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初恋は百兆の彼女 3話 








悲  :  はぁはぁはぁ...






気がついた時には俺の脚は走り出していた






ガチャ




悲  :  はぁはぁはぁ...


美  :  諸星さん!


悲  :  お前ら...なにもんや


男  :  諸星悲さん。ですね?


悲  :  お前らは誰なんか訊いとるねん


男  :  そんなの言うわけないじゃないですか


悲  :  ちっ


男  :  とりあえずあなたを先にやるとしますか


悲  :  何人でもかかってこいやぁ!










男  :  ぐはっバタン


悲  :  おい




倒れた相手に跨るように座る諸星




悲  :  お前ら紺永会か


男  :  ...言うとでも思ってるのか


悲  :  ふん!


男  :  ぐはっ


悲  :  五人がかりでもやれんかったんや。諦めて吐けや


悲  :  お前たちは誰なんや


男  :  ...紺永会だ


悲  :  誰に言われたんや


男  :  ...あの方からの指示だ


悲  :  ...なぜ名前を言わない


男  :  ...それが"あの人"の教えだからだ


悲  :  ...まさかあいつか


男  :  あぁそうだよ!




男は諸星を振り解き自分のポケットからナイフを取り出し自決した




悲  :  ...あいつが


美  :  諸星さん!








悲  :  ...すまん。怖い思いさせた


美  :    グスッグスッ。大丈夫...です泣


悲  :  とりあえずここは危険や。逃げるぞ











美  :  ...どこに行くんですか


悲  :  黙ってついてこい




帽子にサングラスにマスクに重装備な美空




悲  :  ...あいつん所しかないか




諸星はポケベルを打っていた













ガチャ




笹  :  なんだ急に連絡しやがって


悲  :  おい入れ


美  :  ...


笹  :  おい説明もなしか?


悲  :  そんなん後や。とりあえず入れてくれや










笹  :  とりあえず椅子でも座って


美  :  ありがとうございます...


笹  :  諸星。その女性は?


悲  :  ...こいつは一ノ瀬美空や


笹  :  一ノ瀬だと?!


美  :  びくっ!


悲  :  おい声でかいねん。びびらすなや


笹  :  あぁ悪い。ごめんなさい


美  :  いえ...大丈夫です...


?  :  あれ?お客さんが来てるの?


笹  :  あぁ祐希。諸星が来てる


祐  :  諸星くん。久しぶりだね


悲  :  すまんな度々


祐  :  あれそちらの方は?









祐  :  あなたが...


美  :  はい...


笹  :  でもなんでお前が


悲  :  ...道で出くわしたんや


笹  :  でもなんで来たんだ


悲  :  うちに紺永会が来たんや


笹  :  もうそこまで来てるのか...


悲  :  こいつに至ってはナイフ突きつけられとる


祐  :  嘘?!かわいそうに...


美  :  ...


悲  :  二人にお願いがあるんや


悲  :  せめてこいつだけでも匿ってくれへんか


美  :  諸星さん...


笹  :  ...どうする祐希


祐  :  ...いいよ


悲  :  ほんまか


祐  :  ただし一つ条件があります


悲  :  なんや


祐  :  あなたも一緒に匿います


悲  :  いや別におれは...


祐  :  それに今まで守ってきたのにはその人がいなくなったら美空ちゃんだって不安になっちゃうよ


笹  :  それはそうだな。今この子に寄り添ってあげられるのはお前だけだからな


悲  :  ...


笹  :  君もそう思うだろ?


美  :  ...はい。諸星さんは近くにいてほしいです...


祐  :  決まりだね。それに諸星くん


悲  :  なんや


祐  :  美空ちゃんを守る別の理由があるんじゃない?笑


悲  :  ...うっさいねん













笹  :  さっもう夜だ。飯食うか


祐  :  そうだね。すぐ準備するよ


笹  :  俺もやるぞ




美  :  ...


悲  :  お前にはこんなにも守ってくれるやつがおんねん。全員があぁじゃないんや


美  :  ...


悲  :  ここやったら好きなだけ甘えたれや


美  :  ...はい












与  :  さっ食べよ〜


笹  :  いただきます


悲  :  鍋か。ええな


祐  :  はい美空ちゃんどうぞ


美  :  ありがとうございます...




美  :  パクっ


祐  :  どう?


美  :  ...美味しい...です...泣


祐  :  よかった〜たくさん食べてね


美  :  はい...


笹  :  お前ちゃんと飯食べさせてたのかよ笑


悲  :  あほぬかせ。食べさせとったわ


祐  :  今日のお昼はなに食べたの?


悲  :  あそこにこいつの服買いに行ったからそこらの店で食おうたで


祐  :  あれ意外と食べさせてるじゃん


悲  :  だからそう言うたやろが


笹祐  :  ははははは笑






美  :  ...ふふ笑











夜遅く




祐希と笹崎は寝てしまっていた








一人ベランダに出て空を眺める諸星




ガララララ




美  :  諸星さん...


悲  :  なんやまだ起きてたんかい


美  :  なぜか寝れなくて...


悲  :  まぁいい










美  :  諸星さん...


悲  :  ...なんや


美  :  ...ありがとうございます...


悲  :  なんや急に改まって


美  :  こんな私にここまでしてくれる人...久しぶりだったので...


悲  :  悲しいこと言うなや


美  :  もう悲しくなんてないです...


悲  :  ...嘘つけや


美  :  え?


悲  :  ...じゃあなんで泣いてんねん


美  :  え...




気がつくと頬を濡らしていた美空




美  :  嘘...なんで...


悲  :  そんなん一つやろ...悲しいからやろ


美  :  ...そうかもしれないですね...


悲  :  さっき言ったやろ。好きなだけ甘えてええって


悲  :  その辛さを外に出さんと一生辛いままやぞ


美  :  グスッ...はい...泣


悲  :  ほれもう戻んぞ




ギュッ




戻ろうとする諸星を後ろから抱きしめる美空




悲  :  なんや


美  :  ...甘えていいんですよね...


悲  :  ...あぁ






美  :  ...返事待ってます...


悲  :  ...




体を美空の方に向け




美空の体を抱きしめる諸星




美  :  ...ふふ笑///


悲  :  ...やっと笑ったな


美  :  えっ


悲  :  お前は"悲しい"顔より"笑顔"の方が似合ってんで


美  :  ...ありがとうございます///


悲  :  無理にとはいわん。可能な限り笑顔でいる方がええんとちゃう


美  :  ...努力します


悲  :  なんやそれ


美  :  ふふ笑













悲  :  さっもう戻んぞ。はよ寝や


美  :  はい




お互いの暖かさを直接感じた瞬間でした















続く

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