3ベットポットにおけるポケット大好きマンへの対策(Re-write version)
前書き
本記事は、りおん(https://twitter.com/rion_poker_sss)が書いた記事をねる(https://twitter.com/neru_poker43787)がリライトしたものである。
以下の4点について、修正を加えた。
①GTO wizard AIに与えるベットサイズを均衡解に与えられているサイズに揃える修正
②図表の訂正と詳細の追加
③包括的な考察の追加
➃誤字脱字等の文章表現の修正
それ故、元記事を読んだという方にも是非読んでいただきたい内容となっている。
元記事が気になる方はこちらのリンクから飛んでいただければ、読むことができる。
はじめに
一般的に3ベットポットにおいて、ポケットペアがコールされすぎていると感じる。皆さんも3ベットポットでポケットペアにセットを刺されて、全弾を取られた経験が多いのではなかろうか。
本記事を読めば、IP側がポケットペアをコールしすぎるリークを持っている時に、
お互いのレンジがの性質がどのように変化するのか
このリークによってIPがどれほど損しているのか
どのように戦略を変更すればよいか
について概ね理解することができる。
検証にはGTO Wizardの Wizard AIを用いる。
検証方法
3ベットポットの中で最も出現頻度の高い SB vs BTNの3ベットポット(NL50 5% 4bb cap)で検証する。
SBの3ベットレンジはソリューション通りで固定、BTNのポケットペアの3ベットコール頻度を変更して検証する。99以下のポケットペアのコール頻度のみ変更しており、その他のハンドは均衡解通りの頻度としている。
wizard AIで使用するベットサイズは、フェアな比較のためWizard 50NL General Solutionで用いられているものと可能な限り同じになるように設定した。(※1)
※1
SB側のベットサイズ、SBがチェックした場合のBTN側のベットサイズについては、同等に揃えていますが、ベットに対するレイズサイズの設定がわずかに異なる。豊富なレイズサイズを用意したので、戦略に与える影響は無視して問題ない。
上記のレンジを基に
対 均衡レンジ
対 ポケット過多レンジ
の2つの場合のSBの最適戦略を比較・考察する。
※均衡のSBの3ベットレンジ、及びBTNの3ベットコールレンジはGTO Wizard上で無料で確認できるため各自確認することを推奨する。下記にURLを載せておくのでプリフロップに自信がない方はご参考までに。
①AT3r
1️⃣均衡解
均衡解においてSBがレンジ全体で有利なボードであるため、SBは全レンジでベットすることが推奨されている。
後の比較のために、お互いのレンジのEV、EQ、EQRも合わせて載せておく。
2️⃣リークが存在するときのエクスプロイト戦略
エクスプロイト戦略においても、SB側にレンジアドバンテージがあるため、全レンジでbetすることが推奨されている。
こちらについても、お互いのレンジのEV、EQ、EQRも合わせて載せておく。
3⃣均衡戦略とエクスプロイト戦略の比較
BTN側のレンジがポケットペアに偏ることが、EV・EQ・EQRの全てにおいてSB側に有利に働いている。
均衡戦略とエクスプロイト戦略のCB戦略を比較する。
大きく差はないが、均衡戦略では比較的用いられていた75%のサイズがエクスプロイト戦略では用いられていない。
これは、BTN側のレンジにEQの低いポケットペアが増えているという弱点を最大限活用できるサイズが安いサイズであるからであると考えられる。
②Q85tt
1️⃣均衡解
SB側にレンジアドバンテージはなく、レンジEQは拮抗している。そのためSBは広くチェックすることが推奨されている。
後の比較のために、お互いのレンジのEV、EQ、EQRも合わせて載せておく。
2️⃣リークが存在するときのエクスプロイト戦略
セットについてはBTN側が多くなっているが、アンダーペア以上のハンド割合については圧倒的にSB側に多くなっている。
それ故、高頻度で安いサイズから中サイズのベットが用いられている。
後の比較のために、お互いのレンジのEV、EQ、EQRも合わせて載せておく。
3⃣均衡戦略とエクスプロイト戦略の比較
まず、お互いのレンジが均衡戦略と、エクスプロイト戦略の双方において、どのように変化したかに着目する。
表から読み取れる通り、レンジのEQは、僅か1.2%しかSB側が有利になっていない。一方で、EQRは+12.6%と大きくSB側に有利に傾いている。その結果、SB側のEVが上昇する結果となっている。
この結果として、SB側の戦略は大幅に変化した。
均衡戦略では、レンジの2割程度しかベットしていなかったが、エクスプロイト戦略では、レンジの8割程度をベットしている。
およそ60%もベット頻度が増加している。
EQRの低いポケットペアを咎める戦略になっていると考えられる。
③852tt
1️⃣均衡解
SB側にレンジアドバンテージはなく、レンジEQは若干ではあるがBTN側に優位である。
SBとBTNのレンジを比較すると、レンジの上位ハンド(over pairなど)において優位性があるため、低頻度でlarge betを使用する戦略がとられている。
後の比較のために、お互いのレンジのEV、EQ、EQRも合わせて載せておく。
2️⃣リークが存在するときのエクスプロイト戦略
BTN側がレンジ全体で55%のEQを持っており、レンジアドバンテージがある状態にある。
しかし、SB側のオーバーペア群はBTN側の大半のレンジには勝っているため、バリューベットを打つことができる。
オーバーペアを中心に低頻度のLarge Betを使用する戦略がとられている。
3⃣均衡戦略とエクスプロイト戦略の比較
まず、お互いのレンジが均衡戦略と、エクスプロイト戦略の双方において、どのように変化したかに着目する。
レンジデータを見るに、EV、EQ、EQRのすべてにおいて、SB側が不利な方向に動いている。
レンジ全体のCB戦略について比較すると、SBのベットサイズはいずれも75%のサイズが主に使われており、ベット頻度は低頻度である。
しかし、エクスプロイト戦略のほうが8%程ベット頻度が少なくなっている。単純にレンジ全体が不利になったからであると考えられる。
④JJ5tt
1️⃣均衡解
Jのトリップスのレンジの占める割合に大差はないが、SB側には一方的に99+のペアが存在している。それらの強いポケットペアの優位性を生かすために、33%~50% サイズ の betを多用するような戦略をとる。
後の比較のために、お互いのレンジのEV、EQ、EQRも合わせて載せておく。
2️⃣リークが存在するときのエクスプロイト戦略
レンジ全体のベット頻度が93%と非常に高く、ベットサイズも75%のサイズが主に使われており非常に大きくなっている。
①Jxのトリップスのレンジ内割合がBTN側に少なくなったこと
②BTNがバリューターゲットとなる多くのポケットペアを保有していることによって、SB側のAA~88の価値が上昇したこと
の2点がこの戦略となる主な要因だと考えられる。
3⃣均衡戦略とエクスプロイト戦略の比較
まず、お互いのレンジが均衡戦略と、エクスプロイト戦略の双方において、どのように変化したかに着目する。
表から読み取れる通り、レンジのEQは、僅か+0.4%しかSB側が有利になっていない。一方で、EQRは+13.2%と大きくSB側に有利に傾いている。その結果、SB側のEVが上昇する結果となっている。
次にベット戦略を比較する。まずベットサイズについて、均衡戦略とエクスプロイト戦略を比較すると、ベットサイズが1段階大きくなった。これは、SB側のレンジの持つJのトリップスおよび、オーバーペアの価値が相対的に向上しているからであると考えるのが自然である。
またベット頻度についても64%→93%へ29%も増加している。
包括的な考察
ここでは、今まで考察してきたすべてのボードの平均的なSBのCB戦略、お互いのレンジのデータを比較する。
まず、レンジデータに関しては
互いのレンジEQに関しては変動がなかった
SBのEQRが5.3%増加し、BTNのEQRは6.1%低下した
これに伴って、SBのEVが3.1%増加した
SBのCB戦略に関しては
ベット頻度が52%→73%に21%増加した
用いられるベットサイズが上昇した
この2点が主な違いである。
この分析から、
ポケットペアをたくさんコールする相手の弱点はレンジのEQRの低さであり、その弱点を咎めるためのエクスプロイト戦略はベット頻度とベットサイズを共に上昇させることであるとわかる。
(ただし、ローボードではポケットペアが非常に強いEQを持つので、その限りではない。)
終わりに
3ベットポットにおけるポケット大好きマンへの対策-Re-write version-
はいかがだったでしょうか?
本記事では、可能な限り厳密な比較を、可能な限り簡潔な文章で記述することを心掛けました。
本記事がたくさんのポーカープレーヤーに届いてほしいと思っておりますので、この記事を読んで「いいね!」と感じたらSNS等で拡散していただけると非常に嬉しいです。
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この記事の検証で用いられている、GTO wizardのアンバサダーを友人のrionが務めておりまして、こちらのリンクからGTO wizardの登録をしていただくと、初回契約時に10% offの料金でご購入いただけます。
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