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人は夢を二度見る #2











いつからだろう

その夢を追い続けたのは











いつからだろう

その夢を諦めたのは











俺の夢は
















"パティシエ"になることだった
















中学生の時




まだ本格的ではないとはいえ

これからのことを考え始める時期






中学三年のとある日

俺は家族で出掛けていた




出掛けた帰りに

ケーキを買って帰ろうとなり

とあるケーキ屋に寄った






甘いものがあまり好きではなかった

正直ケーキもあんまりって感じだった






でもその時だけ違かった






ケーキを買って帰り家で食べた


その時


俺の中でなにかが変わった気がした




他の店とは比にならないぐらい

そこのケーキは美味しかった






普段から料理とかしない俺は

他の店となにが違うのかはわからなかった




でも心の底から暖かくなるような

グッと心を取られるような




そんな表現が正しい気がする






まだその時は明確になろうとは思わなかった


でもあのケーキは忘れられなかった








いつからか


"パティシエになりたい"


そう思えるようになっていた











〇  :  ...なんでいるんだよ




また次の日


〇〇も懲りずに屋上に訪れていた




賀  :  なんでって、この場所が好きだから




〇〇が来たことに気づき

イヤホンを外しながら話す遥香




そしてまた隣に腰掛ける〇〇




賀  :  ...なんでまた隣に座るのよ

〇  :  俺だってこの場所が好きだから




そして〇〇も遥香同様にイヤホンで音楽を聴き始めた




〇  :  ...

賀  :  なに聴いてんの?




音楽を止めてスマホを覗き込むように体を寄せる




〇  :  ...ん

賀  :  えっ、珍しく素直じゃん




遥香にイヤホンの繋がった携帯を渡す




賀  :  へー"意外"にアイドルとか聴くんだね

〇  :  ...まぁ




俺は「意外」という言葉が嫌い


相手に対する印象が覆された時によく使われる言葉だと思っている






〇  :  ...

賀  :  ...〇〇?



名前を呼ばれて意識が戻ってきた




いつもこんな感じだ

ことあるたびに"あの事"を思い出してしまう




〇  :  ...ん...あぁ

賀  :  ...どうしたの?



〇  :  別になんでもねえよ

賀  :  ふぅん...



〇  :  ...てかなに名前で呼んでんだよ

賀  :  いいじゃんっ別に




...なんでお前が拗ねてほっぺ膨らませるんだよ




賀  :  てか私にも聴かせてよっ♪

〇  :  あ、おい!




俺の右耳のイヤホンを左手で取って

自分の左耳につけた




賀  :  ほら早くかけて?

〇  :  ...ちっ




そいつに言われて嫌々音楽を再開させる


側から見たらカップルのように見えてしまうだろう




賀  :  ...へぇー結構良い曲だね

〇  :  ...


賀  :  あっこの人見たことある!




そういって画面に映る人を指刺した




〇  :  ...姉ちゃん...ボソッ




こいつが指刺したのは久保史緒里






俺の"姉"であり








夢を叶えた"勝ち組"である











続く

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