病院

微熱が引かないのでとうとう病院に行った。
名駅に行くはずだったがもういいやと思って予約をして自転車で行った。
自転車を止めて受付の紙をもらいコロナとインフルの検査を受けた。
「たばことか吸わないですよね?」と聞かれた。
「吸ってないです」と即答したがなんか嘘ついてるみたいな気分になった。
多分、僕が18才なのにタバコの話題を出されているという状況は僕がタバコを吸っているようなヤンキーじゃないとそもそも起こらないイベントなのだ。
僕はヤンキーでもないしたばこは吸っていないので当然吸ってないと答えるわけだが、もし僕がたばこ吸ってたら申し訳ない気持ちになっていただろうなとという想像がなぜか鮮明に脳裏に浮かんだことが僕をそんな気持ちにさせたっぽい。

リノリウムの床をゴム草履でペタペタ歩いて行き診察室の前の長椅子に腰掛け呼ばれると中に入った。

ただの風邪だった。

薬をもらって普通に帰った。

帰った後はアルジャーノンに花束をの残りを一気に読んでしまった。最後の一節で鳥肌がたった。

気分が少し良くなってきたから本を買いに行って読もうか勉強をしようか悩んだ。

単語帳を見ていると頭がボーッとしてきたので
本を買いに行くことにした。
本屋に着いたら買いたい小説は決めていたので作者の名前のついた棚を探した。
探している間脳みそに微炭酸を流し込んだみたいな感覚になって視界が一瞬ふわふわしたので長居しない方がいいと思いすぐに出た。
貧血みたいな感じだった。あそこのクーラーは強すぎた。財布の中には病院のお釣りの旧千円札と新千円札が入っていることに初めて気がついた。

帰り道橋でめっちゃ吐きそうになって家に着いた。

早速本を読み始めた。
多分僕がこの先一番好きな本を聞かれたらこの本と即答するだろう。そのくらい主人公に共感した。多分中三か高一の時に読んだ方が衝撃を受けただろう。

主人公が僕の考えたことがあることと全く同じことを考えていて笑った。
ポケットの中に入れておいたせいで人肌くらいになった目薬を差した時くらいスッと自然に染み渡る表現がたくさんあった。
感想文を書いたけどなんか違う気がして全部消した。
主人公の自己嫌悪の行き場を失っている感じが良かった。
だからといって暗い物語ではない。
読後は謎の爽快感があった。
来年もう一回読んでみよう。
作者は19の時に書いたらしいけど僕は19歳でこんな文章は書けないだろう。というか一生書けないかもしれない。文才というか感性がめっちゃ羨ましい。クラスにこんな文章書ける奴がいたら確実に嫉妬していたと思う。

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