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読書会メモーー野口雅弘『マックス・ウェーバー』

野口雅弘『マックス・ウェーバー』(中公新書)を課題本として読書会を行いました。ここでは、そこで話された内容のポイントを簡単に残しておきます。

・ウェーバーは社会のなかに、官僚制や民主主義といった「機械」を見出していた。その意識されざる仕組みを解明することをライフワークとしていた。とはいえ、政治の情報公開に難色を示していたところなどを見ると、死後のナチスの隆盛を予見できなかったように、機械が「どのように稼働すべきか」という問題は深めきれなかったのではないか。
・『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』で知られるウェーバーだが、キャリアの始めから「経済」というテーマを軸としていた。
・ウェーバーは、仲たがいした直後に父が死去したことで、文明のなかにある個人の生に無視できない虚しさを見出すようになった。個人の生にどんな達成があったとしても、文明は進歩しつづけ、個人はその先の文明を見ることはできない。こうした人生観は、哲学における流出論の批判という形で表れた。流出論とは新プラトン主義に代表される世界観で、高いところにいる完全な神から、低いところにある現世へとあらゆるものが「流れてきた」とする説。そのプロセスを逆にたどれば理論上は神へと遡行できるとするが、ウェーバーは「前提となっている神そのものを疑えない」として退けた。(このあたりは理解が曖昧です)
・ウェーバーは、自信の理論を語るうえで潔癖症的な性格を持っていた。例えば「生産性」という言葉で経済をすべて語ってしまうことに強く反発していた。私生活でも、誰にも邪魔されない研究環境というものに執着していた。
・現在の右翼・左翼のような枠組みにとらわれない、独特のバランス感覚を持っていた思想家だった。

次回の課題本は、ウェーバーの主著『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』の前半です!


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