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こっちは全然オンなのよ

ジジイなので昔話をさせてほしい。

とはいえ本記事のアップ時点から約半年前の出来事なので、ジジイにとっては分というか秒というか瞬というか刹那・F・セイエイというか、とにかく誤差の範囲内なので哀れみ半分で受け流してクレメンス。

あとどうでもいいけど、何でもない個人ブログを「記事」と称するの何度言っても照れちゃうね(言い回しの便利さに負けてリズムで使っちゃうけど)

不運と踊っちまった友へ

ということで話は2023年4月に遡る。

当時の僕はなんやかんや結成から4年見てきたアイドルグループ「クロスノエシス」の活動終了を一ヶ月前に控えてトムジェリより忙しない情緒の中におり、毎日が富士急ばりのアップダウンで躁鬱のシャトルラン状態だった。

そんな折、グループでラストとなるオフ会の開催が発表されたのでノリで応募し当選したのが事の発端。

ちなみにこの時、推しロス間近でお口のジッパーが馬鹿になり八つ当たりで他所のアイドルさんの良くない悪口を無限に言っていた「コードより先に性根のエラー直せ系のヲタ友」がしっかり落選したのを観測した際、一緒に数多の現場を駆け抜けた青春の日々を想って僕はしめやかに哀惜の涙を流したし、そのあとちゃんと当人にバレないよう、村から出て海岸の洞窟の奥深くに進んでから8万デシベルの大声で「ざまぁぁぁぁあああああああああ」と叫んだことは墓まで持っていく秘密にしたい。

やはり他人の不幸は千疋屋のメロンより甘い。

そしてそんな心情をおくびにも出さず、そのあと当人にメンタルケアの電話を入れて表向き感謝されてるっぽい自分は環境問題より悪いヤツだなとたまに思う。嘘だけど。

オフ会でオフになれる才能

そんなこんなでオフ会当日の4月22日、場所は豪華絢爛たる横浜中華街。

きっと件の友人も土に還り天に召しネットに潜って応援してくれていることだろうと不謹慎のトライアスロンみたいなことを思いながら会場へ向かう。

そしてその道中でかくいう自分もオフ会がバチクソ苦手な事と、約4年通ってる癖に現場の友人が片手の中指ぐらいまでしかいないことを思い出してリアルドルヲタ駄洒落「不安なファン」になった。

そうこう言ってる間に集合場所に着。

和やかに談笑する参加者の一団を確認して(もしや地球上で自分以外の全人類が友人関係なんじゃないか?)という大学時代に一生分、いや三生分は味わった感情がレンチンの速度で息を吹き返す。

ほどなくしてスタッフさんが登場し、参加者を1人ずつ確認していく。

次いで点呼を終えた人から当日のみ使える写メ券と動画券とアクキーの配給を受ける。

考えてみたら「各メンバーごと5枠ずつ」という何気に狭き門をランバダの腰使いで通っていたことを思い出しつつ確認を済ませると、事前の案内通り2班に分かれて行動するよう促された。

ちなみに僕は推しメンのLAKEちゃんの枠で当選していたのだけど、このとき現地にいた方で自分がまともに話せるヲタクは同じLAKEちゃん推しの1人だけであり、彼がいなかったら僕は誰とも喋れない苦しさから店頭の蒸籠に逃げ込んだのち余生を面白シュウマイとして過ごしていたと思うので、今でも本当に感謝しているし、少なくともオフ会で推し被りとフレンドリーに話せるくらいには性根にバグのないヲタクで本当に良かったなぁと思った(Q.恋は恋でもダルい恋ってなんだ?→A.しつこい)

LAKEちゃん(クロスノエシス)

と、お得意の「ヲタクの回想ばっかで全然アイドルさんの話をしないレポブログ」の症状が悪化する前に軌道修正すると、スタッフさんに促されるまま少し歩き、何でもない角をスッと曲がったところで普通に私服のメンバーが勢揃いしており、僕はその光景を見て胃がギュン!と縮み上がった。

それはライブ会場に向かう道中でメンバーを見つけてしまった時と同じ感覚で、「ヲタクは券を出さずにアイドルと話してはいけない」という心の焼きゴテを押されている身としては、ライブハウスやフェス会場以外の普通の路上にこれまで見てきたアイドルと普通に向かい合っていることに不思議な違和感があり、この感覚があるからこそ自分はオフ会が苦手側のヲタクなのだと思い出した。

そもそも「オフ会」という言葉の由来を調べると、元々ネットゲームなどオンライン上で繋がっていた人達が実際に会う、つまりオフラインで会うという所からきているらしい。

そしてこれまでネトゲやオフ会といった文化に一切触れてこなかった自分はそんなこと知る由もなく、てっきり参加者が気を抜いたテンション(オフ)で楽しむ会合だと思っていたし、仮にその誤用を用いるなら「こんな環境でオフになれるか!緊張で吐きそうなほどオンだわ!やってられん、私は自室に戻らせてもらう!」とキレ散らかしながら翌朝遺体で発見される豪華客船の殺人事件ムーブをしかねない気持ちだった。

かくしてポップな地獄の釜は開き、僕の胃腸への負担も他所に中華街オフ会がスタートしたのである。

無限食い逃げ編と一筋の光

信じられないかもしれないが、ここから先の描写はダイジェストでお送りする。

というのも上記の錯乱の数分後、「まぁずっと緊張緊張言ってたら相手側にも悪いからなるべく自然体で楽しむかぁ〜」と突然開き直った僕だった。

そのキッカケとして「券も出さずに推しと喋るなんて無限に食い逃げしてるようなもんだろ」という僕の世迷言に『いちいちチェキ券は出してないけど事前にオフ会の参加費払ってるんだから普通に話したらよくないすか?』とひろゆきが裸足で逃げ出す正論アンサーをくれた件の彼には本当に感謝しかない。

この辺から徐々に視界が開けてきた僕は、まだ若干フワフワしつつではあるが、いつもライブと特典会でしか生で姿を拝むことのない推しメンが普通の女の子として街を歩く様子を横目でチラッチラ観察する合法ストーカーをカマすくらいの余裕は出てきた。

その結果、他のメンバーが物色し始めたお土産物やキャラグッズには特に興味を示さず、とはいえ1人で勝手な行動はせずひたすら大人しく待っている柴犬ムーブだったり、かと思えば食べ物を買う段になると誰よりも勇ましく前に出て『私それ食べる!』と意思表明したり、けれどそうして買った物も歩きながら食べるようなことはせず、のちに公園に集まってレジャーシートに座るまで一口も手をつけなかった辺りに育ちの良さが伺えたり…と、何気ない推しメンの行動パターンが少しだけ見えた気がした。

またその間、定期的に推しメンが自分の隣を歩く時間があり、月並みながら(ステージで見るより小さいな)と思った。

加えてここにきて更に好感を持ったのは、自分からヲタクへガンガン話しかけにいくというより、近くで話しているヲタクたちの会話を常によく聞いていて、何かと小気味いいリズムで『ねぇ、それって〇〇だよね!』と自然に会話に入っていたことだった。

この点、個人的に雑談って一対一の対話と3人以上の会話では全く別のスポーツになると思っていて、そう考えると自分はこれまで推しメンと特典会での一対一の対話しかしてこなかったので、3人以上の会話において彼女がどういう立ち回りをするかは全くの未知だった。

それこそ我が我がで前に出る人もいれば聞き役に徹する人、場を仕切りたがる人や盛り上げ役を買って出る人など、そういう場での立ち回りってかなり性格のコアな部分が見えるなと思う。

その答え合わせが出来たのがこのオフ会で「誰も仲間はずれを作らないよう、常に人の話に聞き耳を立てて、等しく全員の話題に楽しく参加する」という推しメンのスタイルがどこか想像していたイメージとピッタリで不思議な安心感があった。

一方、当時はご時世的にまだマスク着用の空気が色濃く、自分がマスクを上げ下げしながらチキンやらビールやらを食べ飲み歩きしていた際、食べ方が汚くマスクを汚してしまった場面を推しメンに見つかったのはまぁ〜〜〜恥ずかった。

オフ会は普段見られないアイドルさんの一面が見られるのが醍醐味だと思っていたが、普段見えない部分が露わになるのはヲタク側も同じなのだと「落ちサビで深淵をガン見すると深淵からレスが来るよ!」みたいなことに気付いた。

これは練り歩き中の推しメン

「それはいいじゃないw」

こうして中華街練り歩きタイムは終了し、それまで別行動だった2班が合流する形で山下公園へ到着。

大きなレジャーシートにメンバーと参加者とスタッフさんが座り、(この場所だけで色んなヲタクと推しメンのストーリーが交錯してるんだろうな)と密かに思った。

これは場所取りをする推しメン

そこで各々買ってきた物を食べたり飲んだりしたあとは再度ざっくばらんな自由時間となった。

特にこの終盤でまだ写メ券や動画券を消化できずにいたヲタク達(自分含め)は、どうすっかどうすっかとボヤつきながら公園のあちこちに推しメンと撮影係のスタッフさんを引っ張り回してあーだこーだやっていた。

これは正拳突きで樹に挨拶する推しメン

そしてどうにか推しメン班の参加者5名が全ての券を使い終えた後は、何をするでもなくぼんやり喋っていた。

相変わらず隙あらばヲタクの年齢や職場など個人情報を聞き出そうとする推しメンを見ては「タチの悪いWEBサービスみたいだな」と思いつつニコニコ笑っていた。

なお、そのとき他のメンバー組はヲタクが仕込んできたと思われる大縄跳びや花火をやったりと思い思いの楽しみ方をしていたのだけど、そんな光景を初めての海水浴にはしゃぐ我が子を見守る荷物番の母の距離感で(元気ね〜)と眺めていた。

もちろん客観的な画としてはあっちの方がよっぽど楽しげに見えただろうけど、そんな各組の温度感の違いを見るにつれ(やっぱり自分はこういう「表向き大人しくて実は様子がおかしい」みたいな過ごし方とか、まんまそれを体現した推しメンの近くが居心地いいんだろうなぁ)と感じた。

もちろんこれは良し悪しではなく、相性の問題として。

そして一応最後のオフ会ということで感傷的な会話も多少したと思うのだけど、言ったそばから空中に溶けるような朧げなやり取りだったのでほとんど覚えていないのが正直なところ。

ただ一つだけ忘れずにいたいなと思ったのは、本当に(ちょっと寒いね)ぐらいのさりげなさで推しメンが言った『アイドルは最高だよ』という一言だった。

これまで4年間アイドル活動を続けてきて、もちろんキラキラと眩しい部分もたくさんあっただろうものの、逆に暗い側面を見たり嫌な思いも少なからずしてきたはずの推しメンの口から、活動終了を目前に控えた今の心境をそうスルっと吐露してもらえた事に、後からじんわり嬉しくなれる言葉のホッカイロを貰えた気がしたし、そう思ってくれるまでの過程に自分が1ミリでも関われていたとしたら本当に幸せなことだなと噛み締めていた。

そんなちょっとした美談を見え隠れさせつつオフ会は終了。

なお当イベ直後にはすぐ近くでクロノスの盟友NUANCEのワンマンが開催される予定であり、地続きで参加するヲタクには更にクロノスメンからのお見送りが付くというエクストラステージの設定があった。

そのためオフ会の終了間際になると推しメンから各ヲタクへの『NUANCEさんのワンマン来る?』という尋問タイムがあったのだけど、対して僕が「まぁ、それはいいじゃないw」と濁したら全てを理解した、という様子でそれ以上聞いてこなかったのでDDブランディングの勝利を噛み締めた。

蛇足

そうして無事に終了したオフ会の約一ヶ月後にはラストライブが開催され、贔屓目抜きに有終の美を飾る形でクロスノエシスの活動は無事全て終了した。

なお「見渡す限り斜構しかいない」でお馴染みのLAKEちゃん界隈に籍を置く自分も流石にこの日はエシディシくらい泣いたのだけど、それはまた別の話。

こうしてこの日を境にLAKEちゃんとは会えなくなってしまったのだけど、僕に言わせれば何も心配することはない。

あれだけ素敵な自慢の推しメンのことである。

どこに行っても元気に幸せに生きていてくれるに違いない。

だからこそ自分も何の気掛かりもなく、その後の約半年を元気いっぱいDDムーブでブン回してきた。

きっとLAKEちゃんもネットのどこかでそんな僕の現状をチラ見しては、『相変わらずだなぁw』と微笑ましく思っていてくれているに違いない。

だからこそ僕も、もしいつか彼女と再会する機会があったら恥ずかしくないヲタクでありt…え?なに?

LAKEちゃんが?

「清水玲衣」という名前で?

新グループ「Selfish」として?

再デビューする?

お披露目ライブは?

10/28(土)白金高輪セレネB2?

……

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またまた〜www


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