見出し画像

欧州スタートアップ動向 - ディープテック支援からアメリカ進出、半導体挑戦まで(2023年11月15日)

1.欧州ディープテックへの大規模支援

概要: 欧州イノベーション評議会(EIC)の基金が、欧州全土の159のディープテックスタートアップに約10億ユーロの投資を承認。

  • EIC基金は、気候変動、医療、エネルギー安全などの深刻な課題に取り組むディープテックソリューションを提供する科学者やスタートアップを支援するためのEU委員会の10億ユーロのプログラムの一環。

  • 最近、EICはスペインの量子コンピューティングやデータセキュリティのスタートアップQuside Technologies、フランスの半導体開発者VSORA、オランダのAxelera AIなど、47のディープテック企業に約3億4900万ユーロの資金を提供すると発表。

  • 健康技術がEIC裁判官による投資の最も人気のある分野で、スウェーデンのArcorai(非侵襲型心不全モニターの開発)やドイツのMira(高気圧酸素療法チャンバー製造)などが含まれる。

  • 引用元: "Why a €3.5bn fund is supporting European deeptech"

2.フランスの保険テック企業Lukoの救済契約締結間近

概要: Accel支援の保険テック企業Lukoが、Admiralによる買収が中止された後、新たな買収者を見つける寸前。

  • Lukoは破産を避けるためにフランスの商業裁判所で運命を決められる予定。

  • Lukoは今年6月、Admiralとの間で約1400万ユーロでフランス事業を売却する契約を締結していたが、Admiralはデューデリジェンスの過程で浮上した会計上の問題を理由に2週間前に契約を破棄。

  • Lukoは2022年に取得したUnkle事業のバインディングオファーに署名したが、同じく2022年に取得したCoya事業(現在はLuko Insurance AGとしてドイツの保険ライセンスを保有)の買い手を依然として探している。

  • 引用元: "Luko nears new rescue deal after Admiral drops acquisition"

3.アメリカに拠点を移した欧州の高額評価スタートアップ

概要: アメリカ合衆国に本拠地を移した欧州の高額評価のスタートアップの動き。

  • Dealroomのデータによると、2005年以降にヨーロッパで設立され、後に米国に本社を移したスタートアップは358社に上る。そのうち15%はウクライナ出身で、次いでフランスと英国が多い。

  • 最も多いセクターはSaaSで、全体の22%を占める。フィンテックが次に多く、ヘルステックも続く。

  • 米国に拠点を移した主要なヨーロッパ企業には、ウクライナのGrammarly、ポルトガルのTalkdesk、デンマークのChainalysisなどが含まれる。

  • 引用元: "Europe’s highest-valued startups that made the move to America"

4.半導体競争におけるオーストリアの役割

概要: オーストリアは、半導体供給チェーンに不可欠な企業の本拠地として、半導体競争において重要な役割を担っている。

  • 内容1: リンツには、Infineon TechnologiesとAppleの大規模なRF統合回路設計センターがあり、ams OSRAM、AT&S、NXPなどの世界有数の企業が国内に拠点を置いている。

  • 内容2: オーストリアの企業は、ウエハーボンディングでの市場シェアが82%、マルチビームマスクライター製造で95%と、半導体製造に不可欠な装置の大部分を生産している。

  • 内容3: EUのチップ法案により、オーストリアの半導体市場はさらなる強化が期待されており、この法案は研究ハブ間の協力を促進することを目的としている。

  • 引用元: "How Austria is competing in the chips race — and what this has to do with startups"

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?