沈黙ゆえの思考の無駄遣い


埼玉での営業、吉本お笑い祭りの前説。坂戸という東京からはかなり遠い町。前説と中説を終えて着替えていると社員さんから、「マイクロバスの空きがあるから車で帰っていいよ」と天使の息吹をかけられた。その時ケータイが止まっていて正直帰り道もわからなかった僕は喜んで車に飛び乗った。2人席の前からナダルさん、BKBさん、吉野、西野さん、吉野の隣の1人席に僕という配置。斜め後ろの西野さんに話しかけられ、吉野も加わり、ナダルさんも交えて話しているとBKBさんも「ちょっと普通に話入るけど、この前俺もなー」と5人で談話。和やかな空気だったが、車が走り始めて5分も経たないうちに1人、また1人と会話から離れ、全員がスマホをいじり出した。そして完全な沈黙。新宿到着まであと1時間15分。

こういう車内では、お疲れの先輩もおられるだろうということで帰り道に全力でトークしようという感じにはならない。眠たい先輩がいつでも寝られるようにトークが盛り上がることを極力みんなで避けようという空気が充満することが多い。
しかし僕はその空気を壊したかった。なぜなら僕のスマホは止まっている。別に眠くもない。僕だけ暇すぎるのだ。

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