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俳句の五十年/高浜虚子

ずいぶん前に読み終わってはいたのですが、
感想をどうやって書いたら良いのかわからなくて、とりあえず「読んだ」という宣言だけしておこうかと😅

高浜虚子の自伝です。自伝とは言っても、口述筆記によるものなので、読みやすい反面、話が重複していたり、いつのまにか話の内容がずれていたりするところもあります。
でも、口述だからこそ感じられる虚子の人間臭さもあって、案外楽しく読むことができました。

正岡子規は、「坂の上の雲」にも登場してくるように、病と闘いながら近代俳句の形を作り上げたというドラマチックなイメージがありますが、虚子は、解説の岸本尚毅さん曰く「俳句というニッチで世俗的に成功した」人であり、「地方出身の文学青年がいきがかり上、俳句に進み、いつしかその道の大御所となってしまった」人です。
そういえば、「俳句ビジネスで成功した人」だと断じていた句友もいましたね。

「ホトトギス」という俳句界の一大勢力の大御所ということに対する反発もあるのでしょうか?
でも、

遠山に日の当りたる枯野かな
桐一葉日当りながら落ちにけり
白牡丹といふといへども紅ほのか
流れ行く大根の葉の早さかな
去年今年貫く棒の如きもの


虚子の句って、やはり魅力的だなあと思います。

この本には、子規のことがかなりの割合で占められています。虚子にとって子規という存在がいかに大きなものであったのか、この本を読んで、改めて感じました。
また、袂を分つことになった河東碧梧桐のこともあくまでも一番の親友として描かれているように思います。

以前、NHKの「戦火のホトトギス」という番組で言っていましたが、ホトトギスは戦時下においても、休刊することなく発行されていたそうです。大変なことだと思います。
また「多くの俳人の師系を辿ると虚子に辿り着く。」と岸本尚毅さんが書いておられるように、やはり、現在の俳句界において、虚子という存在は偉大で大きいものであることに間違いはないと思うので、そんな虚子の人物像に触れることができる、お勧めの1冊です。


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