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盥打つ糸瓜を出でし一雫/大野朱香

※写真は、東京根岸の子規庵にある糸瓜棚です。(2016年撮影)

教員をやっていた頃、4年生を担任するとヘチマを育てました。昔はヘチマ棚がどの学校にもあったんです。ヘチマ水はペットボトルでちょっとだけ取って、ヘチマの実は大きなたらいの水に漬けて腐らせて(これが臭くて、参っちゃったんですよね。)ヘチマスポンジを作りました。
ヘチマスポンジを小さく切って子どもたちに持ち帰らせたりしたな~~~
いつの間にか、学校ではヘチマって作らなくなりましたね。

朱香さんの句の一雫は、ヘチマ水だろうと思います。「盥打つ」音が響くのだから、きっと綺麗なアルミ製の銀盥なのでしょう。
よく、「俳句は一瞬を切り取る写真のようなもの。動画ではダメ」と言いますが、この句はヘチマの水が盥を打つ一瞬を切り取っていながら、糸瓜の切り口からじわじわと水が溢れ出て、ゆっくりと盥に落ちていく、その様子がスローモーションのように目に浮かびます。
その景が鮮明に頭の中に焼きついて、一度読むと忘れられない句になっているのだと思うのです。


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