2022/09/04 リゾバ日記10日目 ぶつかりあい

・サウナや街角でたむろしている老人は必ず身体の不調トークをしている。腰が痛いだの肩が重いだの膝が悪いだの、不調な箇所が無尽蔵に出てくる。トーク中のジジババはみんなやけに笑顔で、快活に笑ったりもしていて意味がわからない。つらいんじゃないのか?

・皆さんはあのトークに耳を傾けたことがあるか。私は以前一度だけ、バスの前の席に乗り込んできたジジイ二人組の不調トークを最初から最後まで聞いたことがある。聞いてみて驚いたのは「お互いの話をお互いが聞いてない」ということだ。マジで全然聞いてない。腰が痛くてよぉ医者行ったら主治医が休みでやんの!→ヘェッヘッヘッ俺昨日さ階段からこけそうになっちまってさ→ほぉーーーん主治医いないと若い兄ちゃんの医者しかいなくて全然聞き取れねんだわ みたいな進行の仕方をしていた。会話のキャッチボールというよりは雪合戦のような感じで、球が弾まないし返ってこないんだけどなぜか盛り上がっている。

・当の本人たちはすごく楽しそうにしているが、赤の他人の不調トークほど聞きたくないものもない。私は貧乏ゆすりを抑えながら堪えていた。


・料理長も例に漏れずジジイなので、すぐに不調を訴える。最近は忙しさが祟ってガタが来ているようで、誇張抜きで毎分「腰がいてぇ」「あーつかれた」「嫌になっちゃうね」など心身共に不調であることへの愚痴を虚空に吐き続けている。虚空というか、たぶん私に反応してほしくて言ってるんだろうから5回に一回くらい「大変すね〜」みたいなことを言ってみるんだけど、応えたら応えたで「えぇえぇ本当に大変ですよ!」みたいなおどけた返事をしてくるので腹が立つ。

・今日は私も腰が痛かったし疲れていたので、料理長が「腰が痛い」といえば「腰痛いっすね」と、「疲れた〜」といえば「疲れましたねー」と反応してみたが、いつもと変わらず「困っちゃいますよねぇー!」みたいなおどけが返ってくるのみだった。何が目的だ。


・うちの実家には、母方の祖父母もいっしょに住んでいる。たまに母親が「お母さん(祖母)はいつも文句ばかりで、聞いてるこっちの気が滅入る」と漏らしていたのだが、料理長にずっと愚痴をぶつけられてようやくその気持ちがわかった。これは精神衛生上よくない。途端に母親が心配になってきた。もっと頻繁にLINEしてあげよう。

母親にLINEするとき母親みたいな温度感の文になる

・料理長も祖母も、楽しい話とツラい話を半々くらいのバランスでしてくれたら不快じゃないんだろうな。今日はそういう日か〜っていう諦めがつくし、沈んでる日くらいは慰めてあげようっていう気も起こる。ずーーーっと沈んでる人に対しては何もできないししたくないよ。浮く気がないなら黙って沈んでてくれ。


・そんな料理長だが、退勤時には「今日はつぶ貝の煮付け!」と殻付きの立派なやつを2つ持たせてくれた。人間とは多面的なものだ。サッポロクラシックによく合うなぁ。


・さっき温泉いったら誰もいなかったので平泳ぎしました。水泳経験者にしか伝わらない言葉→ひとかきひとけり

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