初恋は百兆の彼女 5話
悲 : ...なぜ俺を狙うんや
叡 : まぁしいて言うなら昇進ですかね
笹 : ならこいつじゃなくて女の方がいいんじゃないのか
叡 : まぁ"兄弟"となる諸星さんの首を取っていった方が大きいのではと思いましてね
悲 : ...流石あいつの一番弟子やな
笹 : でもここに人を派遣しなかったのはなぜだ
叡 : そりゃそいつらに諸星さんを取られちゃ嫌なので
悲 : 舐められたもんやなぁ。お前一度も俺に勝ったことないのに
組に入り立ての頃、豪鬼と諸星は同期だったので兄弟とされていた
そして少し経った頃豪鬼に一人の後輩ができた
それが叡銘だった。三人は普段から仲良くしていてよく練習も兼ねて戦っていた
叡 : まぁ諸星さんも豪鬼さんには敵いませんでしたけどね
悲 : ...
叡 : 豪鬼さんに負け続けた貴方は組を抜けたんでしたよね
豪鬼は三人の中で一番強く出世頭だった
悲 : ...うっさいねん
叡 : ...お相手願います
笹 : なぁあいつらのこと心配じゃねぇか?
悲 : ...お前は先いけ
笹 : えっ、でも
悲 : こいつの相手は俺にしかできへんねん
笹 : ...わかった。あの二人のことは任せろ。お前も...頼むぞ
悲 : ...あぁ
叡 : おや相方さんは逃げてしまったようですね
悲 : お前なんて俺一人で十分思ただけや
叡 : ...舐められたものですね...
悲 : ...久しぶりにお前とやるんや。すぐへばるんもちゃうぞ
叡 : ...さぁやりましょう。"久しぶりの戦いを"
祐 : 福田組組長...豪鬼...
美 : ...
男2 : まぁそれを知ったところでどうにもならないがな
男3 : さぁとっとと捕まってもらおうか
祐 : ...黙れ!
男3 : ぐはっ!
祐 : 美空ちゃんこっち!
美 : は、はい!
祐希は男を殴りそのまま美空の手を引きながら走って逃げた
男3 : いって〜
男2 : おい大丈夫か
男3 : あぁ、それより早くあいつを
男1 : ...
美 : はぁはぁはぁ...
祐 : 美空ちゃんこっち!
お店が並ぶ道の間に小さな空間を見つけそこに隠れる
美 : 祐希さん...
祐 : しっ、静かにしてて
美 : ...はい
ドタドタドタ
男2 : くそっ、どこに行きやがった
男3 : まだ近くにはいるはずだ。すぐに捕まえるぞ
男1 : ...いやその必要はない
男2 : え?
男1は二人の隠れるところへゆっくりと近づく
祐 : くっ...
美 : 祐希さん...
男1 : ここにいるからな
男2 : こんなところにいたのか
男3 : てめぇ...よくも俺様を殴ってくれたな!
祐 : きゃっ!
笹 : おうおう、楽しそうなことやってんじゃ〜ん。俺も混ぜてよ
祐 : "魅刀!"
男3 : だ、誰だてめぇ!
祐希を殴ろうとしていた腕を抑えた笹崎の姿が
笹 : ...俺の...大切な人から離れろや!
男3 : うっ...
男2 : な、なんなんだお前は!
笹 : ...一つだけ忠告しておこう
笹 : 鬼を斬るのは刀だってな
男1 : 調子に乗ってんじゃねぇぞボケ!
笹 : ...お前らごときやれなかったらなぁ!守りたいものも守れねぇだろうが!おらっ!
男1 : くそっ...バタン
祐 : 魅刀...
男2 : くそっ...
笹 : ...残りはお前だけだな
男2 : ヒィ!
腰を抜かし座りながら逃げる男に跨りしゃがむ魅刀
笹 : おい
男2 : は、はい...
笹 : 二度と俺らに...いやこの二人に近づくんじゃねぇ。次来た時は...お前の首を斬ってやるからな
男2 : は、はいぃぃ...バタン
祐 : 魅刀!
笹 : 祐希...ギュッ
笹 : すまん。怖い思いさせたな
祐 : ううん、大丈夫...泣
笹 : よく美空ちゃんを守ってくれたな
祐 : うん...私、頑張った泣
笹 : 本当にありがとう
笹 : 美空ちゃん怪我とかはないかい?
美 : 私は大丈夫です
笹 : ならよかった。よく二人とも無事でいてくれた
祐 : ...うん...グスッ泣
笹 : 急いで帰ろう。ここにいたらまずい
笹 : (諸星...ちゃんとやってるだろうな...)
悲 : ...
叡 : こんなものなのか...
続く
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?