化すること、バイオテクノロジーに新たに

BlackRock, Temasekの脱炭素ファンドが炭素除去スタートアップ企業Neustarkに6,900万ドルの資金調達を実施

スイスの二酸化炭素除去(CDR)技術プロバイダーNeustark(ノイスターク)は、BlackRock(ブラックロック)とTemasek(テマセク)が主導する資金調達ラウンドで6,900万ドルを調達した。同社はこの資金を活用し、チームやサービスを拡大し、CDRに対する需要に応えるための国際展開を進める計画だ。 ノイスタークの技術は、廃コンクリートを用いて大気中のCO₂を永久に貯留するもので、建設業界の脱炭素化に貢献する。同社は2030年までに100万トンのCO₂除去を目指して

ユニコーンを育てるには?スタートアップを支援するために欧州ができること

ヨーロッパはスタートアップの数を増やしているが、米国や中国に遅れをとっており、資金調達やイノベーションにおいて課題がある。特に後期資金調達の不足が問題で、エンジェル投資家や政府支援が解決策となる可能性がある。人材の誘致と育成が重要で、移民や教育機関との連携が鍵となる。ヨーロッパは独自のアプローチで革新を進め、米国に追随するのではなく、自国の強みを活かすべきだと専門家は指摘する。 ヨーロッパには、Deliveroo(デリバリー)、Revolut(レヴォルート)、Bolt(ボル

EUのハイテク投資、2年間の干ばつを経て開花

欧州のハイテク投資が2年の停滞を経て回復しつつあり、特にアーリーステージ企業への取引が活発化している。Klarna(クラナル)やSpotify(スポティファイ)に投資しているCreandum(クレアンダム)が5億4400万ドルのファンドを発表するなど、複数のVCが資金調達を成功させた。興味深いのは、AIがVCの投資判断を支援していることだ。膨大なデータを分析することで、より的確な投資機会を見つける手助けをしている。欧州市場は成長期に戻りつつあるとの見方もあるようだ。 欧州に

VCのソール・クラインとラルーカ・ラガブに聞く、欧州投資の浮き沈み

この文章は、アメリカとヨーロッパのベンチャー市場の違いと共通点について、VC業界の著名人Saul Klein( ソール・クライン )とRaluca Ragab(ラルーカ・ラガブ)の対談をまとめたものだ。 ヨーロッパはセキュリティ、プライバシー、持続可能性、ディープテックの分野で強みを持っているが、後期段階の資本供給が不足しているという課題に直面している。特にシリーズBやシリーズCの資金調達ラウンドでは、シリコンバレーと比べて資金の規模が大幅に少ないことが指摘されていた。さらに

新たなトレンド 欧州の次なるハイテクビジネスチャンス

ヨーロッパのテック・エコシステムは、AIを中心に今後も成長が期待される。2023年の資金調達は減少したが、フランスとドイツでは政府の支援やAI分野の発展が強みとなり、新興企業の成長を後押しした。特にフランスはAIとフィンテック、ドイツは気候変動技術で成功を収めている。ヨーロッパの技術的競争力を高めている背景として、米国に比べてAI人材コストが抑えられていることも挙げられる。 2021年、ヨーロッパのテック・エコシステムは絶好調で、VCからの資金調達額が初めて1000億ドルを

欧州におけるテクノロジーベンチャーキャピタルの出現

2024年に設立30周年を迎え、テクノロジー分野における欧州のベンチャーキャピタル市場の成長を支援してきた欧州投資基金(EIF)。EIFのテクノロジー投資部門責任者Bjorn Tremmerie(ビョルン・トレメリー)が、30年間の欧州テクノロジー市場への投資について語っている。 EIFは特に米国との市場格差を埋める役割を果たしたようだ。2000年代初頭のVC市場は未熟だったが、成功事例が徐々に投資家を引き寄せ、現在では欧州のVCファンドのパフォーマンスは米国と肩を並べるまで

スタートアップ・アクセラレーターに参加すべきか?EUのトップアクセラレーターからのアドバイス

スタートアップや起業家に伴走し、事業成長を助けるアクセラレーター。アクセラレーターに参加するべきか悩む人もいるだろう。EUのトップアクセラレーターのGrowth Studio共同設立者がその際に意識すべきことをまとめた記事を紹介する。 要点としては、まず、自分の目標やニーズを明確にし、適切なプログラムを選ぶことが重要だ。アクセラレーターは、製品の洗練、業界ネットワークの構築、投資の募りなどの利点を提供するが、全てのスタートアップに適しているわけではない。参加前に、目標設定、プ

Creandumが5億ユーロのファンドを調達、欧州ハイテク投資に回復の兆し ヨーロッパのスタートアップ企業にとって状況は好転しつつある

初期のSpotifyを支援していたスウェーデンのVC企業Creandumは、5億ユーロを調達した。ファンドの半分は米国の投資家からのもので、米国の投資家が再びヨーロッパのハイテク企業に再び関心を寄せているのが窺い知れる。現在のヨーロッパ市場は、AIやSaaSを主な原動力として資金調達額と評価額が上昇、ハイテク投資が復活している。Creandumについては、最近ではフランスのAIスタートアップH社やドイツのSaaS企業Codesphere社、スペインのフィンテック企業Embat