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謎のおじさん(とくし丸関係ない)

(とくし丸と関係ない話です)
自宅からとくし丸をやっている拠点スーパーとの間に
1軒の中古車販売店がある。

出勤で早朝と夜に、この中古車店の前を平日毎日通るのだけど
1年ぐらい前のこと

早朝、6時過ぎくらいに僕がバイクで中古車店の前を通ると
店の前の砂利道におじさんが立っていた。
おそらく50~60代くらい。
服装は、スーツとかじゃない、普段着で
白髪が混じって、メガネをしているおじさん。

夜、とくし丸の仕事が終わって家に帰る19時くらいにも
そのおじさんは立っていた。

中古車店のすぐ横には大きめの国道が通ってるんだけど
おじさんはいつもその国道の方を無表情で、微動だにせず
眺めているように見えた。

いつからいるのかは分からない。
でもそのおじさんに気付いてからは
前を通る時はつい確認するようになってしまった。

早朝は毎日必ずいる。
確認していた限り、毎日いたと思う。
夜はだいたい、いる、たまにいない。

あと僕は土日のどちらかに
拠点スーパーにとめさせてもらっているとくし丸車両に行き
ガソリン補充、掃除、釣銭整理、商品入替等々…
平日の営業時にはなかなかできないことをまとめてやりに来ている。
その土日にも、おじさんは、たまにいる。

そんな感じで1年くらいはずっと確認していた。
怖いのは
雨の日でも、寒い日でも、暑い日でも
関係なくいつもいる。
そして何をしているのか全くもって不明。
ただただ、じっと、立って道路を眺めている。
何かをしていたことは一度も無い。

ついに幽霊が見えるようになったか?
と思ったが、なんとなく確かめる勇気が出なかった。

確認した結果、幽霊だった場合もやばいけど
なんてことのない理由だった場合
夢が壊されてしまうような気がしていて、勝手な話だけど。

そうして
「あぁ、今日もいるなぁ」
が、1年くらい続いてすっかり日課になっていたある日。

とくし丸を終えて拠点スーパーから自宅にバイクで帰っていると
いつもおじさんが立っている砂利道のあたりに
赤色灯がチラついているのが見えた。

近付いてみると
パトカーが止まり、そこで何人かの男性が話をしている様子だった。
ちょうど信号が青に変わってしまったのでそれ以上は分からなかった。
おじさんがその場所にいたのかも、よく分からなかった。

翌日から、おじさんはいなくなった。
次の日も、その次の日も。
今日に至るまでずっと。
ほぼ毎日いたのに。

色々想像はしてみた。
でも僕の貧困な想像力では、とてもつまらないものばかりだった。
現実も、とてもつまらないものだったのかもしれないけど
僕の中では『謎のおじさん』として
『都市伝説』のように温めていきたい。

そしていつか
気に入られたい女子に
『ねぇ、なんか面白い話して』
って言われたときに
この話を、ほんのちょっと脚色しつつ
都市伝説のように話して好感度アップを狙っていきたい。

けれども
僕の貧困な想像力でも
『うーん、なんか、微妙』
と言われてしまう結末はリアルに想像がつくんだ。


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