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フロップ250%の世界(第1編)

はじめに

みなさんこんにちは!
すこやかぽーかー会のねるです。

今回は、普段あまり焦点を当てられない「特大ベットサイズを用いる均衡戦略」についてまとめた記事となっています。
フロップ戦略とターンカード毎のターン戦略をまとめています。

・オーバーベットを用いた戦略に興味がある方
・フロップ250%戦略を実践で活かしたい方
・戦略の分析がお好きな方

上記3つのどれか一つにでも当てはまる方にはオススメの内容です!


フロップ250%CB戦略を用いるボード

ここで述べる戦略は、Blind Headsにおいてフロップに250%サイズを用意した際に採用される戦略です。大きく分けて、250%CBが用いられるボードは以下の3つです。
(僕が見つけていないだけで、ほかのボードでも250%サイズのベットが用いられる可能性は否定できません。知っている方がいればDM等で教えてください)


  1. A-KQJ-low レインボーボード(ツートーンボード)

  2. T-876-low レインボー、T- low-low レインボーボード

  3. 9-765-low レインボー


ここでのlowカードにあたるカードは5,4,3,2です。
当初は、1本の記事にまとめる予定でしたが、長くなりそうなので、2本または3本の記事として扱いたいと思います。
第1編では、「A-KQJ-low レインボーボード」についてまとめます。

本編に移る前に、本記事内での略語をまとめておきます。

本記事で出てくる略語表記

FD•••フラッシュドロー
GSSD•••ガットショットストレートドロー
BDSD•••バックドアストレートドロー
BDFD•••バックドアフラッシュドロー

第1編: A-KQJ-low レインボーボード

フロップ戦略

このボードは、BTN側にAxの強いキッカーのハンドが多く存在することによって、250%のOverbet を採用するボードです。
具体的な戦略を見ていきましょう。

AK3 レインボーボード フロップCB戦略
(紫 250% bet : 黄色 25% bet : 緑 check)

250%の CB 戦略を使用する際のバリューハンド群、ブラフハンド群を下記にまとめます。

バリューハンド群:
セット、ツーペア、AT+

ブラフハンド群:
GSSD(上)、GSSD(下)、22-55、Jロースート、Tロースート、3x(3hit)

再現が難しいところとしては、
22-55、Jロースート、Tロースート、3x(3hit)」
と言ったところかなと思います。
22-55は下の GSSD 完成時のブラフ、Jロースート、Tロースートは、ターンでストレートドローやフラッシュドローが伸びた際のブラフ、3xも基本的に Q、J、Tが落ちた時に、バリューハンドに昇格したり、優秀なセットブロッカーブラフとして機能するハンドという認識です。

どのターンカードが落ちた時に、どのブラフハンドを継続するのかをフロップの段階である程度考えておくことは、戦略を構築する上で非常に重要です。

BB のディフェンス戦略

基本的にSBの相手に250%ベットを使用されることは少ないため、ディフェンス戦略に関しては学ぶ必要がないと思う方も多いと思います。
しかし、ターン以降のOOPのベット戦略を理解する上で、BBのディフェンス戦略を概ね理解しておくことが必要だと感じたので説明しておきます。

ディフェンスレンジをEV+群と、indifferent群(以下、id群)に分けて整理しておきます。
EV+群は、相手がバランスをとれた戦略の場合にピュアコールするハンド群、id群は相手がバランスの取れた戦略でもコールとフォールドのどちらの選択肢をとっても良いハンド群(どちらの選択もEVが0)という意味です。

EV+群
セット、ツーペア、AT+、BDFD付のAxs及びKxs、BDFD付のGSSD(上下共に)、ダブルバックドア付(下のBDSD及びBDFD)3x
id群
BDFDなしA9以下、オフスートのGSSD(上)、ダブルバックドア付き(上のBDSD及びBDFD)3x

Flop 2.5x pot BBディフェンス

※このBBのcall レンジは、SBのbet レンジが変化すると、それに対応した別のcall レンジになるので、注意してください。
上記はあくまで均衡解(GTO戦略)です。


ターン戦略

ここからは、ターンカード別に戦略を整理しておきます。

①Q-J

ターンカードがQまたはJの場合、70% or チェックを推奨します。Q及びJはOOPにとって有利なカードなので、ベットの継続頻度は比較的高めです。以下にターンカードがJ♦の場合の戦略を載せておきます。
バリューハンドとブラフハンドの構成はそれぞれ以下のようです。

バリューハンド:
ツーペア+、AT+

ブラフハンド:
Jxのワンペア、3x、TのGSSD、GSSD(下)

フロップのバランスさえ取れていれば、ターンで気を付けることは、Jxのブラフを継続することぐらいかなと思います。

ターンJ♦の場合のOOPベット戦略

②T

記事を書く前には、QJT を同じ性質のカードであると考えていましたが、性質が異なったのでTは別でまとめます。

ダイナミックサイズで推定させると、40%と70%の2サイズ戦略が出力されますが、50%サイズの1サイズ戦略とレンジEVがさほど変わらないので、50%の1サイズ戦略をおすすめします。

バリューハンドとブラフハンドの構成はそれぞれ以下のようです。

バリューハンド:
ツーペア+、AT+

ブラフハンド:
Txのワンペア、3xのGSSD、Jxのコンボドロー、GSSD(下)

ブラフハンドに関しては基本的に「発展したハンド群」で継続しているというような形です。
ターンでワンペアに昇格したTx のハンド群も、ツーペア及びトリップスアウツを得る形で発展したととらえて継続することが大切です。

ターンT♦の場合のOOPベット戦略

Column①: Q,Jと T で戦略が大きく異なる原因

①フロップでOOPがATをピュアベットしていない
②IPがAJsをPFでpure 3betしているが、ATsはコールしている
③IPがフロップでJT、QT と比較してQJ を優先的に守っている

以上により、ターンカードがQやJの時と比較して、OOP のツーペア群の割合が減少していること、IP のツーペア群及びストレート群の割合が増加していることが原因と考えられます。


③9-6

9~6 のカードに関しては、このボードにおける一番のラグと言えるでしょう。このボードに関しても70%、100%の2サイズ戦略と70% の1サイズ戦略でEVがほとんど変わらないため、より簡単な70% or チェックを採用します。
ベット頻度がQJT の場合と比較して低いことは気を付けましょう。

バリューハンドとブラフハンドの構成はそれぞれ以下のようです。

バリューハンド:
ツーペア+、AT+

ブラフハンド:
9xのワンペア、3x、Jx及びTxのFD、GSSD(上下共に)

ターンのベット頻度はそこまで高くないので、発展したハンド群及びフロップから引き続きドローのある群をベットに回せば、ブラフハンドが十分です。
3xのハンドに関してはツーペアトリップスドローで引き続き継続しましょう。

ターン9♦の場合のOOPベット戦略

④5,4,2

 5,4,2のカードは互いのGSSD が一部完成するカードでありますが、基本的にレンジ全体に与える影響は少ないです。
このボードに関しても70%、100% の2サイズ戦略と70% の1サイズ戦略でEVがほとんど変わらないため、より簡単な 70% or チェックを採用します。

バリューハンドとブラフハンドの構成はそれぞれ以下のようです。

バリューハンド:
セット、ツーペア、ストレート、AT+

ブラフハンド:
ローペア、FD、3x、GSSD(上下共に)

こちらのカードに関しても、基本的に発展したハンド群をブラフとして継続します。
ローペアをフロップのベットに回せてさえいれば、ローペアがブラフ過少になることはないと思いますし、難しいところといえば、上側のGSSDをたくさん諦めることぐらいでしょうか?

ターン5♦の場合のOOPベット戦略

A、K♦、K♠

K♣が特殊なカードなので、AとK♦、K♠の場合だけを一括りにまとめます。
これらのカードが落ちた場合の、IP及びOOPのナッツ級の所在は基本的にOOPにあります。
Aが落ちた場合は、Aのキッカー勝ちに対してAQ-Tがバリューベットを打つ世界になります。
Kが落ちた世界に関しても同様にIPに8% ほど残っているKに大きく放銃しないサイズで、引き続きAのキッカー勝ちからバリューを取る世界になります。
どちらの場合にも戦略は概ね同様であり、30% 程度の頻度で70%サイズ のベットをするのが良いでしょう。

バリューハンドとブラフハンドの構成はそれぞれ以下のようです。

バリューハンド(A):
フルハウス、AT+

ブラフハンド:
FD、3x、GSSD(特にJT、54s)

ターンA♡の場合のOOPベット戦略

Column②: QJ,QT より JT,54s が好まれている理由

QJ,QTよりもJT,54sが好まれている理由は、ストレートを完成させた時の役の相対的な強さが異なるからです。
QJやQTがストレートを完成させた時には、IPのAJやATがフルハウスを形成しています。一方、JTがストレートを完成させるQでフルハウスが完成するAQはPFでほとんど3ベットに回っています。それ故、JTの方が完成した時に得られるバリューが大きいのです。
54sについても同様に完成時にAJやATに対してバリューが成立します。

このような違いから、JTや54sがブラフハンドとしてより好まれています。


⑥K♣

K♣がほかのAやKと異なる性質を持つことを理解するためには、BBのフロップディフェンス戦略の理解が必要です。

そのため、BBのディフェンスレンジについて、ここでおさらいします。

### BBのディフェンスレンジ ###
EV+群
セット、ツーペア、AT+、BDFD付のAxs及びKxs、BDFD付のGSSD(上下共に)、ダブルバックドア付(下のBDSD及びBDFD)3x
id群
BDFDなしA9以下、オフスートのGSSD(上)、ダブルバックドア付き(上のBDSD及びBDFD)3x

本記事内 BBのディフェンス戦略 

フロップでIPが守っているKはBDFD のあるK に限られます。
具体的には、K♠x♠ と K♦x♦ です。
K♠やK♦が落ちた際にIP に残るKx は落ちなかったどちらか一方のスートのみです。ところが、K♣ が落ちた場合にはフロップでIPが守ったKxがすべて残っています。それ故、K♣ はK♦ や K♠ と比較して大幅にIP のレンジを強化するカードなのです。


左(K♦)右(K♣):トリップスのレンジ内割合がK♣の際に約2倍に

したがって、K♣ が落ちた際はOOPが非常に不利になります。

レンジ全体のベット戦略は厳密には10% の頻度で40% サイズのベットになりますが、面倒なのでレンジチェックでよいと思います。
実際、レンジチェックと上記の戦略を比較すると、ほとんど同じです。

左(レンジチェック)右(頻度10% サイズ40%)

⑦3

ターンカードが3の場合のレンジ全体のベット戦略は、⑤の時と似たようなものになります。ただし、ハンド選定の部分で異なる部分があるため、分けています。

まず3xに関しては、どのスートが落ちた場合でもIPの方がコンボ数が多くなります。その上で、3xのコンボ数の差は些細なものなので、戦略を構築する上では基本的に無視されます。

また、Axに関してはすべてAのワンペア、キッカーKとなっているので、すべて同じ強さとなります。(ツーペアアウツの関係で多少EQが異なります)
その上で、AK、KK、AAはOOPに一方的にあるので、ナッツ級のハンド群はOOPに多く、AK+でポラーな戦略を構築するに至ります。

その上でハンド選定が重要です。
バリューハンドとブラフハンドの構成はそれぞれ以下のようです。

バリューハンド:
フルハウス、トリップス、AK

Vluffハンド:
AQ-T

ブラフハンド:
ローペア、FD、GSSD(上下共に)

ターン3♥の場合のベット戦略

他のターンカードの時と異なる点としては、Vluffハンドを追加している点にあります。
Vluffに関しては、上級者向けの内容であり、説明は分量の関係でここでは割愛させていただきます。

Aの強いキッカーのハンドを純粋なバリューベットではないけど継続するんだな…という風に覚えておいてください。
ちなみに、ターンでAQ-Tを十分にベットしないと、リバーで正しいポラー戦略が構築できなくなりますので、この部分の再現は実は非常に重要です。

AsKh3dフロップ・ターン戦略(まとめ)

### Flop戦略 ###
バリューハンド群:

セット、ツーペア、AT+
ブラフハンド群:
GSSD(上)、GSSD(下)、22-55、Jロースート、Tロースート、3x(3hit)

### Turn戦略 ###
Qおよび J → 高頻度70%
T → 中頻度50%
middle & low (not paired) → 中頻度70%
AおよびK♦, K♠ → 低頻度70%
K♣ → レンジチェック
3 → 中頻度70%

バリューハンド群:
(フルハウス)、(ストレート)、セット、ツーペア、AT+
ブラフハンド群:
ボードに応じて発展したハンド群、GSSD(上下共に)

まとめ

今回はフロップで250%サイズを用いる3つのボードの内、A-KQJ-lowボードのフロップ戦略、ターン戦略をまとめました。
この記事の内容を実践すれば、90点くらいの均衡再現は可能かと思います。
ぜひフロップ250%ベットをマスターしてくださいね!

あとがき

好評であれば、後編を執筆しようと思っています。
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