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人は夢を二度見る #5









真っ暗とまではいわない暗さ

街中の工事現場の前で

一人の高校生が過去の夢を明かした






二人の隣を車が走り抜ける

車のライトで一瞬照らされる二人の姿




隣には目から涙を垂らしている〇〇の姿

私はどうしてあげるのか正しいかわからなかった




賀  :  ま、〇〇...

〇  :  ...はは...だっせぇ...泣笑




そういってまた歩き出した〇〇



賀  :  ...あっ、待ってよ!



ワンテンポ遅れて〇〇の後を追った






〇〇に追いつき

近くに公園があったので

そこのベンチに座った




〇  :  ...早く帰らせろよ

賀  :  まぁいいじゃん




真っ暗になった公園を照らす街灯


瞳に涙が少し残っている〇〇




〇  :  ...

賀  :  ...




ベンチに座った二人


上を向いている遥香と下を向いている〇〇


沈黙を破ったのは〇〇だった




〇  :  ...ありがとな

賀  :  どうしたの急に?笑




初めての感謝にびっくりはしたけど

それを心に隠すことにした




〇  :  ...俺が急に変なこと言い出したから...慰めてくれてるんでしょ

賀  :  まぁそうかな笑

〇  :  ...うざ笑




目に溜まった涙を拭って少し笑顔な〇〇をみて

ホッとして胸を撫で下ろす遥香




賀  :  ...なんであんなこと言ったの?



一瞬の静寂から今度は遥香が口を開いた


なんとなくわかってるけど

一応訊いてみる



〇  :  ...なんでだろうな

賀  :  ...え?


〇  :  ...俺にもなんで言ったかわかんねぇわ笑




なぜか笑って話す〇〇の姿に


ドキッとしてしまう遥香




〇  :  ...お前さ

賀  :  ん?




〇  :  いつから気づいてた?

賀  :  なにが?

〇  :  ...俺がパティシエになりたかったってこと




遥香は〇〇から目を逸らし

頬に指を当てて悩む素振りをする




賀  :  んー、気づいてたといえば気づいてたし、気づいてなかったといえば気づいてなかったかな笑

〇  :  ...なんだよそれ笑




夜の公園

制服を着た男女の二人が

笑顔で会話している




賀  :  まぁケーキの絵描いてるし?

〇  :  ...まぁそうか



賀  :  あとは自分から進路訊いてくるくせに自分のことになるとまったく喋らなくなるし?

〇  :  ...それは...すまん








話し始めてから1時間弱が経過した

もう辺りは真っ暗になっている



〇  :  もう暗いし帰るか

賀  :  ...



荷物を持ちベンチを立ち上がる



〇  :  ...おい帰ろうぜ

賀  :  ...〇〇はさ...




"なんで夢を諦めたの?"






なんともいえない顔をしていた



少し涼しくなった時間帯

蝉の声が響く




〇  :  そうだなぁ...



〇〇は荷物を雑に置いて

ベンチにドシッと座り直す




賀  :  ...

〇  :  ...中学3年の頃...





〇〇の夢を諦めたの理由が明かされる











続く

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