七福神日誌11

六時起床。
朝食に米、アサリの佃煮、エノキの味噌汁。
妻が昼のおにぎりを作って持たせてくれる。
今日は社長と二人で朝番。
七時半から開店準備を始める。
一通り食材をカットしてあとの準備を仕込み長のアネさんに任せ、今日は一日、社長について揚場の事を教わる。
社長もミツさんも説明が大雑把で、塩は少々、全部コロリと切って、サクっと揚げてね、といった調子。
タイマーや量りもほとんど使わないため、揚げ時間やネタのサイズ、衣の分量などは全て見て覚えるしかない。
ランチタイムの後、営業が落ち着いている隙にまた常連さんや旅行の若いアベックなどに許可を得て、揚げ方の特訓をさせていただく。
十四時に休憩。
今日はホールにスミさんが出勤しており、昼飯を自分で揚げていると横に来て「イワシをポン酢で食べなさい」というので、いわれた通りイワシも揚げてポン酢で食べる。
おにぎりの具材は梅干し。
妻に、お父さんにもあげてといって何個か持たされていたので、そう伝えると、社長は「そんなん食べる暇ないで」といって受け取ろうとしない。
しかし夕方のまた込み始めた頃になって、「じゃあ、おにぎりいただきましょうか」といって店の隅でお茶をいれて食べ始め、そのままなかなか帰って来ないので、仕方なくその間は俺が失敗を重ねる。
特に難しいのはコロッケで、中のジャガイモがやわらかいため、衣をつけるとネタが衣の重みですぐに串からはずれてしまう。
そもそもコロッケ自体に既に衣がついているのに、なぜもう一度衣をつけて揚げる必要があるのかという気もするが、これがお客さんには人気で、うまいので俺もここ数日昼飯にもらっている。
崩れたコロッケをこね直しているところへ社長が戻って来て「わざわざバラしてくっつけて、それブラックジャック作ってんの」といわれ、アネさんが「ええやんねえ、ブラックジャック。マンガの神様やで」とフォローしてくれる。
十七時に退勤。
妻と義母のもとを訪ね、三人で夕食。
しょうが焼きときのこのナムルに、芋焼酎のだいやめというのをいただく。
まだ明るいうちに帰宅。
開店までの仕込みや発注を覚えるため、今月はは朝番中心の予定。

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