七福神日誌21

六時起床。
七時半に七福神出勤。
昨夜フライヤーが壊れてしまったので、急遽本日の午後業者に来てもらい、営業は十六時からとなる。
社長からの連絡では、油の温度管理機能がバグを起こしたとのこと。
開店まで時間があるためのんびりと作業。
粉やすじこん、冷蔵庫の掃除など、揚場の方でする作業を終えて、アネさん、ママさんと共に串刺しにも参加。
串を上手く刺すにはそれぞれの野菜をどんな形に切るのがいいか、また魚は、ものによっては氷水に入れて弾力をつけてから突く方がいいので、その冷やし加減などを、二人から教わる。
十三時頃、そのまま三人で昼食に行く。
第二ビルの華という台湾まぜそばの店で、台湾まぜそばを食べる。
アネさんとママさんは毎週土曜の仕事終わりにいつもこの辺りで飲み歩いている。
二人ともビールを注文し、よく飲んでよく喋る。
特にアネさんは梅田の地下街で美味い店は美味いといいふらし、まずい店はまずいといいふらす呑ん客として名を馳せているため、姐さんが初めてここに現れた日の恐怖を覚えています、強い圧迫感で、あっこの席に座ってました、と、台湾人の店主が今はもう打ち解けた調子でしみじみと話す。
この店主は日本に来て二十年以上経っており、てきぱき働きながらもよく話しかけてくれる。丁寧語と関西弁の混じる言葉遣いが独自な仕上がりで面白い。
並んで食べていると、後から後からアネさん達の馴染みが現れて、皆でビールを飲みながら今日はどこに飲みに行くか作戦会議を始める。
食後、七福神に戻る。
カウンターでミツさんが面接に来た青年と熱心に話し込んでいる。
近づくと、どうやら野球の話をしていて、いいところで席をかわってもらう。
青年に野球がお好きですかと聞くと、笑いを堪えた様子で、面接と思って自己紹介でサッカー部だと話したところ、タイガースの話になったのだという。
気合いを入れて三十分も早く来たせいで、それから俺が現れるまで三十分も野球の話を聞かされていた。
根っから商人タイプでごり押しの社長に比べて普段は常識家で通っているミツさんだが、ある種の例に漏れず、人がみなタイガースに興味があると思っている一面もあり、世間話で話題が野球のこととなると相手がその場からいなくなるまでずっとその話をしている。
青年にそれは時間を守らなかったあなたのミスだと注意する。
しかし話してみて良かったので、この方は採用することになった。
その後、やって来た修理の業者にフライヤーを見てもらいつつ、面接を続ける。
求人応募はすでに百名を越えていて、条件によって面接に進まない方もいるが、それでもこれから三週間ほどは毎日五、六件ずつ面接を行う予定。
フライヤーの故障については修理の業者から、そもそも機械の耐久期間が三年ほどのもので、これまで店でよく掃除もして大事に扱っていたから、ここまで不具合も起こさず長持ちしたのだろうと説明を受けた。
このマシンはもう八年も頑張ってくれていたらしい。
壊れた部分を新しいものと入れかえて、十六時に開店。
十七時にあがる。
妻と合流し、ルクアで少し買い物をして、十九時に阪急三十二番街に行く。
先日結婚祝いを頂いた七福神常連のアキさん夫婦に呼ばれて夕食。
グランドビルの咲くらという店に連れられて行き、ご馳走になる。
和食の店で、鯛茶漬け、鴨肉、揚げ出し豆腐など。
アキさんは乗馬好きで、本業とは別に甲冑を着て馬に乗るバイトをしている、その馬好きの繋がりで奥さんとも出会われたとのこと。
甲冑を着て馬に乗るバイトとはどういうものなのか気になったが、お互いの馴れ初めや新婚旅行のことなどあれこれ話しているうちに夜が更けてしまい、お開きとなる。
馬のことはまた改めてうかがいたい。
妻と酔って帰り、風呂に入って就寝。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?