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国民負担率

 こんにちは。4月19日の参議院本会議で、「2023年度の国民負担率46.8%(見通し)」、「五公五民」が取り上げられました。今回は国民負担率について書いてみます。

1 はじめに
 国民負担率は国民所得(個人や企業の所得)に占める租税負担率と年金・健康保険・介護保険など社会保険料(社会保障負担率)の合計の割合です 。計算式は以下の通りです。

 国民負担率(%)=(租税負担+社会保障負担)×100 ÷ 国民所得

租税負担として、所得税・住民税・法人税・法人住民税・消費税・固定資産税などを、社会保険料負担として、年金や健康保険、介護保険などの保険料を計上している。

2 国民負担率の推移
 
以下のグラフは、昭和50年度(1975年)から令和4年度(2022年)までの国民負担率、税負担率、社会保障負担率の推移を示しています。

(引用)財務省「負担率に関する資料」

 国民負担率は平成21年度(2009年度)から令和3年度(2021年度)まで上昇し続け、2023年度の国民負担率(見通し)は46.8%と報じられました。この値は、最高値の48.0%(2020年度)を超えていませんが、依然として高い負担率です。このニュースを受けて、ネット上では、江戸時代の農民は米の収穫高の半分を年貢として上納していた「五公五民」が話題となりました。

 しかし、実際に、給与所得者全員がこの割合を負担していません。所得税は課税所得に対する累進課税(5%~45%の7段階)であり、健康保険厚生年金(18.3%)の負担は企業が半分負担する仕組みになっているからです。
 年収400万円で、年収額面と手取りの差額分に相当する税・社会保険の負担であれば、負担率は20%程度と試算されています。さらに、手取りから消費税等を納めていくことになりますが、年収400万円の人の負担率が50%近くになることは考えにくいです。

3 今後
 
日本は少子高齢化社会で、労働者人口が減少しています。2025年には団塊世代が75歳以上となり、出生率は急速に低下しています。さらに、コロナ禍の財政支出分の財源も考えれば、増税や社会保険料の値上げの可能性が否定できません。
 国民負担率の分母である国民所得が上昇すれば、国民負担率の上昇を緩和することができますが、1990年代以降、賃金が上昇しない状況が続いており、全ての勤務先で従業員の給与所得の上昇は期待することが難しそうです。賃上げ促進税制の効果に期待したいです。

4 まとめ
 昨年から、原油価格高騰による食料品や日用品の値上げが続いています。また、将来の負担増が予想されています。その中で、賃金や給与所得が増えても、消費を控え、貯蓄に割り当てられるが可能性が高いです。
 ゼロに近い金利でインフレが続く状況中では、預金の実質価値が目減りしますので、預金以外の備えを検討した方が良さそうです。

 ありがとうございました。
 画像は、杉並区高円寺・環七通り付近(2019年8月撮影)です。

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