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仏陀の真影?

Xに書くには長いのでこっちに書きます。
先日まで韓国に行っていたのですが、ソウル曹渓寺門前の仏具店に(図1)のような画像が掛けられているのが目に止まりました。
これどっかで見たことあるな〜と思ったら、大正期に活躍した華厳学者、亀谷聖馨の著書によく出てくるやつだ!ということを思い出しました(図2、3)。

(図1)写真も撮ったんですが、ブレてたのと反射しまくってたのでネットで拾ったこちらの画像を使わせて頂きます
(図2)亀谷聖馨『仏陀の最高哲学とカントの哲学』(1924)冒頭の画像
https://dl.ndl.go.jp/pid/970923/1/3より
(図3)亀谷『華厳学上より見たる釈迦文仏』(1910)
https://dl.ndl.go.jp/pid/818902/1/3より

華厳に一時期(今も一応は)興味があって、その流れで亀谷の本をデジコレで見たり、安いやつは古本屋で買ったりしてた為この画像にも既視感がありました。
ただ亀谷の本にはこの画像がどういったものなのかについて特に説明はなかったですが、曹渓寺門前の仏具店のものには下にしっかりキャプションがつけられていました(図4)。

(図4)


「釈尊四十一歳の折、弟子の富楼那が釈尊のお姿を描いた。この絵は英国帝国博物館に収蔵されており、英国の至宝である。」といった内容です。

これは史実ではなく、仏典にも管見の限りこの説話は見られません(あればご教示下さい🙇‍♀️)また、大英博物館云々も事実ではありません。
ただ画像検索してみると、主に中国語圏の結果がわんさか出てきて、同時に台湾のお坊さんがこれはニセモノだ!と断ずる動画も出てきました(図6 ただ、いつ誰か始めたかについては述べていないようです)。

図5
図6 此幅釋迦牟尼佛真影法相之問題 入如來知見 成觀法師講 https://youtu.be/IL3ZnVC964o?si=vE9GEPVObNmsY4Ky

このようにこの「真影」像は、近代以降の、主に東アジアで一定の影響力をもった、いわば近代版栴檀瑞像と言ってもよい画像ですが、現時点で自分が調べた(ネットサーフィンをしただけですが…)作者も、制作された地域も時期も不明です。

これについて何らかの先行研究があれば教えて頂きたく(特に中華圏)、また大正、昭和期日本の仏教書などでこの画像を見たらぜひご教示下さい🙇‍♀️

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