世界で最も偉大なギタリストの不在。
エレキギターの技術が急速に進んみ,レコーディング技術が発達し,60年代後半,LSDとベトナム戦争の二つから生まれたラブ&ピースの時代。その背景からビートルズ,ジミヘン,フー,ストーンズ等がイギリスで大活躍。
激動の時代だから優れたミュージシャンが登場した?いずれにせよロックのビッグバンがイギリスで起こり,それが世界中に広がる。ロックが一番面白かったのは間違いなく60年代後半。
時代は変わる。
戦争は終わり,LSDは違法になり
愛と平和を叫ぶ事の意味は何処にあるのか?
いつまでも60年代に踏み止まっている訳にはいかない…優れたミュージシャンには痛いほど分かっていたんじゃないのか?70年代,ビートルズは解散し,メンバーそれぞれが彼等独自の新しい音楽を作り始め、ストーンズはブラックミュージックの最先端を見据えニューアルバムを制作して,ジミヘンは燃え尽きた。
60年代の巨人たちは頑張った。
常に時代の先端に居座れる様に。
60年代のレジェンドは自分にとってもお手本であり憧れ。
でも例えば1990年代
その時10代,20代が現れ,その時にその子達の感性が研ぎ澄まされ,人格が出来て
一番多感な時に,その時代の空気を取り入れて作られた青春の歌
60年代のレジェンド達の音楽は彼等若い子達に勝る事が果たして出来るだろうか?
自分のヒーローにいつまでも活躍して欲しいと思うと同時に,新しい音を聴き,常に矛盾が目の前に現れた。
そこでジェフベック。
ジェフベックは60年代の巨人の1人であり,しかし他の巨人とは違う位置付けだった,
自分にとっては。
70年代,彼の作品はブラックミュージックの先端を見据えた曲が殆どで,ストーンズの作品作りとちょっと似ていた。
90年代終わり,ブラックミュージックの主流がヒップホップになった時
良い悪いでなく,ヒップホップは打ち込みで,言葉主流でメロディが単調でギターミュージックに馴染まない。
それでも言葉が殆ど入ってない打ち込み作品3部作を作った。
ドラマー選びにうるさいジェフベックが敢えて打ち込みを使った作品を作った理由は多分
作品はその時代の断片でないといけないと思ってるんじゃないか?ジェフベックは。
例えファンの期待を裏切ってもそれをやり遂げるジェフベックは凄いといつも思っていた。
ジェフベックの一番好きな作品,Loud Hailerは2017年に作られた。
それでは2017年はどんな年?と質問されると分からない。分かる事は世界中が元気がないと
言う事だけ。
それをどう音楽で表せば良いのだろう?
分かる人って殆ど居ないと思う。
だからジェフベックはLoud Hailerで若い女の子,オルタナィティブロックをやってたギターとボーカル2人と
一緒に作ったんじゃないのかと思う。
若い女の子は流行の最先端だからね。
この作品はシンセと原始的凶暴なギターの絡みも有るが,ジェフベックが好きなオールディーズの様な曲も有る。
一つのコンセプトがある訳ではないのに,最初から最後迄綺麗に統一されている。
いつも最先端を目指す様な作品ばかり作っているからライブを観るまでスタジオレコーディングで何を伝えたいのか分からない物が多かったが,この作品は曲も良いし、分かりやすい。
オーソドックスな基本的ギター演奏が殆どだが
ギターが歌っていて感動する最高の作品。
一番好きな作品。
YouTube で2022年11月のジェフベックのライブ演奏を見たが全然衰えていなくて…彼のピークだったかも知れない。
本当に残念なのは,知りたかった事は
この先,ジェフベックがもっと歳を取り,思う様に指が動かなくなり,ギターが下手になった時
その時,この人はどうしたんだろう?
ギターを弾く事を諦めたのか?
それでも弾き続けたのか?
それが知りたかった。
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