ライブシアター栗橋の思い出 1-4
8月20日(火)、その翌朝未明、ライブシアター栗橋は46年の歴史に幕を下ろした。
思うことは色々あるが、さすがにこのページでは書ききれそうにない。
ほんとうならば、踊り子一人ひとりについても書きたいところではあるが、やむなく割愛させてもらいたく思う。
閉館の日の朝、喫茶店で朝食を済ませ09:00頃に劇場に着いた。
さすが最後の日とあって、第二駐車場もすでに半分弱が埋まっていた。
開場から1時間以上も前だったが、前日の順番取りで座れる保障こそあったものの、それくらいでないと駐車場すらも停められるかどうか危ういものだ。
なんでも当日早朝6時頃に来たという知り合いが、もう30番目くらいに並んでいた。
そして開場。いつものように支払いを済ませると、いざ客席へ。
大千秋楽講演を飾ったのは(敬称略)
・長瀬ゆら
・浅葱アゲハ
・御幸奈々
・黒井ひとみ
・ゆきな
・蟹江りん
・小宮山せりな
以上の七名の踊り子たち。
2回目が終わると、社長直々の閉館にともなっての挨拶があった。
そうはいってもそう長かったわけではない。
「今まで長年のご愛顧をありがとうございました。ライブシアター栗橋は本日でなくなりますが、(有)林企画 自体は継続しますので、よろしくお願いします。」
要旨をつかむとこういった感じだ。踊り子たちに「どうぞ前へ」と言われても「ここで結構」という感じから、人前へ出ることは得意でないと見える。
そして3回目。それぞれの踊り子たちにとって、泣いても笑っても最後のステージだ。前述の通り、本当は全ての踊り子に触れたいが2人にとどめさせていただく。
黒井ひとみさんはストリッパーになって12年だと本人が言っていたが、それまでの道のりでいかに苦労を重ねてきたかがうかがい知れるものがあった。
現に黒井さんはステージ上で舞いながら本当に泣いていたと思う。
汗と共に両目の目元から頬伝いに太く流れるものが見て取れた。
私はそれを見て涙が込み上げてきた。
いままでこの劇場でも黒井さんを見たことはあったが、「どんなにつらい時があったとしても、光は必ず見えてくる。」というメッセージ性は誰にも負けじとばかりの印象だった。しかし、私が見た中ではステージの上で泣いている姿を見たのはこれが初めてだった。
オープンショーでも可能な限り手が届くお客とはハイタッチのリアクションを最後までくれていた。そして最後にはあふれんばかりの涙を流しながら「ありがとう」と私たち観客に最後まで手を振ってくれた。
蟹江りんさんは、ロードオブメジャーの「心絵」を披露してくれた。
他の踊り子さんもステージ上に巻き込んでの豪華な演出。
更には観客までもを巻き込んで、おもちゃの野球ボールやゴムのイガグリをホームランとばかりに客席に飛ばしてくれた。まるで今回で引退とは思えないまでの明るさだった。
1回目、2回目の静かな演目とは対照的だったが、最終最後まで周りを巻き込んでの活気づけには本当に心にくるものがあった。そして「心絵」には個人的な思い入れが強かったこともあり、再び涙がこぼれ落ちてきた。それでも蟹江さんは演目の最後まで華やかに、舞ってくれていた。
しかし、オープンショーに入ると・・・チップを渡すお客たちは男女を問わずにほとんどの人が泣いていた。蟹江さんもとうとう何かが外れたのだろうか、その場の空気は蟹江さんとお客の涙で染まったかのようだった。
曲が終わってもアンコールの拍手までもが沸き起り、オープンショーは確実に10分近く続いた。
日をまたいだ頃、演目のすべてが終了。とうとう20日には閉館しなかった。
そして最後のポラタイムが終わると・・・いよいよトリを飾った小宮山さんからの挨拶。
「私はロック座所属ですが、栗橋には本当にお世話になりました。初めてここに乗ってから、後にストリップ劇場の新設は法律で禁止されていることを知りました。ここでは、一晩中ハクビシンの物音に悩まされて寝られなかったり、ヤスデが衣装にくっついたまま躍る羽目になったこともありましたが、今ではそれらも含めてすべてがいい思い出です。ライブシアター栗橋は無くなりますが、これからも踊り続けてストリップの魅力を発信し続け、客層を増やしていくことが私たちにできることだと思うので、これからも頑張っていきます。」
もちろん、一言一句すべてを覚えているわけではない。
要旨をまとめたものであるが、ストリップ劇場の減少に負けずと頑張る姿には本当に最後の最後まで心を打たれた限りである。
こうして翌01:00頃、みんなに惜しまれながらライブシアター栗橋は46年の歴史に幕を閉じた。マロンちゃんは何事もないかのように、去りゆくお客たちをしり目にのんびりとした様子だ。
・・・いかにも猫らしい。
蟹江さんの「閉館やだ。」という言葉は本当に切ないものだし、今でも思い出すと涙が出そうになる。だからこそ、私はこれからも可能な限り色々な劇場に通いながら、ストリップを応援し続けていきたいと思う。
全4篇、お読みいただきましてありがとうございました。
今回は「ライブシアター栗橋の思い出1-1~1-4」という形で執筆しましたが、これからも2,3,4・・・という形で綴っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
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