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(中級者、セミプロ以上の方向け)ノートPCでもMIXのレベルをグローバル水準に上げるには【制作編】

こんにちは。今回、音の仕上げ部分についての記事を書きました。2MixのBusトラック(SteroOut)に対する処理、あるいはマスタリング時の音の処理についてです。

①MixBusまたはMastering時の質を上げるうえで必要な考え方

・ラウドネス曲線という概念の活かし方を知る

引用元:Wikipedia

聞こえにくいところと、聞き取りやすいところが人にはあります。同じ音量感で感じ取ってもらうために必要な音の大きさを繋いだものが上の図ですね。つまりどういうことか、というと、

ものすごく端的にまとめてしまうと、中高域(2k-4kHz付近)が人間は聞き取りやすいので、ちょっと上げるだけでそれ以上の効果を得ることができる、ということです。

・結局、周波数、定位、圧縮の3パターンでのアプローチしかない

【周波数】EQ、サチュレーションで調整。Tonal Balance Controlを併せて使用することはかなりオススメです。
【定位】MSComp(Sideの音量を上げるために使用)、MSEQ(全体のトーンの調整のために使用)、Imager(全体のステレオ感の調整で使用)、または各Reverbでコントロールできます。
【圧縮/コンプレッサー】これは、お持ちのコンプレッサーにおいて、どの組み合わせが最も狙いのサウンドっぽくなるのか、個々に試す必要があります。ただし、マルチバンドコンプ、Busタイプのコンプ(Tube等)はほぼ必要になります。

・大体の流れの一例は、Insert順にいくと、このようになります。

①Fabfilter-EQで20Hz以下のローカット、20kHz以上のハイカット
(EQによってはカット系は特に位相が変わりやすいので、Fabfilter以外のEQでローカットをされる場合は、自己責任でお願いします。)

②AnalogTypeのEQで倍音を付加。
2-6kHz付近を若干ブースト、または140hzあたりを若干減衰させる。

③MSCompでSideの音量のみを2-3dBほど上げる。
圧縮が目的ではないのでスレッショルドは反応しないように0dBにする。
(Sideの音量を上げられるものとしては元祖のPuigchild、OzoneのVintageCompなどがあります)

④MultiBandCompで4帯域毎に圧縮する。
この時、リファレンスとサウンド感がだいぶ近づきます。または、近づけられるように設定しましょう。

⑤MSEQでSide Mid Stereoバンドを駆使して、サウンドのデザインを仕上げていく。
(MSEQの具体例として例えばこのようなものがあります。)

引用元:printbase

黄色の線がStereo、青がSide、緑がMidです。
大体どのようなプロジェクトでも、
・Sideのローカット、ハイブースト
・Stereoのハイカット
・MidまたはSideでの2k-4kあたりのブースト
は共通して行うことが多いのではないでしょうか。加えてその他、どれくらい細かく微調整していくか、が最も時間の割かれる場所ではないかと思います。

⑥BusCompでさらに音を仕上げていく。
Tubeタイプがオススメですが、お持ちのコンプレッサーを色々と試してみてください。

⑦Imagerでステレオ感を必要があれば付加。

⑧VintageTape(サチュレーション系)などで必要があれば倍音を付加。

⑨これはあまり見かけませんが、もしリバーブ感が足りなければ、MIX率5%ほどの設定でReverbをかけるのも個人的にはアリだと思っています。

その後、LimiterやMaximizerで音圧を上げます。
作業時常に、リファレンスと一緒に、LUFS値を監視するのも忘れないようにしましょう。
また、モニターも適宜切り替えて、さまざまな再生環境で確認することも大切でした。
もちろん作業の順番や、内容は人それぞれです。

・いつでも大抵はノイズ処理→バランス(相対)処理→味付け処理

ややこしく複雑な場合は、なるべくシンプルに捉え直すことで、次に何をするべきか見えてくるのではないでしょうか。

②MixMasteringの質を上げるために必要な手法

・アタックを削りすぎてしまっていないか(近接感の調整、ロー成分の調整も兼ねている)

アタックはCompresser編で書きましたが、正直2MixのBusトラックまたはMastering時でアタックを削る必要を感じません。というより、削らないべきです。ここで比較して聞いていただきたい動画をいくつかセットにして具体例を示します。

いかがでしょうか。特筆したいのは、いずれも音量は同じである、ということです。(YouTubeのラウドネス調整が入っているため)

曲によって大きく聞こえたり、小さく聞こえるものがありますよね。原因は主に2つ考えられます。一つは、Rockのようなバンドものは少し音圧を上げにくいこと(ギターが終始なっているため緩急をつけにくいから)、もう一つが、Attackを削りすぎてしまっている事です。(もちろん、EQやコンプの設定でも変わりますがここでは触れていません。)

とはいえ、特に最初の音源に関しては、かなりアタックを削っているなという印象です。Vaundyはとても好きです。

・低域、中低域の圧縮は足りているか、もしくは過剰ではないか

今一度マルチバンドコンプをどのようにして使うか、確認する必要があります。EQが血液なら、マルチバンドコンプは筋肉です。

・2mix時のラウドネス値(LUFS)をリファレンスとどれだけ近づけられているか、が肝

ローカットは必要なトラックと、必要ではないトラックを明確にし、なるべく無駄を削りましょう。そうすることで余白が生まれ、印象を大きく太くできます。

ローカット作業時は、できればカット帯域をソロで聴けるプラグインを使用し、慎重に削りましょう。

・MSEQでの調整とMultiBandCompの圧縮が要

基本的にBusトラックに対して制作中最も作業しているのは、MultiBandCompと、MSEQです。具体的には、圧縮の設定が終わったあと、MSEQで些細な調整で、聞こえ方をコントロールするというところが、僕は、主な調整のところになります。

以上ざっくりになりますが、まとめてみました。記事内容も適宜見直していきたいと思います。読んでいただきありがとうございました。

なかなか自分の音源をこちらにあげていませんので、そのうちかならず出します。

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