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朔夜 すべては私の掌に 第二部 雲野
第二部 雲野(くもの) 一~十五
一、
七色に煌めく雲海の果てから、一条の強い光が放たれ私を射た。
「朔夜さま、発つ時がきました」
「降ろせ」
「………御御足(おみあし)は、癒えたでしょうか」と、私を背負う彦火。癒えていないのは彼も。しかし、あえて私を背負い、それを鍛錬とする。愛おしい。
わずかな沈黙後、つま先が地に着く。予想した痛みは消えていた。 視線が下がり景色が変わる。一瞬ずれ
朔夜 すべては私の掌に 第一部 常立
第一部 常立(とこたち)三十八~五十八
三十八
極端なシフトダウンで、高く叫ぶ複数のエンジン音が森に響き渡る。小さな野鳥たちが驚いて飛び立つ。音だけで無く、襲い来る殺気からも逃れるように。
第五ヘアピンで待ち伏せが無かったから一気に来ると予想した。先頭のバイクを平八がクロスボウで倒せば、後続を事故に巻き込むだろう。その混乱に乗じて敵の中に飛び込み切りまくる。しかし………。
予
朔夜 すべては私の掌に 第一部 常立
第一部 常立(とこたち)二十二~三十七
二十二
朔夜様が駆るZX14Rが、ゆっくりと抜き去っていく。スモークシールドで表情は見えない。けれど、微笑まれていた。その小さな背も、楽しまれている。ポルシェのスピードメータは二百キロ。やれやれ。
母が全てをお伝えして他界した翌日、
「五瀬、そなたの術を教えよ」と言われた。
防人を見つけ側に置くまで、朔夜様をお守りするのは侍従の役目。
朔夜 すべては私の掌に 第一部 常立
あらすじ
二千年ほど前に産み落とした子は、神がお創りになった地の上で、短い命をけなげに紡いで生き、栄えた。千年前に、子たちの営みの行く末を案じ、次のものを生む決意をした。けれど、子の所業に不満を募らせていた神は憂い、私に刺客を放った。子たちが私を護り勇敢に戦ったけれど、討ち果たされ、私の試みは絶たれた。今、再び新たなものを生む決意をした。千年の間に、先の子たちは地を造り変え、幾たびか殺し合う。その