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豊哲の吟行記 〜初めての俳句甲子園を観に 二日目〜

俳句甲子園二日目の朝は大街道から始まる。

八月二十日(日)朝の大街道

伊予鉄の路面電車に乗り、松山市駅へ到着した。
大きい荷物をコインロッカーへ預け、徒歩である場所へ向かった。

その場所は・・・

松山市総合コミュニティセンター

Bリーグ愛媛オレンジバイキングスのホームアリーナである松山市総合コミュニティセンターである。

この日は俳句甲子園の二日目で決勝リーグそして決勝が行われるのである。

メイン会場であるキャメリアホールへ足を運んだ時に思い付いた一句を!

ここからはキャメリアホール涼新た

俳句甲子園二日目は予選を突破した名古屋高等学校Aチーム、横浜翠嵐高校、開成高校そして立教池袋高等学校Aチームの四チームがステージに登場した。

そして敗者復活に勝ち進み、決勝リーグを戦うことになった山形東と旭川東がグループリーグで戦い、決勝が行われるというスケジュールである。

ここでタイトルである吟行記ではあるが、俳句甲子園二日目の中で好きで印象に残った俳句を紹介していこう。

まずは敗者復活を決めるための俳句から

我が影は後へ後へと曼珠沙華

(灘高校生B)

(自分がこの一句を読んでみて・・・)
・自分の死が影へと近づいていく感じがする一句。
・中七の「へと」の表現が気になる。

ここで印象に残ったことを紹介しよう。
審査員である夏井いつき先生の質問は鋭く、重みがあるため返答しないといけない灘高校生Bチームの選手は「えっと」という言葉が多く戸惑う場面が良く見られた。
衝撃のある光景を目の当たりにした!!

後の月絵皿の虎にひびが入り(洛南A)

(自分がこの一句を読んでみて・・・)
・私としては好きな一句
・絵皿にひびが入ったら虎が飛び出してきそうなファンタジー性がある。
・下五の「入り」の連用形で着地させた意図が気になる。

後の月監視カメラは傍観者

(洗足学園中学高等学校)

(自分がこの一句を読んでみて)
・中七下五のフレーズは面白く、「確かにそうだ」という納得感。
・気づきを与えてくれる一句。

季語「後の月」を調べてみた。
(俳句歳時記 秋 角川書店編 角川ソフィア文庫から)

・旧暦九月十三日の夜の月。
・風が肌寒く感じる頃。
・物寂しい趣。

洛南Aと洗足の句を比較してみたら、洛南Aの句は大事にしていた虎の絵皿にひびが入り、破棄しないといけない状況。

対して洗足の句は世間の辛さ、自分は会社や国の歯車として存在している絶望感を印象付ける感じがしました。

ここで私の隣に座っていた宇和島からおばちゃんから俳句に対して印象に残ったことを紹介します🙇

・中七に自分の気持ちを入れる(内観造形)

・季語は動かないほうが良い。

→中七に季語を入れると効果的で動かない。

この二つは印象に残り、リングノートへメモしました。

さらに決勝リーグの兼題である「小鳥来る」の季語の本意としては自分としてはホワホワした感じがしました。

しかしNHK俳句の選者である高野ムツオ先生の解説には自然の厳しさを教えてくれました。

ワシに喰われる危険な旅であり、ようやく平地にやってきたという安心感がポイントということに説得感がありました。

さて気を取り直して決勝リーグで印象に残った句を紹介、鑑賞して感じたことを発表していきます。

ボクサーの腕組んで立つ星月夜

(開成高校)

(自分がこの一句を読んでみて・・・)
・ボクサーの仁王立ちと星月夜の面白い取り合わせ。
・中七の「組んで立つ」という表現についてのディベートには説得感がある。
・自分の心を見つめ直すストイックさと肌寒さ

イヤホンに風ざわめきて星月夜

(山形東)

(自分がこの一句を読んでみて・・・)
・イヤホンから耳元のアップが出てきた描写。
・中七の表現が気にさせてくれる。
→何か不吉な予感を感じさせてくれる。
・上五中七の動と下五星月夜の静の対比。

星月夜猫のうんこが待つてゐる

(山形東)

(自分がこの一句を読んでみて・・・)
・とぼけた味わい。
・帰宅後の日常感。
・散文的な言い方だけど飾らない感じが良い。

バオバブの木の仰ぎたる星月夜

(開成高校)

(自分がこの一句を読んでみて・・・)
・「星の王子さま」のイメージがある一句。
・スケールの広さと静けさ。

星月夜うすあたたかき猪吊られ

(開成高校)

(自分がこの一句を読んでみて・・・)
・猪と兼題「星月夜」の季重なり
→どうしてこの二つの季語を入れたのか。
・吊られている猪の熱と肌身そして猟師の息遣い。
・猪を解体する様子が見えてくる。

星月夜われらのための岬欲し

(開成高校)

(自分がこの一句を読んでみて・・・)
・中七の「われら」を平仮名表記にした意図は?
・夏井いつき先生が10点満点を付けた⁉
・冒険心と連帯感。

小鳥来るその全身の雲塗れる

(立教池袋A)

(自分がこの一句を読んでみて・・・)
・雲の中を突き進み、抜け出した小鳥の様子が見える良い一句。
・作者の俯瞰的な視点で読む側としては映像が浮かびやすい。
・躍動感もある。

鯨幕うつすらと透き小鳥来る(山形東)

(自分がこの一句を読んでみて・・・)
・鯨幕というもので葬式の様子が見えてくる。 
・『押しの子』の要素が想像した。
→人気アイドルの子供として転生した双子(アクアとルビー)のように亡くなった人が鯨幕の奥にいる小鳥に転生したように感じた。
・暗い世界観と穏やかさが調和しながらこの一句が出来上がっている。

餌箱に小鳥の戻るまでの暇

(立教池袋A)

(自分がこの一句を読んでみて・・・)
・この一句は好きになった♥
・下五の「暇」の着地が良く、穏やかな時間の感覚が味わえた。
・中七の「小鳥の」について助詞「が」でも良かったのでは・・・

小鳥来る袖のボタンを留めながら

(山形東)

(自分がこの一句を読んでみて・・・)
・出勤前のサラリーマンもしくは登校前の学生の日常の一場面を描いた良い一句。
→この一句も好き♥!!
・「袖のボタン」で長袖ワイシャツと分かる。
・下五の余韻も好き♥

小鳥来る欠伸のためにゐる書紀に

(立教池袋A)

(自分がこの一句を読んでみて・・・)
・審査員が満場一致するぐらい良い一句。
・生徒会の一場面で実体験のある一句。
→生徒会をやっていたメンバーが二人もいたの⁉
→穏やかな秋の場面。
・中七の「ために」の表現が気になる。

コスモスの中へ降りゆく気球かな

(名古屋高等学校A)

(自分がこの一句を読んでみて・・・)
・なんとファンタジー性のある一句。
・気球がどんな状況でコスモス畑の中へ降りゆくのか読み手の想像に任せてもらう一句。

参道をサイダーのあをびかりかな

(開成高校)

(自分がこの一句を読んでみて・・・)
・「あをびかり」という表現にはびっくりした!
→綺麗な青が目に浮かんでくる!
・これはやられた!

さてさて、なぜこんなたくさんの俳句を紹介出来たのか知りたくありませんか?

実はリングノートにメモしていたのです。

リングノートのメモ

決勝リーグ立教池袋Aチーム対山形東の句合せをメモしたものです。

左に立教池袋A、右に山形東の俳句を記していました。

これに対して赤ペンや青ペンで思ったことを書いていたからです。

最後に私の吟行した句を紹介します。

立教池袋A対山形東の句合せ後の昼休憩は松山市駅に戻り、まつちかタウンにあるステーキ店へ行きました。

まつちかタウンのステーキセット

鉄板に照り焼きの香や秋暑し

その後は銀天街にある小学生が作った俳句の垂れ幕を眺めたりしながら松山市駅とコミセンを往復して、パブリックビューイングで俳句甲子園を観ていました。

銀天街の垂れ幕

決勝戦は先鋒戦だけをパブリックビューイングで観た後は、松山市駅へ戻り高知へ帰りました。

八月やオレンジ色のバスを待つ


次に松山へ来る時は多分Bリーグ愛媛オレンジバイキングスのクリスマスゲームを楽しみにしています😊

コミセンやセイレーネスのサンタ帽

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