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【体外受精】採卵 (精子)

今回は精子側から採卵に関して書いていきたいと思います。

※患者様の状態やクリニック、病院により違いがあります。あくまでも私の経験の紹介となるのでご了承ください。また、重度の男性不妊場合は当てはまらない可能性がございます。

精子の準備方法

精子の準備方法は主に3通りです。

  • 当日にクリニックの採精室で採精を行う。

  • 自宅で採精を行いクリニックに持ち込む

  • 前もって精子を凍結しておく(精子凍結)

※昨今のコロナの影響で採精質の使用を中止、または制限しているクリニックもあります。

検査

精子を採取するときは手をよく洗っていただき、清潔な状態で行います。また容器は施設が準備した滅菌済のカップにとる必要があります。

精液検査は

  • 見た目の検査

  • 顕微鏡を使った検査

  • 機械を使った検査

があります。※検査項目はクリニックによって異なります。

検査項目をいくつかあげます。

  • 液量 採精した精液の液量

  • 精子濃度 1ml中にいる精子の数(精子の濃度)を表しています

  • 総精子数 精液全体での精子の数を表しています(液量×精子濃度が総精子数です)

  • 精子運動率 精液中の精子がどれくらい動いているのか表しています

  • 正常形態率 精子の形でどのくらい正常な形態をしている精子がどのくらいいるかを表しています

精子の調整

精子は受精作業を行う前に精子の処理を行っています。
処理を行う理由は良好な精子の選別を目的としています。

また、精液の精漿には受精能抑制因子が存在しています。受精するには受精能を獲得している必要があるため、精液から精漿を除去する必要があります。

調整方法としまして

  • 密度勾配遠心法 特殊な培養液を使って遠心分離機で調整をする 

  • スイムアップ法 精子を静置することで運動良好な精子を獲得する 

  • 密度勾配遠心法とスイムアップ法を併用する方法

等があります

密度勾配遠心法

成熟精子と未熟精子で比重が違うことを利用した選別方法です。
水よりも若干重い特殊な培養液を使用して遠心分離を行うことで選別を行います。
分離用の培養液の上に精子を重層し遠心分離により成熟している重い精子は下に、分離用の培養液よりも比重の軽い精子は境界面に溜まります。

Swim-up法

精子を静置して上がってきた運動良好な精子を回収する方法です。
精子の濃縮した培養液を下に、その上に培養液を重層して静置します。動かない精子は下に溜まったままですが、運動良好精子は上に泳いできます。

泳いできた精子を回収すると運動良好精子が回収できます。

調整後の検査

調整が終われば精子は再度検査を行います。
基本的には、運動性のいい精子やDNAへのダメージが少ない精子が回収できることが期待できます。

調整した後の精子は予想から外れることも多いです。
精液の原液の数値は良くても回収後の精子データから希望の治療ができない場合もあります。
患者さんの治療方針が変わることもあり得る測定なので違和感を感じたら再検査を行うことも多いです。

最後に

読んでくださりありがとうございます。少しでもお役に立てたら幸いです。

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