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ハルのリングゲーム生配信 ハンドレビュー 第一編

今回は、生配信で実際にプレーしたハンドの均衡戦略のレビュー及び、プレー中の思考、プレー中に取ったエクスプロイト戦略について解説したいと思います。
題材としている配信のリンクはこちらです。是非見てみてください。

初めての試みでどのような内容になるかわかりませんが、温かい目で見守ってくださると幸いです。
あまりにも内容が多くなったため、何編かに分けて投稿しようと思います。


筆者 : neru_poker
(https://x.com/nerupoker43787?s=21&t=DydYzF28fw_7Fu6Pr_Tc1w)
校正:りおん
https://twitter.com/rion_poker_sss


各プレーヤーの印象

てっぺーさん:Wizard の 翻訳記事を多数発信されている。均衡理解が深い。エクスプロイトに関しては不明。

haruto君:すこやかポーカー会の座学仲間。ベットに対するペア+ブロッカーでのレイズがブラフ過多。過激な搾取解は構築しづらい。

hayahayaさん:GG 50 R&C をプレーしているという情報のみ。どちらかというとオーバーアグレ系のレグを想定。

kokoさん:アンノウン。序盤から中盤にかけてミスが観測されなかったため、特にこちらから動いていない。

つんくさん:3bb open や 2.5bb open に対する cold call、均衡より広い BB defense レンジを観測。このメンバーの中では少し劣ると思っていた。


Hand 1(配信 9:18~)

◎Preflop
HJ (haruto) raise 2bb
BTN (hero J♥J♣) call
BB (つんく) call

◎Flop 4♥4♣9♦ (6.5bb)
BB x / call
HJ x / fold
BTN bet 1.6bb

◎Turn A♦ (9.7bb)
BB x
BTN x

◎River 8♠ (9.7bb)
BB x / fold
BTN bet 6.5bb

プリフロップ

◎Preflop
HJ (haruto) raise 2bb
BTN (hero J♥J♣) call
BB (つんく) call

まずJJはHJの2x openに対して、call or raiseの indifferentのハンドなので、call と raise のどちらの世界がより利益的かを考えた。

考える要素としては、SB、BB、HJ のプレーヤーの傾向とレベルである。

HJ の haruto 君に関しては、3bet pot になった世界でも大きなミスは少なく、リークから得られる利益は少ないと見積もった。

SB の hayahaya さんに対して、Squeeze がルースすぎるリークを抱える可能性が高いと想定していた。(GG 50 R&C を打っているという情報から)

BBのつんくさんに関して、3bb open 等を見ていたので、BB defense 周りでもミスが発生する可能性が高いと想定していた。

以上すべての内容から、JJは

① コールして hayahaya さんの Squeeze に対して直 shove することがより利益的だと考えたこと
② BB のつんくさんを巻き込むほうが利益的だと考えたこと

の2点からコールを選択した。

フロップ

フロップで 4 のペアボードが落ちた。
3人のレンジの概観としては、

BB:レンジ内の 4x が最も多い。脆弱な EQ を持つハンドが多数。
HJ:オーバーペアがここにだけ存在する。オフスートのハイカード群が多くを占める。
BTN:ポケットペアの比重が高い。4x はあまりない。

このような感じで想定していた。

チェックより安いベットを選択した理由としては、
①BB の つんくさん のブラフレイズが過少になると想定したこと
②BB、HJ の双方のレンジの多くのトラッシュハンドの EQ を否定できて嬉しいこと
③BBの 4x がコールレンジに残らないと考えたこと

の3つである。

マルチウェイなので解析のしようがないのだが、ベットした世界のほうが戦いやすいと考えたので、ベットした。

ターン

つんくさんのフロップのコールレンジは

① 9x
② 全てのポケットペア
③ 4x
④ Aハイでのフロート

主にこの4つだと考えていた。
マルチウェイへのベットであったので、ダブルバックドアのハイカードがdefense に残っていることは考えづらいが、強い A high に関しては一部フロートしている可能性があると見積もっていた。
JJ は A9 と 4x 以外のすべてに対して勝っているハンドではあるが、ベットに対してポケットペアや 9x がコールする確証がなく、A hit に振り込むことになる。ベットした場合、JJ は EQ水没 する可能性が高いと考え、チェックを選択した。

リバー

リバーで 8♠ が落ち、つんくさんがチェックした。
Ax のハンドや、4x のハンドを 適切にスロープレーできていない(checkレンジに入っていない)と想定していた。
また、ベットに対するブラフレイズも過少になると想定していた。
そのため、相手のレンジは 9x と下のポケットペアの比重が高く、それらのハンドからバリューが取れると判断し、バリューベットを行った。

答え合わせ

配信を見返すとつんくさんはプリフロップで97oをコール。
9x をフロップでコールし、リバーチェック。
リバーベットに fold。

均衡戦略では、BB の Defense レンジに 97o はないので、プリフロップのつんくさんに対する想定は正しかった
また、フロップのコールレンジの想定、リバーのチェックレンジの想定も、想定通りのハンドが出てきている。

リバーの JJ のバリューベットに関しては、9x は call or fold になると想定していたので、評価のしようがない。
 
Ax のハンドや、4x のハンドを適切にスロープレーできていない点については、想定通りであった可能性が高い。


Hand 2(配信 41:40~)

◎Preflop
UTG raise 2.25bb
SB call

◎Flop 8♦8♠6♦(5.5bb)
SB x
UTG x

◎Turn Q♥(5.5bb)
SB x
UTG x

◎River 6♣(5.5bb)
SB bet 4.1bb
UTG call

プリフロップ

◎Preflop
UTG raise 2.25bb
SB call

今回のスポットは正直に言ってあまり深く考えていなかった。
TTは 2.25x のレイズに対して、call と raise の両方の選択肢を取りうるハンドであり、今回はコールした。

ここからは、プレー後の振り返りであるが、
コールのメリットはつんくさんが深く知らないであろう SB cc のスポットにつんくさんを誘導できること、レイズのメリットはつんくさんとの HU に持ち込める可能性が上がることであると思う。

どちらの選択の True EV(実践での真の期待値)がより高いかの判断は難しいと感じる。

フロップ

◎Flop 8♦8♠6♦(5.5bb)
SB x
UTG x

まず、均衡戦略について、886 の ペアボードは一定数 SB側がドンクベットを採用するボードだと思っていた。
チェックとベットの利点・欠点をそれぞれ挙げたうえで、最終的にチェックに至った過程を示す。

チェック

・利点

チェックをした世界において、IP のチェックレンジのバランスが大きく崩れることを想定していた。
オーバーペアがほとんど全くと言っていいほど残らないこと、A high が SDV(ショーダウンバリュー)があると判断してたくさん check レンジに残ること、を想定していた。
ターンでカードに依存して過激なノードに持ち込むことができると考えていた。

・欠点

チェックの欠点はすべてのハイカードの EQ を実現させてしまうことである。
UTG の多くのハンドがオフスートのハイカードで構成されてしまうので、ターンのフリーカードをタダで得られてしまうのは都合が悪い。

ベット

・利点

利点の一つ目はハイカード群に対してバリューが取れることである。
二つ目は、ハイカードの EQ を一部放棄させることができることである。
チェックの場合だと IP はチェックすることですべてのハイカードの EQ を実現させることができるが、ベットの場合だと call と fold の選択を迫ることができる。

欠点

ベットの欠点は、強いて言うのであれば、チェックした世界で高確率で発生する、アンバランスなチェックレンジを咎める世界に到達できないことである。

最終的な意思決定としては、IP のチェックレンジのバランスが大きく崩れること、及びそれによって得られる追加の利益が大きいと判断してチェックを選択した。

ターン

◎Turn Q♥(5.5bb)
SB x
UTG x

フロップでチェックレンジのバランスが取れていないことを仮定して動いていたが、残念ながら Q というターンカードによって、相手のレンジに多様性が生まれてしまった
そのため、過激な戦略は取れないと判断した。

このスポットの考えうるアクションは

① check
② small bet

の2択である。

チェックを選択した理由は、フロップと同様に、IP のチェックレンジのバランスが大きく崩れることである。
チェックバックされた世界のリバーで搾取解(エクスプロイト戦略)を構築することを見越していた。

リバー

◎River 6♣(5.5bb)
SB bet 4.1bb
UTG call

リバーで 6 がペアになった。
6x のハンドはお互いのレンジに多くないため、ターンで見据えていたエクスプロイトを実行することが可能だと考え、実行した。

TT は本来的にブロックベットをできる程度の EQ しか持たないが、A high ヘビーなアンバランスなレンジに対しては十分ラージベットを打てるだけの EQ があると判断した。

これに加えて、相手目線での僕側のバリューハンドについてもプレー中に考えていた。
ラージベットを使用した場合、相手目線で僕側のバリューハンドは Qx に見えると考えていた。
SB のコールドコールレンジに Qx がそこまで多くないことを加味して、相手目線でラージサイズのベットがオーバーブラフに見えると考えていた。
その結果、オーバーコールになると考えていた。

答え合わせ

つんくさんは A♥K♥ をスナップコールした。
想定するハンド群が出てきたため、フロップ及び、ターンの想定は概ね合っていると思う。

この搾取解がどれほど正しいのかは不明だが、個人的には良いプレーラインだったと思う。

このスポットを振り返って

フロップの check に関しては、正直判断がかなりクロースな部分だと感じる。
プレー中にはあまり考慮に入れていなかったが、ドンクベットの追加のメリットとして、ハイカードでのブラフレイズレンジの構築が難しいことがあげられる。

また、オーバーペアはほとんどレイズに回ってしまう想定も可能である。
オーバーペアがすべてレイズに回って、ハイカードがレイズ過少になる想定で動いた世界のほうが、より利益的かもしれない。

まとめ

エクスプロイトのポイント

・アクションの利益の源泉を理解する
・利点と欠点を挙げて各選択肢の比較をする
・期待値の高そうなアクションを純粋戦略で取る

Hand 1

  • プリフロップにおいて、混合戦略のハンドは周りの状況を加味して、より期待値の高そうな選択を取ること

  • 脆弱なチェックレンジへのエクスプロイト

Hand 2

  • アンバランスなチェックレンジを咎める

  • バリューベットはバリューハンドが少なく見えるサイズで

終わりに

実践のハンドレビューの内容、いかがだったでしょうか?
僕がプレー中にどれだけ多くのことを検討しているのかについてよくお分かりいただけたと思います。

この内容は全て、相手の戦略の想定とそれに対する搾取解であるので、どこまで正確な推定が行えているかは不明ですが、実践的な思考として参考になる部分も多いのではないかと思います。


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