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ハッキング

『スマホ脳』 アンデシュ・ハンセン著 新潮新書
 
夜、電車に乗ったら、
スーツ姿の男性が鬼気迫る勢いで
手元のスマホの画面を連打し続けていた。
まさに一心不乱。
何だか異様で申し訳ないが怖かった。
スマホは確かに便利なツールだが
何かを失ってはいませんか?
 
『スマホ脳』は言わずと知れた世界的ベストセラー。
人類進化の観点から、
何故ヒトはスマホ(を中心としたデジタル機器)に
夢中になってしまうのか?
如何にして私たちの脳が
スマホにハッキングされるのか?
そして更には中毒状態へと陥っていくのか?
が分かりやすく説明されている。
 
著者のアンデシュ・ハンセンはスウェーデンの精神科医で
診療をしていく中で人々の病状の変化に気付いて
疑問を抱き、原因を探し始めた。
そして自身が1日に約3時間もの時間を
スマホに費やしていることに気付いて
衝撃を受けたことが本書執筆の動機となっている。
 
スマホが原因で不調をきたしている多くの人々を
実際に診察してきており、
また本人がスマホにハッキングされていた
当事者でもあるからこそ、
現実感を持って、しかし冷静な姿勢で
書かれた本なのだろうと思う。
 
スマホとはどういうものなのか?
そして何故そのように作られているのか?
(つまるところは資本主義、企業がお金を稼ぐこと、
が背景にあるのだと分かる)を
理解するためのよい手引書だと思う。
 
スマホに翻弄されて人らしさを失うことなく、
スマホを道具として使いこなすために、
まずは仕組みを知るところから。
そして自分の健康を守るために
本書にある誰にでもできる対処法の実践を。
 
まだ手に取られていない方はご一読をお勧めします。