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私にとっては五重花丸

 遅ればせながら、新年おめでとうございます。
 本年も何とぞよろしくお願いいたします。
 
 年明け最初の投稿です。

 昨年末、新年に向けて富士山のモチーフを編みました。
 できあがりを見て、初めに思ったのは、

 ヤクルト、しかも青いヤクルト(笑)。

 再び、しばらく見続けていると、

 バーバパパ、しかもちょっと気取った感じ、ちょっと洒落っ気づいた感じのバーバパパ(苦笑)。
 
 私にとってはまったく納得がいかないものでした…。そして、私の中で聞こえてきたのは、

 (こんなみっともないモノ、人様に見せられるか! 恥を知れ!!)

 という恫喝。
 アーティスト魂なのか職人魂なのか、何かしらの気質をもつ、おやっさんのような誰かの声。
 こんな時、私は平身低頭で(はい)というだけです…。
 
 確かに、悲しいかな、どう見ても富士山に見えない!! ダメだ!! 失敗した~!! 作り直し、決定!! (涙)
 いつもなら、迷うことなく糸をほどいて、一から編み直して、私の中で納得がいくまで何度も何度も編み直しです。

 または、押入れの隅っこにしまい込んで、目に触れないようにして、一旦保留です。

 ところが、この富士山は、なぜか糸をほどく気持ちにもしまい込む気持ちにもなりませんでした。
 いつものように平身低頭で(はい)とも言えませんでした。

 見れば見るほどに愛おしくなってきたのです。
 
 (これはこれでいいのかもな…)

 と、ふっと力が抜ける感じがして、これはこのままで「完璧」と思えました。

 (これはこのままでいく!!)

 これで、この富士山は霧散を免れました。

 とはいっても、私の心のどこかでは「駄作」と認定しています。
 お外には出せないし、人にも見せられないと思っていましたので、机の上に密かに飾って年末年始を過ごしました。

 新年を迎えた朝、妹からLINEで挨拶がきました。
 返事を書き、送信しようとしたとき、机の上の富士山が目にとまりました。
 
 (おめでたいし、縁起物として画像を添付してみようかな…)

 という思惑が脳裏をよぎりました。

 すると、透かさず、

 (やめろ! やめろ! あんなもの! みっともない! 押入れの隅っこにでもしまっておけ!! カッコ悪い!!)

 という、おやっさんの切り返しの声が私の中で聞こえました。
 
 それから、気がつくと、私の思いとおやっさんの声とのやり取りが続きました。

 日暮れごろになり、ふと、おやっさんの声に抗ってみようかな、という妙な気持ちになりました。

 (これはこのままで完璧なんだから、といっても、確かにヘンテコだけど、隠しておく必要はないんだよな……。私にとっては五重花丸。よし! 送ろう!!)

 格闘のうえ、妹に新年の返事と富士山の画像を送りました。
 長い闘いでした(笑)。
 こうして、この富士山は隠秘をも免れました。

 妹にLINE送信後、2024年は、私の中の姿のない人の声に抗っていく年にしよう、と心に決めた元日の夕刻でした。
 もう、姿を見せない卑怯者の声にビクビクしたり、コソコソしたりしない私になろう。ほかの誰でもない私の心の声を聴こう。

 タイトル画像にある富士山、皆さんには何に見えますか??

 ◇

 この度の能登半島地震で被災せれた皆さまに、心よりお見舞い申しあげます。皆さまの安全と被災地の一日も早い復興をお祈りいたします。


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