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僕のカタチ

僕は16歳。奴山 幸祐。
高校1年生だ。
今日も朝5時に起きて、歯を磨き
朝食を口に朝の報道番組を見る。
学校では明るく友達もいる。
それに部活で全国優勝もした。
まさに優等生と言える生活だ。
親からも優遇され、幸せなんだろう。
だが兄は違った。
23歳の兄は中学で親元を離れ、
クラブハウスに住み込んでいる。
兄は勉強もまともにせず、問題ばかり起こして
僕とは正反対だ。親も呆れていただろう。
でも僕は知っている。
兄の努力を。
クラブで夜も勉強していた。
特に音楽についてだ。
僕はこっそり家の抜け出し、クラブハウスに行ってた。
兄は音楽の世界を目指していた、が
親に猛反対をくらった。
そう翼を切られたんだ。
公務員という鎖を押し付けて。
僕は兄が好きだ。
本当に幸せなのは兄の方だ。
僕は鎖を受け入れ、心を閉ざした。
僕も兄と音楽をしたかった。
「お母さん!いってきます。」
そう言って家を出て学校へ向かう。
「よう!幸祐っ!」幼なじみの大樹だ。 
「大樹、おはよう。」
「なんか暗くね?」そう言われ顔を下に向けた。
「気の所為だよ。」
「いやなんかおかしいよ。なんかあったか?」
「なんだよw何もないよ〜w」
「いや、なんかあるだろ。」
「……え?」
「言いたくないなら言わなくて言いけど。」
「実は…」と事をすべて話した。
大樹は「お前が熱出したって先生に言うから、
早く行けよ。」
「え、どこに?」僕は問う。
「幸祐の兄ちゃんのとこだろ」
「いや、親に怒られちゃうし、勉強だって!」
「いいからいいから!一日くらいどってことないよ!」
「………」少し考えた。公務員が頭をよぎった。
が僕は鎖を絶った。
まるで翼が生えたように。
「分かった。行ってくる!」
「おう頑張れよ!」
音楽の未来を想像するとニヤケが止まらない。
これが僕のカタチなんだ。

次回
幸祐、兄に会う。
デュエルスタンバイ!!

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