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最高の犬。

小学2年の時に犬を飼いはじめた。

父親の勤め先へ兄弟とともに雪が降りしきる中連れていかれた。駐車場には父親の知り合いのオジサンと子犬が3匹。

茶色×2白1がいた。

僕ら兄弟は初めての犬に大興奮。その興奮が伝わっているのか茶色2匹も大興奮で尻尾ブンブンで顔を舐めてきた。


父親が1匹だけ連れて帰るから選びなさいと言う。兄貴2人は茶色のどちらかで悩んでいた。確かにどちらも可愛い。しかし、僕は気になっていた、広い駐車場の端っこで雪を食べては空を見上げてる白い子犬を。白いのは近づいても愛想を振りまく事なく雪を食べていた。抱っこしてみると足が短い。茶色2匹と比べても短い。しかも何やらお腹がプヨプヨだ。地面へ降ろしてあげると目があった。


「何か用ですか?やめてくれませんか?」


そんな顔をしていた。僕は兄貴2人へ


「白いのが面白い。奴はきっと大物になる。茶色2匹は可愛いから絶対に貰ってくれる人が現れる。だからこの面白い白い奴にしよう!」


と伝えると兄貴2人は白い子犬を順番に抱っこした。1番上の兄貴が本当に良いのか?こいつはお手も覚えられない可能性があるぞ?と聞いてきたが


「お手が出来なくても関係ない。こいつは足が短いからお手も難しいはずだ。こいつのふてぶてしい態度がいいじゃん!」


それだけを伝え続けたら兄貴2人はしぶしぶ了承してくれた。

帰りの車内でも興奮することなく家に着くまで寝ていた図太い犬だった。


名前はベルに決定。クリスマスイブに貰ってきたからという安直な名前に父親が決めた。足は短く、胴体は太い犬。無駄に吠えることも無く、散歩をして他の犬に吠えられても一切吠え返すことも無く、相手に向かって行くことも無くただ前を向いて歩いていた。多分自分を犬だと思っていなかったのではないだろうか?


リビングから出たベランダの所に小屋を置いて外で飼っていた。ある日餌をあげて部屋に戻りふとベルを見ると餌の横で座っていた。餌は野良猫が食べていた。

面白いので1時間後にもう一度見てみたら小屋に猫が寝て小屋の前にベルが寝ていた。門番かよ。

ちゃっかりその猫は1年ほど勝手に家に住み着いていた。正確にはベルの小屋に住み着いていた。散歩から帰ると小屋から猫がおかえり〜とでも言うように出てくることが頻繁にあった。僕はぬらりひょんにちなんでぬらりにゃんと呼んでいた。餌を待つときは一緒に待っていた。

仕方なく猫餌も与えるようになっていた。まさにぬらりひょん。


そんな心の広い犬ベル。父親が亡くなった日は珍しく小屋の屋根に登り遠吠えをしていた。そんなベルを見たのは初めてだった。犬も人の死を理解してるんだと思った。


よくある話の高校生になってあまり構わなくなって犬が亡くなったパターンだけど、やっぱり悲しかった。今も悲しい。

だから動物はもう飼わないと家族には伝えている。本当は犬が大好きだけど、犬のYouTubeめっちゃ見てるけど、アラスカンマラミュートが飼いたいけど、ベル以上に可愛い犬はこの世にもういないのが理由。


愛想のない短足犬。オヤツを投げればオデコに当てて下に落ちたのを食べる犬。

兄貴の予言通りお手は出来なかった。

雪でも散歩に行きたがるので小さい僕は転んで引きづられているのを何人にも目撃されていた。しかも振り向きながら引きづっていた。確信犯の犬。

鎖が取れてしまって脱走して探し回っていたらご飯の時間に帰って来た犬。しかも3件隣の家の庭で寝ていたらしい。

その家の人も爆笑していた。


僕の飼っていたのはベルという最高に面白いくて可愛い犬。

#犬のいる生活

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