劇場版「Fate HF」 最終章の謎だったもの 間桐桜の聖杯戦争 その5

劇場版の完全なネタバレを含みますので、ご注意ください。
劇場版を見ないで読むのは、本当に勿体無いのでやめましょう。

タイトルを変えました。このNoteはその5です。

このNoteの内容は私の主観(妄想や憶測)に関するものなので、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。

前回Noteです。特殊な見方でHFを振り返っています。


今回だけ読んでも話は通じないと思いますので、必ず前回のNoteをご確認ください。

初めに


HF最終章の謎、これは私が原作プレイ時に、よくわからなかった点です。

  1. 最終決戦前、桜がセイバーオルタへ、遠坂だけ自分の元へ通すよう指示した理由。

  2. 姉妹対決で、桜が遠坂を刺せた理由。それから正気に戻った理由。

この2つについて、考察を書いていきます。

法則について


今回のNoteはシリーズのその5です。その1〜その4までは、以下の法則で物語が成り立ってるとして振り返ってきました。場面に3名が揃った時、この法則に則って3人は行動しています。

ヒーロー:遠坂凛
ヒロイン:衛宮士郎
悪役  :間桐桜

法則1:ヒーロー(遠坂凛)とヒロイン(士郎)は互いに惹きつけ合います
法則2:ヒーロー(遠坂凛)とヒロイン(士郎)は、ピンチで助け合います。
法則3:悪役(間桐桜)はヒーロー(遠坂凛)、ヒロイン(士郎)を攻撃します。
法則4:ヒーロー(遠坂凛)は悪役(間桐桜)を攻撃します。

この法則が何なのか、という説明をします。
これは、実は役柄そのままです。

士郎と遠坂の関係は、物語の設計上のヒーローとヒロインです。普通にしていれば、聖杯戦争を通して両思いになります。お互いに運命の人。といっても間違いありません。
(ここに自然体で割って入ることが出来るのは、セイバーぐらいです)

聖杯戦争を通して、二人の中は進展し続けています。
UBWのようなキッカケさえあれば、すぐに関係が発展するような、そんな間柄です。

物語を通して、士郎は遠坂のピンチを4回助けます。士郎が気がついても無理なケースは、英霊エミヤが遠坂のピンチを(2回)助けています。遠坂は士郎のピンチを3回助けています。

士郎にとってセイバーが運命のサーヴァントなら、遠坂にとってアーチャー(士郎の未来の可能性)もまた、運命のサーヴァントです。

こんな背景で、二人が運命の人ではない。という方に無理があります。
(士郎が桜をピンチから救う描写は、場面に遠坂がいるとほぼありません)

桜が遠坂の行動にショックを感じているのは、片思いの士郎を振り向かせようとしているからです。逆に遠坂は、ただ自然にしているだけで、桜を攻撃している意図は全くありません。

3章の初めで、士郎が女の子として1番の好きなのは「遠坂凛」で、次点が「間桐桜」です。この理由は前回のNoteで触れています。理由はそちらをご覧ください。

では3章の初めから、桜を中心に振り返ってみます。

3章


衛宮邸、中庭


桜はゾウケンの指示で、イリヤを攫いにきました。
遠坂が応戦し、桜は遠坂を片手で捻ります。

[虚数の影と一体となり、桜は悪役から悪そのものになりました]

遠坂がヒーローなら、桜は悪のラスボスです。

衛宮邸、中庭(法則発動)


ライダーに担がれて士郎が戻ってきます。3人になりましたので法則発動です。

ヒーロー:遠坂凛
ヒロイン:衛宮士郎
悪役  :間桐桜

士郎は、倒れている遠坂の元へ駆け寄り、抱きかかえます。

法則2:ヒーロー(遠坂凛)とヒロイン(士郎)は、ピンチで助け合います。
士郎が桜の前で遠坂を助けた回数:3回目

桜は、士郎に対して言葉を投げかけた後、士郎を攻撃します。

法則3:悪役(間桐桜)はヒーロー(遠坂凛)、ヒロイン(士郎)を攻撃します。

士郎は、桜の攻撃に対して、遠坂が巻き込まれないように、遠坂を突き飛ばします。(映像をスローで見ると確認できます。士郎は遠坂を抱きかかえています)

法則2:ヒーロー(遠坂凛)とヒロイン(士郎)は、ピンチで助け合います。
士郎が桜の前で遠坂を助けた回数:4回目

ここは重要なので、細かく見ていきます。


士郎は、初めに桜へ声をかけようとします。
しかし、後から呻き声をあげた、遠坂の元へ駆け寄り、抱き抱えます。

つまり、士郎は桜よりも、遠坂を優先しています。

桜は、士郎とこういう会話(約束)をしていました。

<<<土蔵>>>
「もし私が悪い子になったら、先輩は叱ってくれますか?」
「ああ、桜が悪いことをしたら怒る。きっと他のやつの何倍も怒ると思う」

<<<雨の公園>>>
「私は、いつさっきみたいに取り乱すかわからなくて、きっと取り返しのつかない事をします」
「俺が守る。どんな事になっても、桜自身が桜を殺そうとしても、俺が桜を守るよ。俺は桜だけの正義の味方になる」

<<<士郎の寝室>>>
「私ダメなんです、さっき姉さんが先輩を連れて行ってしまっただけで、凄く怖くなって」
「気づいてやれなくて、ゴメン」

どれも桜にとって、とても大切な会話(約束)です。
ここでの士郎は、今までの桜との会話(約束)を全て反故にしました。

もし、士郎の立場に立って弁明するなら、
「遠坂が倒れているから駆け寄った(優先した)」あたりでしょうか。

だとすると、桜からすれば、士郎との会話(約束)はこうなってしまいます。

<<<土蔵>>>
「もし私が悪い子になったら、先輩は叱ってくれますか?」
「ああ、桜が悪いことをしたら怒る。きっと他のやつの何倍も怒ると思う。遠坂が倒れていなければ

<<<雨の公園>>>
「私は、いつさっきみたいに取り乱すかわからなくて、きっと取り返しのつかない事をします」
「俺が守る。どんな事になっても、桜自身が桜を殺そうとしても、俺が桜を守るよ。俺は桜だけの正義の味方になる。遠坂が倒れていなければ

<<<士郎の寝室>>>
「私ダメなんです、さっき姉さんが先輩を連れて行ってしまっただけで、凄く怖くなって」
「気づいてやれなくて、ゴメン。遠坂が倒れていなければ気をつける

本当に酷い解釈ですよね。
ですが。これが士郎のとった行動です。
桜をスルーして、遠坂の元に駆け寄るとは、こういうことです。

「何で姉さんを庇うんですか」
「何で何も言わないんですか」
「何で叱らないんですか。兄さんがどうなったのか見てきたのに」

これは、すぐ後の桜の台詞です。

桜の台詞は、士郎との約束のことを言っています。
慎二を殺して悪い子になったのに、怒りも叱りもせず、味方になるでもなく、私(桜)をスルーし、よりによって遠坂へ駆け寄った事に苛立っています。

その後のすれ違いは、もはや喜劇のレベルです。

士郎「違う。それはゾウケンが仕組ーーー」
桜「違いません」

桜は士郎との約束のことを訪ねているのに、士郎はゾウケンが仕組んだと言ってしまいます。全くの見当はずれです。RAINの士郎はどこへ行ってしまったのでしょうか。これを言うなら、遠坂に駆け寄る前にするべきでした。

この辺りのやり取りは、別のNoteになっています。


このシーンで桜の為に行動したのは、ライダーだけです。
士郎の命を救い、「そちらへ行ってはいけない。そこには何もない」と桜の説得を試みました。

本当に余談です。

どうして、こんな酷い解釈をしたのか。それは私が女性からこういう詰められ方をされた事があるからです。感想その2もそうです。悲しい顔の解釈は、実体験から来ています。

桜はどう思ったか


重要なので区切りました。

士郎の行動を見て、桜が思ったのは、恐らく次のどちらかです。
「姉さんに先輩を取られた」もしくは「先輩は私よりも姉さんを選んだ」
結局、どちらも同じ意味です。恐らく前者の方ですが。

間桐桜の聖杯戦争は、士郎(聖杯)の奪い合いです。
つまり、こうなります。

[桜は、士郎(聖杯)を姉さんに奪われた。と自覚します]

間桐桜の聖杯戦争は再開しました。

衛宮邸、遠坂の寝室


桜は自身の影を飛ばして、遠坂に支離滅裂な話をします。
遠坂は真意を看破し、「すぐ会いに行って殺してあげる」と宣言します。
桜は「ええ、お待ちしています」と返しました。

[桜は、遠坂が来るのを待ちきれずに、早く来いと挑発しました]

士郎の元には影を送っていない。というのがポイントです。
つまり、桜が殺したいのは、士郎を奪った恋敵の遠坂凛です。

衛宮邸、玄関


士郎は最終決戦前、家からいなくなった桜を思い出し、桜が大切な人であると再確認します。士郎が桜を一番好きな、大切な女性と認識したのは、この場面です。

柳洞寺、洞窟


桜は自身の体からゾウケンを抉り出し、握り潰します。
これで、桜を操る人間(虫)はいなくなりました。

[ここから先、桜の行動は、桜の意思によるものです]

桜は現れたセイバーオルタへ遠坂「だけ」自分の元へ通すように、指示します。これは、私がゲームプレイ時、理由がわからなかった点の一つです。

それぞれの行動原理を整理します。
それは、以下のようになっています。

衛宮士郎:桜を助ける
遠坂凛 :魔術師として、外道に堕ちた桜を殺す
間桐桜 :士郎を奪った遠坂を殺す
言峰綺礼:アンリマユを誕生させる
ライダー :桜を助ける

これであっているはずです。
桜の士郎に対するの感情は、複雑です。
遠坂さえ排除できれば、士郎はフリーになります。

桜は遠坂を殺し、士郎を奪い返すため、遠坂だけを通すように指示しました。

vs.セイバーオルタ


士郎はライダーと協力し、セイバーオルタを倒しました。

ゲームでは、ここでセイバーオルタにトドメを刺す選択肢を強いられます。トドメをささない場合、ホラー映画のようなバッドエンドです。
桜は完全に狂ってしまいます。

桜からしてみたら、ここに来てセイバーへの移気は許せないでしょうね。

姉妹対決


問答の後、遠坂は桜を刺すことができず、逆に桜は遠坂を刺しました。
桜は遠坂を「殺した」と認識します
遠坂の本当の気持ちを知り、桜は正気を取り戻しました。

ここも詳しく行きます。それぞれの行動原理は以下の通りです

遠坂凛 :魔術師として、外道に堕ちた桜を殺す
間桐桜 :士郎を奪った遠坂を殺す

遠坂は魔術師として未熟(人間性が残っている)の為、大切に思ってきた桜を刺せませんでした。同様に桜も、凛の事を大事な人と思っていました。それは髪につけているリボンが証明しています。

それでも、桜は凛の事を刺すことができました

桜は遠坂に比べて薄情なんだ。とゲームプレイ時は考えていたのですが、考えが変わりました。黒桜化ではなく、敢えて別の理由を挙げてみます。

それは、桜の士郎に対する思いが、半端(未熟)ではなかったからです
桜は相手が士郎であれば、殺されても構わないと本気で思っている人間です。文字通り、桜の思いは半端ではありません。

対比として、教会で遠坂に殺されそうになった際、桜は逃げ出しました。
包丁を持って部屋に入ってきた士郎からは、逃げずに目を瞑っています。
二人とも桜にとって大切な人ですが、桜の中で優劣はついています。

また、桜から見れば、遠坂凛は絶対に敵わない相手です。

一線を超えた士郎でさえ、遠坂凛の前では、自身との約束を守ってくれません。士郎を取り戻すには、遠坂に消えてもらうしかない。身も蓋も色気もないですが、これが黒桜の行動原理です。これは虚数の影の時から、一貫しています

遠坂凛を殺した(と思い込んだ)ことで、士郎を争う人間がいなくなり、桜は正気を取り戻します。

小ネタ1
桜は、間桐家で酷い仕打ちを受けていたと遠坂に訴えます。遠坂は退屈そうに聞いていましたが、「食事に毒を盛られ」の辺りで眉間が引き攣っています。桜の訴えが、遠坂の心を揺さぶっていたのは間違いないです。

小ネタ2
桜の「私も持ってたのに」というのは、リボンの事だと解釈しています。

場面の感想
凛の宝石剣は、所謂RPGで勇者が持つ、魔王を倒すための最強の剣です。
映画を桜よりで見ていると、凛が宝石剣を振りかぶりながら流れるBGMが、上滑りしているように聞こえます。格好良すぎて、逆に薄っぺらく聞こえました。

士郎到着


士郎は桜との約束を果たし、桜を救い出しました。

3人揃ったので法則発動、、、なのですが、遠坂は血を流して倒れている為動けません。士郎は、血を流している倒れている遠坂と、助けが必要な桜の間に立って、桜を助けることを選びます。

最終局面で、桜は遠坂の前でヒロインの扱いを受ける事になりました。

士郎が遠坂から桜へ気持ちを移したのは、出発前の衛宮邸の玄関でしょう。
桜がヒロイン(士郎の思い人)になった為、法則は発動しません。

ヒーロー:衛宮士郎
ヒロイン:間桐桜
悪役  :アンリマユ

[桜は士郎(聖杯)を再度、手に入れました]

終わりに


最終局面の解釈は色々あると思います。

例えば、士郎が否定したにもかかわらず、桜は「姉さんも(殺した)」と言います。これを持って「桜は遠坂は死んでいると思っているから法則は発動しない」とも考えたのですが、無理筋なので没にしました。

士郎をわざわざ遠坂と桜の間に立たせたのは、何らかの暗喩があるはずです。製作者の意図が汲めているかどうかは分かりませんが、色々と考える余地があるのは素晴らしい点だと思います。

遠坂をヒーローとすると、桜は悪役になり、士郎がヒロインという解釈は、ほぼどの場面でも当てはまっています。なので物語を作る上での骨子になってるんじゃないかなぁとも思います。

遠坂凛を殺した(と思い込んだ)ことで、士郎を争う人間がいなくなり、桜は正気を取り戻します。

この解釈は少し、やり過ぎかなぁというのがあります。桜が黒くなりすぎてしまいますしね。。。あくまでも私の解釈であって、こういう見方も出来る。ぐらいに考えてください。




















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