初恋は百兆の彼女 2話
大通りの細い路地
綺麗とは言えない少しぼろいお家
夜の冷える静寂
美 : 寒い...
ガチャ
悲 : 買ってきたぞ
美 : ありがとうございます...
悲 : あったかいうちに食べーや
美 : はい...
美 : いただきます...
パクっ
美 : ...あったかい...
悲 : どやうまいか
美 : はい...美味しい...です...
悲 : ...なんでお前
泣いとるん
美 : え?
気づいた時には涙が頬を濡らしていた
悲 : なんで泣いちょるん
美 : ...あったかいんです...泣
悲 : ...
諸星さんは席を立ち私の隣に座る
悲 : ほれ寒いんやろ
美 : ...そっちじゃないのに...笑
悲 : ようそんな薄着でいるな
美 : ...すみません...
悲 : ...
悲 : 別に謝らせるつもりじゃないねんけどな
美 : え?
悲 : あぁなんでもない
美 : ごちそうさまでした...
悲 : とりあえず寝ときや
美 : はい...
座るソファに横になる
美 : ...
仰向けの形を諸星さんに背中を向けて寝る形にする
美 : ...
美 : zzz
悲 : 寝たか
ガチャ
カチッ
悲 : ...すぅー...はぁー
悲 : ...
悲 : "なんか美味くないのう"
悲 : ...百兆...か
美 : ...んっ
陽が昇り朝外の階段に目をやると諸星さんの姿が
ガチャ
美 : 諸星さん...
悲 : なんやもう起きたんか。もうちょい寝とけや
美 : ...ずっと起きてたんですか?
悲 : あぁ?んなどうでもええやろ
美 : ...見ててくれたんですか?
悲 : ...あぁ。あいつらが追ってるらしいからな
美 : ...ありがとうございます...
悲 : お前のためちゃうわ
美 : ...ふふ
悲 : なんやねん
美 : 可愛いところあるんですね笑
悲 : うっさいわあほ
昼時
悲 : おい行くぞ
美 : どこにいくんですか?
悲 : お前の服買うんや。そんな薄着でこれから生活できへんねんぞ
美 : ...はい
悲 : とりあえずこれ着てけ
全身を纏えるような大きめなコート
悲 : ほれ好きなの選ばんかい
美 : ...一緒に選んでくれないんですか
悲 : 俺女のことよーわからんし
美 : ...買ってくれるなら一緒に選んでくださいよ
悲 : はぁ〜本当にめんどくさいのぉ〜
美 : この服可愛い。どう思います?
悲 : 知らん。いいんちゃう
美 : ちゃんと選んでくださいよ
悲 : んなこといったってな
美 : あっこれ良い
悲 : まぁいいんちゃう
美 : じゃあこれにしよ
美 : うーん
悲 : どないしてん
美 : どっちにすればいいかなって
悲 : どっちも買えばええやないか
美 : でもそんなに買っちゃったら...
悲 : 好きにせえ。他も回るんやからはよせいや
美 : 試着してもいいですか?
悲 : あぁ
美 : ど、どうですか
悲 : ...
美 : だめ...ですか?
悲 : ...似合ってるんちゃう
美 : ...ありがとうございます///
美 : じゃん
悲 : お前今冬ってこと理解してんのか
美 : 上着着るからいいじゃないですか
美 : ちょっと厚くした
悲 : まぁいいんちゃう
美 : 真面目に選んでます?
悲 : やから女のことわからんっていうたのに
悲 : でなににするんや
美 : これにします
悲 : こうてこい
美 : わかりました
悲 : あいつ...紺永会のやつか
美 : 買ってきました。どうしましたか?
悲 : 紺永会らしいやつがいたんや
美 : えっ...
悲 : とりあえずすぐ帰るぞ
悲 : 外にもおるんか
美 : 諸星さん...
悲 : っ.......俺に任せえや
美 : ...はい
ガチャ
悲 : ほれはよ入れ
美 : ありがとうございます...
悲 : もうあいつら来とんのか
美 : ...諸星さんは...紺永会のこと...知ってるんですか
悲 : 俺は...元組員やからな
美 : っ
悲 : 安心せえや。"俺はお前のこと狙ってへんわ"
悲 : しっかりサングラスしとけや
美 : はい
悲 : とりあえず外見てくるわ
美 : 気をつけてくださいね...
悲 : あぁ。なんかあったらすぐ呼べよ
美 : はい
悲 : まだそんなおらんか
男 : なぁお前この女知らないか
悲 : ...誰なんやこの女
男 : 知らないのか?今世間で有名な女だぞ?目に色が入ってるんだ。しかも百兆の価値らしいぞ
悲 : ...ほぉん。残念だか知らないな
男 : そうかすまんな
悲 : お前紺永会なのか?
男 : あぁそうだが?なんかようか
悲 : いやなんでもないわ
男 : そうか
悲 : 世の中あいつばっかやな。俺やばいことしてるんちゃうん
ピコン
悲 : ポケベルか...まさかあいつ...
1193
続く
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?