初恋は百兆の彼女 1話
叶 : 今までありがとう...美空...泣
美 : 愛してるよ..."叶"...泣
叶 : 俺も...愛してる...泣
豪 : お前もここまでだな
叶 : ...
叶 : うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
"俺は好きで大切な人を殺した"
千九八三年
福岡県
日本全国がバブルで賑わっている時代
路地裏
男 : ぐはっ!バタン
悲 : おら!おら!おら!おら!
男 : ぐは!ぐは!うっ!ぐは!も...もうやめてくれ...
悲 : あんまり調子にのるなやボケが
カチッ
悲 : スゥー、ハァー
次のニュースです。世界でたった一人しかいな...
ピッ
悲 : ...
ジリリリリリ
ガチャ
悲T : 誰や
笹T : 俺だ諸星
悲T : お前か、なんだ
笹T : 今お前ん家の近くにいるんだ。久しぶりに呑もうぜ
悲T : ふぅー、あぁすぐいく
街中の屋台のおでん屋
笹 : おう来たか
悲 : なんや急に呼び出して
笹 : いや、特にはないんだかな
笹 : そういえばお前このニュース知ってるか?
悲 : あぁん?
家のテレビで流れたニュース
悲 : 知らんな
笹 : お前もニュースとか見といた方がいいぞ?
悲 : だからなんやっちゅうねん
笹 : この女、目に色が入っててしかも左右の色が違うらしいぞ
悲 : で?
笹 : この女、今ここにいるらしいぞ
悲 : そんなやっちゃが?
笹 : あぁ、今紺永会が追っているらしい
紺永会とは西日本のヤクザ率いる軍団
東日本の軍団とは互角に対立してる
悲 : なんで紺永会が追ってるんや
笹 : 東に勝つためだろうな。勢力は五分五分だし
悲 : なんでそれを俺に言うんや
笹 : お前は"元紺永会"の組員だろ?お前には伝えてやろうと思ってな
悲 : 余計なお世話っちゅうねん
笹 : まぁそう言うな一応な。ごちそうさん大将
悲 : ...
トコトコトコ
悲 : うちからめっちゃ遠いっちゅうねん。近く来てないやないか
? : きゃー!
悲 : あぁ?
男1 : ねーちゃん可愛いじゃん。俺たちと遊ぼうよ
? : やめて!離して!
男2 : なんもしねーって?ただ楽しいことするだけだからさ
男3 : 痛いおもいしたくなかったら俺らのいうこと訊いたほうがいいぜ?
? : やめて!離して!
悲 : おい
男2 : なんだおっさん。邪魔すんなよ
悲 : やめたれや。女が可哀想やろ
男3 : あ?誰に口訊いてんだおっさん?
男1 : とりあえずこいつやっちまうぞ
悲 : はぁ
悲 : ふん!ふん!おら!おら!
男3 : ぐはっ!
男2 : な、なんやこのおっさん...
男1 : お、おいずらかるぞ
悲 : ったくあんな連中に絡まれるなや
? : あっすみません...
悲 : そらさっさといけ。俺は帰るからな
? : まって!
悲 : あぁん?
? : あの...泊めてください
悲 : なんで俺やねん。周りのやつに頼みゃいいやろ
? : 泊めてください!
悲 : ...
悲 : ほら
? : お邪魔します...
悲 : なんで女泊めなあかんねん
? : あっすみません...
カチッ
悲 : スゥー、フゥー
? : 煙草...吸われるんですね...
悲 : あぁ?なんや
? : あぁいえ。なんでもないです...
悲 : 別にええやろ
悲 : で?お前なにもんや
? : あっ私...一ノ瀬美空って言います
悲 : で?とないしたゆうねん
美 : ...私のこと...知らないんですか?
悲 : あぁ?おん知らんな
美 : 私...最近ニュースになってる..."百兆の女"です
悲 : 百兆?なにいっとるんや
美 : ほんとになにも知らないんですね...
悲 : 知らんくて悪かったな
美 : じゃあこれなら知ってるんじゃないですか?
つけていた帽子とサングラスを外す
悲 : お前...その目...
美 : こっちは知ってるんですね。世界でたった一人しかいない"スカイアイ"です
悲 : そういえばさっき...
笹崎にみしてもらった新聞の記事のやつだった
美 : ん?
悲 : いやなんでもない。でどうしてここに来たんや
美 : 今怖い人たちから逃げてて、大阪から福岡まで来ました
悲 : 大阪から来たんか...
美 : あなたのお名前は?
悲 : ...諸星悲
美 : もろぼしさん。お願いがあります
美 : 私をここに匿ってくれませんか
悲 : はぁ?なんでやねんそんなめんどくさい
美 : お願いします!もうあなたしかいないんです
悲 : っ!...しゃあないのう
美 : あっありがとうございます泣
悲 : ...泣くなや
美 : やっと...出会えたんですよ...泣
悲 : で?なんでここなんや
美 : 諸星さんに助けてもらって...なんか安心できたんです
悲 : よーわからんな
悲 : そこらは大体わかった。その目のこと教えてくれんと
美 : ...私は生まれた時からこうだったんです
美 : 子供の頃はこれでいじめられてました...
美 : 時が経つにつれこの目が世界で一人という研究が出たんです
美 : そしたら珍しすぎて私の目に百兆の価値がつきました...
悲 : ほぉ〜ん
美 : 大阪に住んでたんですが...あの紺永会に狙われ始めて...
美 : 頑張って逃げてここまできました...
悲 : お前ここまでってどないな距離してんねんぞ
美 : ...お金は持っていたので電車とかできましたが...今はもう...
悲 : ...
悲 : とりあえずここにいーや
美 : ありがとうございます...
悲 : んでお前今なんももってないんか
美 : 荷物は...もうなにも
悲 : その服と飾りしかないっちゅーわけか
美 : はい...
悲 : ...
美 : あの...ここに匿ってくれればそれだけでいいので...
悲 : アホ抜かせ。お前ここで死のうおもてるやろ
美 : ...はい
悲 : まだお前は若いんや。希望を捨てるな
美 : ...諸星さんは...いくつなんですか
悲 : ...32や
美 : じゃあ一回りも違うんですね
悲 : なんや急に元気取り戻しよって
美 : 諸星さんって見た目の割には優しいんだなって
悲 : うっさいわあほ。お前のこと殺してまうぞ
美 : ...死ねるなら死にたいですよ...
悲 : ...まぁいい。とりあえずここにいーや
美 : どっかいくんですか...?
悲 : あぁ。飯こうてくる。腹減ってんねやろ
美 : ありがとうございます...
悲 : しばし待っとけや
美 : はい...
悲 : ったくめんどくさいの〜
街中の大きなモニターのニュース
ア : 未だ百兆の名を持つ女性はみつかっていないようですその女性は目の色が左右違っており...
悲 : ...
これから始める"一ノ瀬美空"との生活
続く
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