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息子がうまれた日「人生最大の大スベリと大学び(おおまなび)」

2015年2月某日 最愛の息子がうまれた

「おしるしがきたかもしれない」「陣痛かもしれない」妻の初めての体感と電話でのやりとりの後、病院に着いたのは夜中の2時頃だった。
陣痛室に入り、看護師さんからの「長丁場になりますから、少し仮眠しておいてください」というトラップにまんまと引っかかり、ついウトウトと寝てしまったことを、後々「あの時よく寝れたわね」と妻から詰問されることを、この時の私はまだ知らない。

失敗①ハニートラップならぬ仮眠トラップにひっかかる

本格的に陣痛が始まり、看護師さんが呼吸や姿勢のケアをしてくれる
これまで、つわりの辛さに耐え、寝返りも打てずに眠れない夜を過ごし、今、目の前で、うまれてくる我が子の為に頑張っている妻の姿を見ていたら「ありがとう!がんばれ!」という思いが溢れ、早くも涙がほほを伝う。
それを見た看護師さんから「旦那さん、早い早い!泣くのは、産まれてからにしてください!」と適格かつ鋭いツッコミが入る。
泣きたいほど、頑張っているのは妻である。付き添いの私が泣いている場合ではない。

失敗②泣きたいほど頑張っている妻を差し置いてフライング涙

更に陣痛が強くなり、息をするのも必死の妻
長渕剛さんの名曲【友よ】に「もしも、貴方にしてあげられることといったら、いっしょに泣いてあげることくらい」というフレーズがあるが
今、私がすべきなのは泣くことではない、そう何より妻は泣いていないのだ。
何かできることはないだろうかと必死で考える。そうだ!こういう時こそ笑いだ!
クスッと笑える冗談を言って、妻の気持ちをラクにしてあげよう!
必死で頭をフル回転させた私の口からボソッと言葉がこぼれ出す
「出産の呼吸って、森進一みたいだね」
何のリアクションもない。どうやら、うまく聞こえなかったみたいだ
私はニッコリ微笑んで、少し大きな声でもう一度言った
「森進一みたいだね」


あの時のことを思い出すと、今でも背筋が凍り付く
「陣痛で息をするのも必死な妻に絶対に言ってはいけない一言とは?」
という大喜利のお題があったとしたら、なかなか良い回答かもしれないが。。。
産まれて今日まで、あんなにも激スベリした事はない。
「絶対に言ってはいけない言葉」を「本当に言ってしまった」瞬間だった。

人生最大の大スベリ:陣痛で息をするのも必死の妻に「森進一みたいだね」と言ってしまう

10時間を超える陣痛を乗り越え、分娩室で遂に我が子が産声を上げる
嬉しかった。妻にも、息子にも感謝の気持ちが溢れ
今度は、看護師さんに制止されることもなく号泣した。
一番驚いたことは、うまれてきてくれた息子の頭が伸びていたことだ。
細い産道を通るために、身体の節々をグニャグニャにし、頭を伸ばして
命がけで、うまれてきてくれたのだ。

倍率の高い学校に入ることや、有名な会社への就職、コンテストで入賞するコトを狭き門と言ったりするが、ヒトが通過した、文字通り最も狭き門は産道である。

これから、この子に辛いことや困難なことがあった日は、今日のことを話してあげよう
「頭を伸ばして、命がけでうまれてきてくれた、貴方の姿にお父さんはとっても感動した。うまれてこれたんだから、きっと大丈夫」と

ミスをしてへこんだり、挑戦をするのを恐れている同僚にも
ついつい意地悪な事を言ってしまうのはやめて
「うまれてくるという大偉業を成し遂げたんだから、きっと大丈夫」という優しい気持ちで接することにしよう。

何かやりたいことができても、すでに近いことをやっている先人や達人を目にすると、足がすくんで一歩踏み出すことができない。そんな自分自身にも言いたい
「あの産道という狭き門を通って、うまれてこれたんだから、きっと大丈夫」

「行こうぜ!ピリオドの向こうへ!」

人生最大の大学び(おおまなび):うまれるという大偉業をなしとげた私たちは、きっと大丈夫!乗り越えられる!


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